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プレミアムノート  作者: 月島裕
12/22

欠落

仙台で発見された記憶の持ち主に、もう一度施設に来ていただいた。

本人にはよく分からないとの事で施設長同伴のもと行われる事となった。



相澤隼人  23才

中学校卒業、高校卒業、大学生(留年)


この施設に来た理由は、変な夢を観る…

解らないけど怖い…との事でした。


記憶をダビングしながら解析していましたが、霧がかかった様な状態で解析に時間がかかってしまっていました。

記憶の始めは解析出来たのですが、その後の記憶が飛んでしまっていて解析困難との事で本人に来ていただいたが、やはり霧がかかった場所は中々観れなかった…。




「相澤隼人様は、怖い夢を視た時に何を感じますか?」

「恐怖感と空腹です。そして、空…をよく視ていた様な…」

「他に思い出せる事はありますか?」

「土の匂いと鉄の匂い…起きた時に、ふっと匂いがします…その後、顔を洗いに行くと鼻血が出てたりします。」

「鉄の匂いは血の匂いかもしれませんね…他に思い出せる事や感覚なんかはありますか?」

「うーん。身体が動かないような、固まってる感じですかねぇ…ぼーっとしていて、空をいつも見ているんです。」

「そうですか。ガダルカナルという土地を知ってますか?」

「ガダルカナル……分からないです…つっ」

「どうかなさいましたか?」

「頭が痛いです…ズキズキする感じが…」

「早く装置を持って来て!今なら解るかもしれない。申し訳ありませんが、しばらく我慢してください。」

「はい。分かりました…」


“装着完了”

「しばらく、アナタの記憶を観させていただきます。新しい装置になりますので、意識はそのままです。聞きたい事、体調不良等ありましたらお声掛け下さい。」

「はい。なんだか、霧が見えてきました。」

「記憶の中に入った様です。」

「画面が揺れてます…頭も痛いし、お腹が減ってきました…」

「やはり、アナタの記憶は陸軍のガダルカナル島に上陸した部隊でしたか…でも、始めの記憶が欠落していますね…」

「最初の記憶?なんの事ですか?」

「陸軍に入る前の記憶です。そして、入隊してからの記憶…なぜか、ガダルカナル島の記憶しか出てこないんです。幼少期の記憶は見付かったんですが…。」

「よく分からないです…これも記憶だとしても分からないです…」

「そうですか…。しばらく、調べさせていただきます。」

「はい。」


“なぜ、こんなに断片的なのか…閣下の意見も伺いたい。今、映っている記憶だけでも閣下にお送りして観ていただこう。”



「相澤様、体調等大丈夫でしょうか?」

「なんだか、気分が悪くなってきました…喉も渇いてしまってます…」

「少々、お待ちください。水を持ってきて下さい!あと点滴も。」

「すみません。ありがとうございます。なんだか、急に喉が渇いてしまって…それに、さっきから空と飛行機の音…うめき声が聞こえてきます。その方向を見ようと思ってるんですけど、身体が動かないんです…前回の時よりもキツいです…」

「意識がある分、実際に今おきている錯覚をおこしているのかもしれません。申し訳ありません。辛い思いをさせてしまって…」

「大丈夫です。何回も観ている断片的な夢と違って全部、理解出来る事が…変なんですが、嬉しいです。なぜ、この夢をずっと見続けているのか…気になっていたんです…。この夢が前世であるなら僕は知らなきゃいけないんだと思うんです…。」

「相澤様は本当に綺麗な心の持ち主ですね。今の時代に生きている人たちの中で、そう考える人は何人居るんでしょうね…。今が良ければ、それでいいと考える人たちは沢山居るでしょうから…平和な世界を作るために、どれだけの方が亡くなられたのでしょ…どれだけの方々が考え作りあげたのでしょ…地球の始まりとは日本の始まりとは、今の私たちに分かる事は限られてしまってます。だからこそ、この施設を作りました…けれど本気で考え変わろうと努力する方は一握り……申し訳ありません。関係ない話しをしてしまいました。」

「館長さんは、本当に日本が好きなんですね。」

「はい。だからこそ、辛い、悲しい想いをして亡くなられた方々の想いを繋げたいのです。」

「もし、僕の記憶が完璧に戻ったらどうするんですか?」

「内容にもよりますが、色々な方々の記憶として入れ替えます。平和な日本を作った方々の想いを伝えるためです。」

「本当にそうでしょうか……僕は……」

「どうかなさいましたか?」

「僕は、伝える事は大切だと思います。けれど、間違った方向に行ってしまう方々も出てくると思います。」

「そうかもしれませんね。すべての人間が同じ考え方とは限らないですからね。」

「はい。ちょっと疲れてしまったので、明日にしてもらってもいいですか?館長さんの話しも、また聞きたいので。」

「かしこまりました。それでは、また明日お待ちしております。」





『閣下、相澤様の記憶が少しずつではありますが鮮明になってまいりました。改良品ですが、意識を失わなくなった代わりに記憶とリンクしてしまい、同じ症状になる事が判明しました。結果的には、どちらとも言い難い結果となってしまいました。申し訳ございません。記憶の60%を、送らせていただきました。確認宜しくお願いいたします。』

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