さよなら僕
とびますとびます
僕はとぶ
羽をなくした
ただの鳥
とびますとびます
僕はとぶ
一歩一歩を
踏みしめる
さよならあなたよ
さよなら世界よ
さよなら未来よ
さよなら僕よ
明日はもう会えないからさ
違うとこへと行くからさ
とびますとびます
僕はとぶ
辺りはミニチュア
人は粒
とびますとびます
僕はとぶ
数歩歩けば
ここは空
重力に逆らわない僕に
強風がぶつかってくる
手のやり場に困り
ただ広げてみる
地面に近づくほど
感じる圧迫感
息を飲むのも忘れ
吐き出すのも忘れ
ぶつかりそうなビル
掴めそうな街
地面に無理矢理と
焦点を合わせてみると
1人の女性と目線が合う
君は僕に気付き
目は大きくなる
口も開かれる
それでも君に被る影は
どんどん濃くなっていく
スピードを出して
近づいてく僕を
君は何と感じるだろう
「生きて!」
という君の叫びも
大声の叫びも
僕には届かず
誰にも届かず
都会の中へと消えるだろう
大きく沈んだ音がする
僕の周りは水たまり




