表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室の魔女  作者: 遠野名月
序章
1/4

 久しぶりのオリジナルです。一応プロットは作ってあるので定期更新していきたいと思っています。まずはプロローグ的な感じで。爽やか青春ものを目指しているのでよろしくお願いします。

「悩み相談してくれるらしいよ」


 どこかの誰か、というわけではなくて、学校の中で偶然すれ違った女子生徒たちがその噂を話しているのを耳にした。

 季節は春、まだ高校に入学して日も浅い。誰かの話してる声が聞こえたら思わずその内容まで聞いてしまうような僕、水上透はその噂がどこか頭の片隅に引っかかっていた。


 高校に入学してからまだ数日しか経っていないということは、まだ生徒間の交友関係が明確に定まっているわけではない、ということを意味している。

 もちろん、僕もその例にもれず、休み時間に話す相手といえば、中学の頃からの付き合いのある志賀正善くらいのものだった。

 休み時間を知らせるチャイムの音を聞き、少しばかりの時間が経った頃、正善はどこか弾んだ様子でこちらに近づいてきた。そして、僕の机をその手でどんと叩いて、口を開いた。

「なあ、透。お前、あの噂聞いた?」

「どの噂?」

 きっとあの噂のことだろう。なぜだか僕の頭は、正善の言葉を受けてそう結論付けていた。

「図書委員長の榛野さんって人だよ。三年の先輩らしいけど、すげえ綺麗な人らしいぜ」

 なんだか思っていたことと違う。けれど、正善はそんな僕の思考の流れには気が付かない。

「ふーん。そうなんだ」

「なあ、見に行ってみねえ? 榛野先輩、放課後は大抵図書室にいるらしいぜ」

 気のない返事をした僕の様子に、正善の態度はなんら変化を起こさない。まあ、こいつは昔からこういうやつだったけれど。

「めんどくさいな。別にそこまでして、見に行く必要ないだろ、高々美人の先輩の一人や二人」

 こういう返事をしているからと言って、僕は決して女の子に興味がないわけではない。ただ、そこまで女の子に対して積極的になろうという気がないだけである。

「お前は昔からそういうやつだったよなあ、透。女には興味ない感じで。けどさ、俺たちもう高校生なんだぜ? 美人の先輩を見に行くくらいのことはしとくべきだよ、やっぱ」

 僕らが高校生になったことと、美人の先輩を見に行くということに一体どのような関係があるのだろうか。僕にはその答えがちっともわからなかった。

 結局、正善は美人の先輩の話はほどほどにして、いつもの馬鹿話をし始めた。最近読んだ雑誌に載ってたグラビアアイドルの話とか、そういったこと。実に高校生らしい会話を繰り広げた正善は、休み時間の終わりとともに、授業の開始を知らせるチャイムの音で自分の席へと帰っていった。

 ただ、僕の頭の中の思考は何となく、今朝校内で耳にした噂と、正善が話していた女子の先輩の話に何か関連があるんじゃないかと勝手に考えていた。

 確信はない。ただ、窓の外の青い青い空を見ながら、僕はなんとなくそう感じた。


 その日の放課後、まだ入る部活動を決めかねてふらふら校内を歩いていた僕は、校内掲示板に他の部活動の勧誘ポスターとはだいぶ違った、小さな貼り紙があるのを見つけた。

 その貼り紙に書いてあった内容は


――悩み相談受け付けます。放課後、図書室にて。――


 思考の歯車がかっちりと嚙み合った瞬間だった。

 ふらふらとした僕の足は、自然と図書室へと歩みを進めていた。


いかがでしたでしょうか? これから、物語はどんどん続いていきますのでよろしければ次回も読んでみてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ