幕間 2
――幕間 二――
妹のヘルミーナがこの世に命を授かった。私が十一を迎えた年で、雪が降り積もる中でのことだった。
しかし、生まれて間もなくして、難病を患った。私の母は何度も魔法をかけたが、治る見込みはなかった。
難病によく効く薬があると噂を聞いて私は母に置き手紙をして西のほうへと出かけ、薬を求めた。
母の魔法ではとても太刀打ちできないものと思っていた。
母も、自分のメンツがあって、他人の手を借りたくないと私は思っていたのかもしれない。
そんな母に反抗するように、薬の材料が取れる山奥へと足を踏み入れた。
その薬草は今ではその用途に使われていないが、古来は紙として使われていて、この山で採取される特有の草だった。
書物は今この山の集落には残ってなく、四散してしまった。山でその草を探すしかなかった。
ところが、その草の群生する時期は一ヶ月前に終わっていた。しかし、一縷の望みをかけて、私は山に足を踏み入れた。
草は見つからなかった。夜が更けても探し続けた結果、獣道に入り込み、山から出られなくなった。
二日さまよって洞穴を見つけた。水雫が静かに落ちる中を頭を低くしながら入り、光の呪文を使いながら探索した。
そこで私は緑色がかった書物を見つけた。甘い匂いがした。聞くところによると、その草は紙にしたときに甘い匂いと真緑色が映えるのが特徴であると聞いていた。私は、この本がその草でできているものだとわかった。
それがどんな書物なのか、とりあえずこれを煎じるなり焼くなりして飲ませればヘルミーナは助かると思い、開くことはしなかった。
その後は無事帰り道を見つけ、私は気を馳せて、家に戻った。扉が開かれると母がいて、私の顔を見るなり、よほど心配していたのか、私の頬を叩き、泣きじゃくりながら家へと上がらせる。
でも私は笑顔で母に書物を渡す。この本を煎じて薬を作ればヘルミーナは助かると。
しかし、母は首を横に振って沈んだ顔をした。
そして、重々しい一言を私に告げた。
――ヘルミーナは亡くなったのよ。




