三匹目
俺は今黒板消しで黒板を綺麗にしております。今日の日直は俺なのです。
俺が黒板消しをスライドするたびに黒板は綺麗になり、それに比例するように俺の手と制服はチョークの粉で汚れます。
……終わったら手洗おう。
「……おーい」
どこかから声が聞こえます。廊下で暴れてる奴でもいるのでしょうか。
「……おーいここだー」
今度ははっきりと聞こえました。黒板にくっついているチョークなどを置くためのアレから聞こえます。
「……何やってんですか」
見ると、チョークの粉まみれになった小さな虫がいました。
「見ればわかるだろう? 粉まみれだ!」
「そうですね、粉まみれですね。……それで?」
「なんか君冷たいね」
「アナタの外見が蚊によく似ているので」
「そうなんだ……というかワシ蚊だy」
グニっとチョークでひねりつぶしました。
……おっと先生が来た。授業が始まるぞ☆
俺は友人と自転車で学校から帰っていました。
今日は後輩をストーカーしたのでいつもより帰るのが遅くなってしまい、少しばかり急いでいます。
……前方に葉っぱを発見。道路の脇に植えられた大きな木の葉っぱです。
俺はわざと物にぶつかって笑いをとる「ブ・ツカッテヘンワー」を得意にしているので、今日もその葉っぱに顔面から突っ込むことにしました(余談ですが俺はこの「ブ・ツカッテヘンワー」を使い、顔面でガラスを割ったことがあります。なんであんなことしたんだろ)。
俺の顔と葉っぱの距離が縮まります。
そして接触。
葉っぱとぶつかった瞬間、こんな声が聞こえました。
「危ないわねぇん。思わず刺しちゃった(はぁと)」
……痛いぃぃぃ!!!
毛虫に刺されてたぁ!
唇が痛ェェェェェ!!!
家に帰って鏡で自分の顔を見てみると、唇が物凄く腫れていました。
「あぁ〜!? ヒロシェ君だ!」 家の裏に停めてある自転車をとりにいくと、そこには蜘蛛の巣を作っているちび蜘蛛の姿が。
「やぁティンキーウィンキー(仮)。今日も蜘蛛の巣作りかい?」
「そうだよ! でっかいのを作るんだわさ!」
「ところでティンキーウィンキー(仮)。俺の自転車を蜘蛛の巣だらけにしたのは君か?」
「ギクッ。……知らないってばよ」
「……ふぅ。君がやったのか」
「ち、違うっす! 僕じゃないっす!」
語尾のハッキリとしない蜘蛛である。
「……お仕置きじゃぁぁぁ!」
俺は自転車に張ってあったぶんと、ティンキーウィンキー(仮)が作りかけていた蜘蛛の巣をダブルサイクロンで破壊した。「もうするなよ」
「しくしく。ヒロシェ君の意地悪」
俺はティンキーウィンキー(仮)の言葉を無視して自転車で出かけた。
あぁ風が気持ちがいい。