者
「・・・。どうしよう・・・。」
残されてしまった。
このわけわからん人の家で何をしていればいんだろう。
名前も知らないし、きっと、同じ年ぐらいだろうということぐらいしか見当がつかない。
「・・・取りあえず、さっきの人形でも見てみようかな。」
そう思って先ほどの人形を手に取ってみた。
「・・・」
どう見ても、いつみても、兄さんにしか見えないww
もしかして、兄さんだったり??
「ははっww」
自分の頭のおかしくなったとしか考えられない考えに我ながら呆れた笑みが出てくる。
・・・そういえば。
兄さんって勇者にならないって決めた日あったのかな。いや、もちろんあったんだろうけど・・・。
父さんたちは反対しなかったのかな。
あれだけの力を持ちながら勇者にならないんなんて。
絶対反対されたはずだ。
でも。。。特に口論したりとか変わった日とか・・・。そんな日なかった気が・・・。う~~ん。
父さんも相当適当な人間だからな。
笑って済んだのかもしれないな。
じゃあ・・・。なんで出て行ったりしたんだろう・・・。
仕事はするにしても、うちに戻ってくればいいのに・・・。
わざわざ武器屋で弟子として働いて、武器屋で寝泊まりして過ごさなくってもいいのに。
実際。あそこの武器屋はそこで弟子として働いて、実家に戻る人がたいていだ。
すごい理由があるかもしくは、家がものすごく遠くや田舎にある人ぐらいしかあそこで過ごす人は少ない。
だけど、兄さんは実家からすごく近い。
・・・っていうか、武器屋は基本王国を守るためにあるようなものだから、国の門の近く。
もしくは、王家がある近くにある。
ッて言っても、王家は王国のど真ん中に建っているし、門からも近いから兄さんは全然帰ってこられるはずなのだ。
いくら面倒くさがりな兄さんだってお正月や夏にだって帰ってきていいはずだ。
それなのに帰ってこない理由はなんなんだろう。。。
しかも、父さんたちだって兄さんの話はあまり出さない。
この前、あの騒動で話が出て来たくらいだ。
でも・・・なんで・・・。
そこまで考えていると、
『がちゃっ』
と大きな扉を開く音がした。と、同時に。
「たっだいまああああああっ!!」
という大きな声がし、ばたばたという走る音が聞こえた。
・・・あんな所で走って大丈夫だろうが・・・。
そんな不安も過りながらも、ここは、あいつの家だったと考え直す。
「たっだいまぁ~~。泰斗君っ!!さっきさぁ~~。武器屋に寄ったら、ひっさしぶりに珍しい人に逢っちゃってww」
と、笑っている。
(・・・そうか。いや。知らない。なんだお前は。あからさまに聞いてほしいみたいな風を装いやがって。そして、珍しい人ってなんだ。珍しくないだろう。あからさまにっ!!っていうか、なんか。今日まだ来てから三時間ぐらいしか経っていないのに何故そんなに長年一緒にいるみたいな話し方をするんだ。俺らは夫婦かっ!!)
と、心の中で葛藤しながらも
「ふ~~ん。」
と。返事だけはする。
「んでね。結構仲良くなちゃってww」
と、笑う。
「ふ~~ん。」
と、返事はしながらも、心の中では
(いや。久しぶりの人なんだから仲は良いだろう。)
と、呆れる。
「連れてきちゃったっ!!」
と、笑う。
「ふ~~ん。・・・・・・・・・って。えええええええっ?!?!?!」
と、驚く。
「入ってきていいよおおお。」
と、勝手に話を進めるあいつ。
いや。本当。知らない人とどう接したらいいのっ?!
いや。こいつの家だ。こいつの家だから、何をしてもこいつの自由だ。
でも、少しぐらい他人に気を使ええええええええっ!!!!!!!!
「・・・どうも。」
と、言ってドアを開けて出てきたのは・・・。
「・・・兄貴??」
知らなくない奴が入ってきた。
ただの友人ならまだしも、兄ちゃんだ。
「?!?!泰斗??」
二人して驚いた顔をする。
「あはは~~~、とりあえず。瑠維君も座りなよおおww」
と、言って俺の隣の席を進める。
「ちょっと待てっ!!歩刀っ(あると)!!俺は、泰斗がいるなんて聞いていないぞっ?!」
と、焦る兄ちゃんに対して。
「??言ってないもん。」
と、不思議そうな顔をして一言簡潔に言葉を返す。っていうか、名前。歩刀って言うのかな。と、混乱しながらも妙に冷静な頭。
「いや・・・。そうか・・・。そうだな。うん。歩刀からは客人がいると聞いてはいたが。そうか・・・お前だったか・・・。」
と、勝手に完結させ、焦っている。
「・・・??どうかした??泰斗君??」
と、驚き過ぎて硬直している僕に尋ねてくる。
「あっ。え。あっ。いや。はははははははははははははははは。」
と、ある意味壊れてしまった。
それを横目で見て不思議そうな顔をしながら。
「あっ。瑠維君。すぐお茶出すねえ。あっ。てか、お茶でいいよね??なんか希望ある??」
と、にこやかに兄ちゃんに笑う。
「ああ。っていうか、わざわざお茶なんて出さなくっていいんだぞ??」
と、笑う。
っていうか、もう慣れたのか。この状況に。すごいな。
「はい。」
と、お茶を出す。えっと。確か。歩刀
「あっ。そう言えば。さっき。買い物ついでに王家の中入ったんだけど。」
えっ。何??何??買い物ついでに王家入れるほど警備甘かったっけ??
それとも、兄ちゃんがいるからとか??
っていうか、もしかして、兄ちゃんのフィアンセとかっ?!
と、俺がいろいろ考えを巡らせていると。
「・・・泰斗。」
と、兄ちゃんが僕を呼んできた。
「・・・何。」
と、つぶやきながら尋ねる。
「お前は、中にいたから知らなかっただろうが、切符さえ買えば王家には誰にでも簡単に入れる。まぁ、入れるところはもちろん限られているがな。」
と、俺の考えを呼んだように言う。
「えっ。そうだったんだ。」
かなり驚きはしたがそれ以上に、こいつと、兄ちゃんが知り合いだったという事実のほうが驚きで言葉は淡々としてしまった。
「泰斗。」
また、兄ちゃんが俺の名前を呼ぶ。
「何。」
また、俺も応える。
「お前は、勇者に・・・。」
と、まで言ったところであいつが、話を打ち切る。
「は~~い。二人とも~~~。今日の夕飯はかぼちゃのスープと、鮭の焼き魚だけど、食べれないものある~~??」
と、なんだかあわないだろう。という組み合わせを言ってくる。
いや。俺の家が変なのか??会わない気がするのは僕のせいかもしれないな。
と、思い立って
「おう。」
と、一言つぶやいた。
まぁ、なんであれ作ってくれるだけありがたい。
「おう。」
と、兄ちゃんもつぶやく。
と、いうかよくよく考えたら、何を話、途中で止めてくれてんだ。
おい。
と、いうかなりの怒りが心に溜まったが、とりあえずは作ってくれることに感謝しておくことにした。
「んじゃ~~。作るから~~ww部屋。片付けておいてくれるかな??」
と、笑顔で言う。
「「え・・・。」」
と、俺と兄ちゃんとで目を点にする。
が・・・。
「へ??なんで??食うもの食うべからずだよ??」
と、不思議そうに一言言う。
「いや。それ、間違ってるから。『働かずもの食うべからず』でしょ??」
と、兄ちゃんが一言。
「うん。『食うもの食うべからず』だと、『食べるな』言うてるもんだからね??」
と、俺も一言言った。
「・・・あははははははww」
と、苦笑する。
「ははっ・・・。」
俺らも苦笑になった。
「んじゃあ。よろしくねえ~~。」
と、笑う。
「「は~~い、」」
と、俺らもいちよ素直に返事をしておく。
「んじゃあ。泰斗は、玄関からここまでの廊下よろしくな。」
と、俺の肩を叩く。
「あっ・・・うん。」
返事はしたものの、少し、間ができてしまった。
「俺は、ここのリビング掃除するから。」
・・・・・・ん??
「おいっ!!!ちょっ待ていいいいいいいいっ!!」
と、ついつい俺は止めてしまった。
ん。理由は簡単。
「あのさ。兄貴。っここと、玄関から、廊下。の汚さの差知ってるっ?!!」
と、尋ねると。
「うん。」
と、あっさりと言いやがった。
おい。こら。待て。兄ちゃんだからって手加減しねーぞっ。
「んじゃあさ、何を弟に大変な所おもいっきし任せて、自分は楽しようとしているのかな??」
と、尋ねると。
「え??ははっ。まったく。泰斗。リビングと、廊下どっちのが広い??」
「えっ?そりゃあ。リビングに・・・。」
と、俺は素直に答える。ってか、何の質問だ??
「じゃあ。リビングと廊下。どっちがひどい??」
「廊下。」
と、即答。
「リビングと廊下どっちが広い?」
「リビング。」
「リビングと廊下どっちがひどい??」
「廊下。」
「リビングと廊下どっちがひどい?」
「リビング。」
「ね??広いし、ひどいしww兄ちゃんって流石だなあww」
と、明日の方向を見て笑っている。
・・・・・・・・・ん??っていうか。。。
「騙されたああああああああああっ!!!」
と、俺は大声で叫ぶ。
「ちょっ?!どういうことっ?!広いとひどいが似過ぎて、しかも、普通に間違えちゃったし!!」
と、俺が兄ちゃんの裾を引っ張って尋ねると。
「ははっ。相変わらず、泰斗は騙されやすいなあww」
と、笑顔で言う。
「あぁあああああっ!もうやだっ!!すっげ~~~~~むかつくっ!!!!!!」
と、俺が頭を抱えてしゃがみ込むと。
「ははっ。相変わらずだなぁあ・・・。」
と、一言つぶやくと、俺の頭に手をぽんっと乗せる。
それを、俺は少し睨みをきかせて兄ちゃんを見る。
「あのね。泰斗。」
と、優しい声で呟く。
あなたのそのギャップと声で何人の女の方が騙されてきたんでしょうね。
「リビングと廊下どっちが広い??」
と、また同じように質問してくる。
もう、騙されねェ~~よっ・・・。
と、俺は兄ちゃんに怒りと、呆れの顔を見せて
「もう、騙されね―し。」
と、一言つぶやいた。お前の、その優しい魅惑ボイスで、もう一回騙されてやった女がいるかもしれねーが俺はそうはいかないんだからな。
大体、俺女じゃね~し。しかも、俺、ブラコンでもね~~し。
と、悪態づいていると
「ははっ。」
と、余裕の声(笑い)が聞こえてきた。
おい。兄ちゃん。余裕か。おらっ。俺は、何を言われようと騙されね~~ぞっ。
「リビングと、廊下。リビングのほうが広いってンなら、リビングのが掃除するの大変だろう??だから、わざわざ泰斗に廊下やらせてあげたんだけどな。」
と、優しい。でも。少し悲しい声で言われた。
っていうか。あれ。そうか。
「そういうことかっ!!兄貴。ごめん。俺!!気づかなくって・・・。」
と、言うと。
「いや。分かってくれて嬉しいよ。じゃあ。よろしく頼むね。」
「うんっ!!」
と、俺は元気よく廊下に飛び出した。
「騙されてる騙されてる。」
という、呆れた歩刀の声を後方で聞きながら。気にも留めず。
そして、途中で気付くんだ。
「騙されたああああああああああっ!!!!!」
途中で、『兄貴』や『兄ちゃん』と変わっているのはわざとです。
はいwwいや。これでなんとなく、自立したての子ってのが分かるかと・・・。信念揺らぎまくるアホな子です・
最後までお読みくださりありがとうございました、
よろしければ、次回もよろしくお願いします。