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生きてる意味なんて

作者: おごまめこ

ボクはオウム。

どこにでもいる、普通のオウム。


ずっと一人でカゴの中。

親も知らない。友も居ない。


一人ぼっちのオウム。




毎日店の外を走ってる君は ボクを見ては微笑みかける。


何も知らないボクは ただただ君を見つめてた。



ある日、君が店に来た。

ボクを見つけてまた微笑む。


言いたい言葉は沢山あるんだ。


【イラッシャイマセ】


ボクはこれしか知らない。


君はボクのこんな言葉を聴いて

喜びながら近寄ってくる。


初めて出されたカゴの外。

そこはとっても柔らかかった。


「キミのことが大好きだよ」


「一緒に行こうっ」


ボクは嬉しくて何度も叫ぶ。


【イラッシャイマセ】

【イラッシャイマセ】


君は嬉しそうに笑ってくれた。



それから君との生活が始まった。


最初は何も分からなかったのかな。

何か色々食べさせられた。



「だいじょうぶ?」


【ダイジョウブ】



店で食べたものよりは

ずっとずっと不味かったけど

ずっとずっと暖かかった。



ある日君はボクの前で

しゃがみこんで泣いていた。


「どうして好きだよって言えないんだろう」

「思えば思うほど苦しくなるよ」


ボクはこういった。

君から貰った沢山の暖かい言葉を全部使って


【キット キミノ スキダヨ】



君はまだ泣いていたけど

やっぱり笑ってくれたね。



ある日ボクはちょっと倒れた。


キミは必死で病院に運んでくれた。


とっても暖かくて、柔らかくて気持ちよかったよ。


ボクはとても幸せだ。



ある日君は泣いて帰ってきた。

大雨だったのだろうか。

全身びしょびしょだ。


全部涙みたいだよ。



君は何も言わないでボクの前にしゃがみこんで

ずっとずっと泣いている。


ダイジョウブ、またボクは君を笑わせるよ。


必死で必死で叫ぶんだ


【ボクハ キミ ガ ダイスキ ヨ】


どうして?キミはまだ泣いてる。


【ダイスキ ダイスキ ダイスキ スキ ダイ】


泣き止んで?また微笑んでよ?



するとボクをカゴから出して

そっとまた抱いてくれた。


とっても柔らかかったけど

今日は冷たい雨が頭の上に降ってるよ。


ボクは知ってる言葉を

何度も何度も繰り返す


君との楽しい日々の中で

君が発した幸せの言葉


繋ぎ合わせて 伝えるよ



【キミ ガ ダイスキ ヨ】



【キミ ガ ダイスキ ダ ヨ】



キミはやっぱり泣いている。

もうボクの頭はびしょぬれだ。


そっとボクを顔の前へ

持ち上げて 君はささやいた



「キミはもう喋れないよ」


「キミの声はもう聞こえないよ」


「キミの声が聴きたいよ」




ウソだ。


ボクは信じない。


キミを笑わせるんだ。


何度も 何度も 聞こえるまで 君だけ 聞こえるまで


叫ぶよ



【キミガ スキダヨ ダイジョウブ】



キミはずっと泣き続けるよ。

お願い、聞こえて。聞き取って。



【ナカナイデ ダイスキ ダヨ】




君が笑わなきゃ


君を笑わせなきゃ


ボクの生きてる意味なんて


何一つないんだ。



例え足がもげたって

例え羽がちぎれたって


例え 明日で 命が終わったって


ボクは声さえ出ればいい



君が苦しい時に


そっとささやける声が。


君が泣きたいことを


そっと忘れさせる言葉が。



ボクはそれだけ あればいいんだ。




どうか


どうか


この言葉だけ


この言葉だけでも伝えたい。



君の真似じゃなくて


ボクの心の声を。


君を微笑ませるための


ボクの精一杯の気持ちを。




君が ずっと ダイスキ だよ。




お願い、これだけ、伝わって・・・・・・・・

読んでくださってありがとうございました。


この後、オウムはどうなったんでしょうね。


貴方ならどうします?


喋れないオウムはオウムじゃないのでしょうか?


こいつは、「鳥であること」を捨てても「オウム」でありたかったんでしょうね。


オウムの飼い主は、オウムが喋るから好きだったんでしょうか。


それとも、オウムがオウムであること。オウムそれ自体が好きだったのでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。失礼します。 テーマとして書きたいことは分かるのですが、それが表現し切れてないかな、と感じました。 「ある日僕はちょっと倒れた」は、オウム視点で書かれたものならば、何があったのか…
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