輪廻
次の実験体は
門間 正樹 40才
中学校卒業、高校中退
前科・麻薬、窃盗
本日、出所予定
今回の実験場所は、すすきの駅付近に施設を設置。
標的が現れるのを待つ。
“標的発見、接近開始”
「お客様、近くに素敵なお店がオープンしたのですが、いかがですか?」
「うっせぇ」
“殴り飛ばされ作戦失敗しました。第2作戦開始します。”
「何すんだよ。触んな。」
“標的確保、施設へ移動開始”
「なんなんだよ。急に押さえつけやがって。」
「仕方ありません。門間正樹様がお暴れになられましたので。強制連行にさせて頂きました。」
「なんか、恨みでもあるのかよ。」
「ありません。ただ私共の任務を全うするだけです。ですので門間正樹様に来ていただきました。」
「なんで、俺の名前知ってんだよ。任務ってなんだよ。」
「協力して頂けるのならば、お答え致します。」
「……分かったよ。でも、話し聞くだけだからな。」
「かしこまりました。それでは行ってらっしゃいませ」
意識が薄れていく…
なんともいえない、感覚がする…
俺は、どうなったんだ…
急に目の前が明るくなってきた…
「しっかり働けや、何してんだ。」
誰だ、このおっさん?
「聞いてんのか」
「はい。申し訳ねぇ」
そう言った瞬間鎌が降りおりてきた…
「使えねぇ、やつだべ」
血が…
そして意識が薄れていく…
なんだったんだ…
さっきといい…
次に目を開けてみると森の様な景色が広がっていた…
なんだ、ここは…
綺麗だな…
空気もうまい
けど、全ての物がデカイ…
葉っぱも、木も…
音がする…
羽の音だ…
あっ、俺…虫?
俺の背中に羽がある…
飛べる…凄い…
何処までも行けそうだ。
あれ、なんか近付いてきた…
そして意識が薄れていく…
なんか分かんない事ばかりだ…
中途半端に終わる…
そして、また明るくなってきた…
「可愛い男の子」
「お前に似たのかもな」
「本当、可愛い」
写真で見たことのある人たちだ…
「ごめんね…まぁ君…ママ達を許してね…」
「ごめんな…もうこうするしかないんだ…」
そうか…これは両親が自殺した日の景色か…
結局、俺だけを残して2人共死んだんだよな…
それから、親戚に預けられて厄介者扱いされて…
俺も一緒に死なせてくれれば良かったのにって何回も思ったんだよな…
なんでか涙が出てきた…
そして意識が薄れていく…
「お疲れ様でした。いかがでしたか?」
「あれは、なんだったんだ…?」
「門間正樹様の前世と現在でございます。」
「…」
「内容を知りたいですか?」
「別に興味ない…」
「そうですか。見たかった景色はみれましたか?」
「あぁ…」
「私共の任務を聞きたいとおっしゃっていましたが、お聞きになりますか?」
「話してくれるんだろ…」
「門間正樹様がお聞きになりたいのであれば、お話し出来る範囲で説明させていただきます。」
「聞かせてくれ…」
「私共は、日本中の人々のデータの中からピックアップされた人々に接触し、前世と現世の記憶を甦らせて、その後の経過を監察するのが仕事なのです。」
「それに、なんの意味があるの?」
「意味があるかは分かりません、けれど少しはいい方向に進んでいった方々もいました。そして少しづつ変わっていければ、またこの世界も変わるのかもしれません。」
「きれい事並べてるだけじゃん。じゃ今の記憶全部、本物だって証拠はあるの?」
「それは、本人にしか分かりませんので…」
「ほらな。結局お前らも騙されてるんだよ。これを作った人間にいいように使われてんだよ。」
「門間正樹様が、そう思ったのであればそうなのかもしれないですね…」
「用は済んだんだろ?帰っていいよな?」
「はい。」
“標的に変化なし”
“要監察”
“閣下やはり彼は駄目だったようです。引き続き監察
強化していく予定です。次の標的に期待ですね”




