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 【 VRMMO 都市伝説 】

試作を除いて、本格始動。

実質、初投稿になります。よろしくお付き合いください。



 

 

その日、僕は近所のVRカフェに居た。



VR-MMOの順番待ちをしている。

VR-MMOと言えば、ここ数年で一気に流行りだした体感ゲームのことだ。

最新作なので1プレイは1時間までという制限がある。



360°どこを見ても仮想空間にいるかのような映像が展開される。

特殊なグローブを装着すると、これまでのゲームに比べて複雑な動作ができる。

触感も擬似的に再現され、その世界の物に触れているような感覚が味わえる。




三回目の列に並ぶと、前の男に話しかけられた。

遊戯中の映像が、外にも見えるようになっているからだろう。


「だいぶやり込んでるみたいだね」

「まぁ、それなりに」


個人画面は出ないが、第三者視点のカメラがキャラクターを映している。

その為、「魅せプレイ」をする熟練プレイヤーもいる。



「VRの元祖は知っているかい?」


このジャンルの愛好者なら誰でも知っている。



「そう。ところが、その原型は別のゲームだったんだ」


男は意外なことを言い出した。

並んでいる間は携帯ゲームくらいしかやることもないし、

興味を持った僕は、男の話にしばしつきあうことにした。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・



――『知る人ぞ知る』といった風で、世間的に知られていない小説があったんだ。

一部でカルト的な人気があったそれが、とあるゲームプロデューサーの目にとまり、VR-MMOの試作に世界観が採用された。



システムの試作が完成し、いよいよ動作試験を行うことになった。

公開前には、クローズドβテスト、人数限定のテストが行われるのは知ってるね。



これは公募されなかった。

マイナーながら、熱狂的なことで知られていたファンが多くいた。

選ばれた512人のテスターがVR研究所に集められ、非公開で一日掛かりのテストが行われた。



その一ヶ月後、テスター全員が、忽然と姿を消してしまった。

勿論騒ぎになったが、VRとの関連性は実証されず、事件は迷宮入り。


そのゲームは、お蔵入りになってしまったけれど、

その後流行った「VR-MMO」には、その技術が応用されている。



同じことが起こるかもしれない?

……ふふっ、そうだね。



しばらくして、噂が流れ始めた。

消えたテスター達は、VRシステムの中に取り込まれて生きている、とね。

いわゆる都市伝説の類さ。

噂を信じるなら、今このゲームでも会えるかもしれないというわけさ。



ん?

VRシステムの中に「生きている」のは「実在しているのかどうか」だって?

はは、それは難しい問題かもしれないね。




……順番が来たみたいだ。

お先に、向こうで待ってるよ。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・



キャラの名前を交換し、別れた。

PvPランキングで見覚えのあるキャラネームだった。

数分後には、自分もすぐ近くのポッドに入り、接続する。



ログインして、早速、教えて貰ったキャラ名を検索し、フレンド申請する。

間も無く承認され、フレンドリストに登録された。



「やぁ、新エリア最速到達記録持ちだったんだね」

「あなただってPvPの上位ランカーじゃないですか」


ペアでパーティを組み、探索をした。

このゲームでは初めてのパーティプレイだ。

驚くほどスムーズに行った。これがランカーの腕前か……。



あっという間に一時間が過ぎ、ログアウトする。

ポッドから出て、即席の相方の姿を探すが……見当たらない。

既に帰ってしまったのだろうか。

向こうから話しかけて来ておいて……オンラインの付き合いなんてこんなものか、とも思う。



彼が入っていたポッドを見てみると、「メンテナンス中」の張り紙があった。

スタッフに聞いてみると……

「申し訳ございません。その台は今朝からずっとメンテナンス中です」



そんなはずはない。

さっき彼が入って行ったのだ。

そして、その彼とパーティをしていたのだ。



彼の特徴を伝え、それらしき姿を見ていないか聞いてみるが、まるで手応え無し。

並んでいた人達に聞いても、誰も知らないとのこと。

狐につままれたような感覚だ。


彼が入ったはずのポッドに手をついて、頭を整理しようとする。

ふと見た外装に書かれた文字が目にとまった。



PROJECT : リーフラム



あの「元祖の前身」になったタイトルのことだろうか。

検索すれば何か情報が出てくるかもしれない。

僕は手掛かりを求めてネットの海に旅立った。



そう、まるで新たなエリアに足を踏み入れた冒険者のように――



最後まで読んで戴きありがとうございます。

自作ファンタジーのスピンオフ(外伝)形式の、1話完結モノになります。


思いついてから2日程度でした。

本体となるファンタジー短編群は、今後少しずつ追加していく予定です。

    ↓

    ↓


  <次回作>


【 “17”と呼ばれし魔女 】

http://ncode.syosetu.com/n6614di/



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