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第二章 4(中)

「ねえ、クリスティーナ」

「堅苦しい、クリスと呼べ」


 外套を羽織り、帽子をかぶり直した彼女がそう言った。


 それにしても愛称って面白い。クリスと呼べば、クリストファー(男性)なのかクリスティーナ(女性)なのか、わからない。


 というわけでクリスと徒然なるがままに街中を歩行しているのだが。


「わかったよ、クリス。これでいい?」

「ああ。貴様に正式名で呼ばれると、名指しされた気分になるからな」


 なるほど。

 しかし、そこで僕は何か違和感を感じた。「クリス」「クリスティーナ」という名前に対してだ。でも、その違和感の正体がわからない。気のせいだろうか、まあいい。あと、名前に関して言えば。


「僕も『貴様』という名前じゃないよ。僕の名前は棟一郎だよ」

「そうか、じゃあ遠慮なくトウイチロウ……棟一郎と呼ばせてもらおう」


 ほとんどの人が僕の名前をはじめて聞いたとき、僕のことを「トイチ」とか「トイチロ」とか「トイティロ」と言うけれど、彼女は発音も正確に「トウイチロウ」と言った。一発できちんと名前を言ってくれる人がいるんだと思い、このライバル友達に不思議と親近感が湧く。


 でも、僕に挑みに待ち構えていたし、不思議でもなんでもないのかな?

 まぁ、それはさておきだ。


「クリス、僕に話そうとしていた情報を教えてよ」

「断る」

「言うと思った。だから、いまここでまた勝負しようよ」

「ほう」

「さっき、クリスが出題して僕を負かしたように。今度は僕が出題して負かしてあげるよ」

「自信に溢れているな。その証拠が言葉に出ている。勝ち負けが決まる前に私を負かすなどと」

「まぁ、いいじゃない」

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