愛情
今回の実験体は
安達 真矢 30才
中学校卒、高校卒業後、結婚二人の子供に恵まれ専業主婦
虐待の可能性があるとし現在、子供たちは施設に引き取られご主人とも険悪な関係が続いております。
今回の実験場所は仙台駅付近に施設を設置
標的が現れるのを待つ
“標的確認”
“接近開始”
「お客様、近くに素敵なカフェが出来たのですが、いかがですか?」
「今はいいです…」
「今の自分を変えたくはないわないですか?」
「えっ…」
「そのきっかけをくれるお店なんですよ。」
「本当に…?」
「はい。こちらにどうぞ。」
“標的確保”
“移動開始”
「どうぞ、こちらにお座り下さい。」
「座るって何もないじゃないですか…」
「触れると椅子が見えるはずです。」
「あっ、本当ですね。」
「それではお座り下さい。」
「あの…座ってどうすればいいんですか?」
「ただ、座って頂ければ分かりますので」
「わかりました。」
「それでは行ってらっしゃいませ。」
えっ…
意識が薄れていく…
やっぱり、ずっと夢みてたんだ…
全部…悪い夢だったんだ…早く起きなきゃ…
子供たちにご飯作ってあげなきゃ…
「起きろ…起きろと言ってるだろうが」
痛い…
「親の言う事も聞かずに何、寝てんだ」
髪の毛が抜けそうに痛い…
「お父さんごめんなさい…ちゃんと起きます。すぐにご飯の用意するから…」
「もう遅い…悪い子にはお仕置きだ…」
「叩かないで…ごめんなさい…もうしません…許して下さい…ごめんなさい…」
「明日も時間前に起きなかったら今日よりひどいぞ…」
「はい…」
あちこち痛い…なんで…
「昨日も言ったはずだぞ…なんで起きてないんだ…」
「ごめんなさい…」
「なんだ、その目は…文句でもあるのか!このガキ」
「痛い…お父さん…お…と…う……」
「なんだ何も言わなくなりやがって、そのまま反省してろ!」
意識が薄れていく…
死んだんだな…
私も必要以上に叩いたりしてしまったな…
そんなに悪い事なんてしてなかったのに…
「おめでとうございます。女の赤ちゃんです。」
「えっ…私、男の子が欲しかったのに…施設に入れたいんですけど。」
「本当に言われてるのですか?」
「はい。私、女の子嫌いなんですよ。育てていけないと思いますから…」
「わかりました。それでは書類を用意致しますので…」
あっ、本当のお母さんだ…
私、産まれてすぐに捨てられたんだった…
養子に行った家では優しくしてもらえたし、今のお母さんとお父さんが本当の親だと思ってたし…
結婚か決まった日に言われて驚いたな…
本当に小さい時から育ててもらったから覚えてなかったんだろうな…
なのに私は自分の気分次第で子供たちにキツくあたってしまってた…
優しい両親に育ててもらったのに…
私はなんで、あんなにイライラしてたんだろう…
子供が産まれて嬉しかった半分怖かった…
可愛いはずなのに、顔を見てるだけでイライラしたり…
どうしていいか分からなかった…
離れてみて初めて寂しい…会いたいと本気で思った…
なんだか明るくなってきた…
「お疲れ様でした。いかがだったでしょうか?」
「ここは?」
「先ほどの、お店でございます。」
「私、死んだ訳じゃないんだ…なんだか感覚がなくって…」
「記憶を再生しているので、仮眠状態に似た感じになってしまうので感覚がないのかもしれません。夢と違って自分で話を進められないのも変な感覚になってしまうのかもしれませんね。」
「そうなんですか…という事は最初に見えた事も記憶なんですか?」
「はい。前世の記憶でございます。虐待が原因でなくなりました。6歳になったばかりの女の子でした。無理な事を押し付けられ、出来ないと虐待を受け…そのまま亡くなりました…亡骸も、そのまま放置された状態でした。昔は自分の子供に手をあげる事、殺してしまう事さほど厳しい罪にはならなかったのです。」
「そうなんですか…今もどこかの土の下に埋まってるのかもしれないんですね…だからと言って私が今してる事は許される事ではないですね…私どうすればいいですか?」
「貴方が望むのであれば記憶を消す事も出来ますが…どうなさいますか?」
「あの記憶のせいだけではないと思うんですが…出来れば消していただきたいです。」
「かしこまりました。それでは、もう一度椅子にお座り下さい。」
「はい。お願いします。」
“安達真矢は記憶を消去し現在の記憶だけを残した
その後、子供たちを迎えに行き今は幸せに暮らしている”
“観察中”
「閣下、今回の実験体の記憶は酷いものがありました。申し訳ないとは思ったのですが勝手に消させていただいた所もありました。彼女に、それを受け止めるだけの気力はないと勝手に判断させていただきました。申し訳ございません。設備をより簡単に楽しんでいただくために改良を施しました。完成作を、そちらに送らせていただきました。確認後、連絡お待ちしております。失礼いたします。」




