毒を盛られて死にかけた聖女の返礼
ガーデンパーティの食事をしていたら急に喉が痛くなり、呻きながら慌てて周りを見る。呻きをなにかと勘違いした婚約者がニヤニヤしながらこちらを見ており、彼が何かしたのだと瞬時に導き出して顔をサァッと青くした。
「おいおい、嫌いなものでもあったか?好き嫌いはしちゃいけないんだぞ?年長者として見本を見せてくれよ〜?」
何が面白いのか、いいや、これは笑い事を飛び越えた事件だ。
「たす、け」
「おれがお前のために克服させてやろうって入れてやったんだ!ははっ!なぁ、どうだ?」
「あ……が」
美味いだろう?と問いかける婚約者に倒れ込むことでしか返事ができなかった。
「きゃああああ!」
「人が倒れたぞ?」
「誰か!」
周りが騒ぐのが聞こえた。
「落ち着け!単に嫌いなものを食べて大袈裟にしているだけだ!」
婚約者の男子が周りを宥めるが、一向に顔を上げない女に靴先で乱暴に腹を突く。
「おい!お前いつまで拗ねてる!?さっさと起きろ!周りに迷惑がかかるだろ!」
起きなくて苛立ったことにより、突く行為が軽く蹴る行為に変化した。ここまですれば嫌でも起き上がるだろうと思ったのであり、止めを刺すような行動になっていたことなど考えもしない。
「やめろ!」
誰かが止める声が聞こえたが、起きない婚約者に恥をかかされたと知った王子は、何度も上から踏みつけた。
「この!お前!お前なぁっ!ただでさえおばさんのくせに!調子に乗るな!ババアが!」
周りがドン引きしていることにも 気付かずに顔を真っ赤にさせている。ドスドス!と靴をめり込ませる王子に、流石の側近たちもやりすぎだと引き離す。
「いやあああ!」
「乱心だ!」
「彼女は死んでいるの?」
「わからないわよぉ!」
場は混沌としている。ぐったりと倒れている令嬢は慌てて王家のかかりつけ医がいる医室に運ばれた。喉が腫れ上がっていることが確認され、食べ物による毒だと断定されていく。王子は王により部屋に監禁処置を受けた。
しかし、王子はイタズラをして驚かせようとしただけという主張を崩さず、殺しかけた事実はじわじわガーデンパーティに出ていた出席者に目撃されていたことにより、間違いない情報として拡散されている。
「出せ!少し間違ったくらいで大袈裟なんだよ!出せ!」
王子ではなく猿なのではないかという暴れっぷりに、今まで婚約者のフォローで露見しにくかった性格の悪さがここにきて露出していた。ドンドンと扉を荒々しく叩き出す。
王城の中では多少知られているのかもしれないが、外の人間は獣のような本性を知らないので中身も王子だと思っていた。今日までは。
令嬢が整えていない男など、一枚ぺらりと剥がれればこんなにも簡単に残虐性を表す。親の前ではいい子の仮面を被っていたが、今日は頭のいいことを笠に着ている生意気な年上を見事やり込められた興奮で、抑えきれていない。
「おい!あの女は今トイレか!?誰か見てこい!汚いって代わりに言ってこいよ!ぎゃははっ」
「何が面白い」
「あ、父上!すみません。あいつが騒ぎを起こして!婚約者なのに監督しきれてませんでした」
コロッと態度を変えるのは実父、国王が現れたからだ。その急に変化させた二面性に顔を強張らせる父親。
「貴様……食べさせてはいけないものを食べさせておいて、なんだそれは」
「ああ、はいはい。好き嫌いをするなんて王子の婚約者としてみっともないので、手伝ってあげました。全く、世話をしないと食べもしないなんて嘆かわしいですよね!」
ニコッと笑う実の息子。わなわなと震える手に王子は同意してくれていると思い込んだ。
「バカモンがああああ!!このっ」
王杖で息子の肩を殴りつけた反動で実子の体は後ろに叩きつけられた。
「あぐっ!!?な、なに、す……?」
さらに二度や三度も打ちつけられる。鈍い音が奏でられて、叩かれている楽器はその度に痛みを声にするが、王が止めることはない。
「お前はっ、婚約者を!殺しかけたくせに!なんだ、その、態度、はあ!」
「や、やめっ、ち、やめっ」
打ち据えられるたび、話すものの王子の耳に届くことはなくやめてほしいという懇願ばかり。少しでも謝れば救いようがあったかもしれないのに、自分のことばかり。
息子に対して王は叫ぶ。情けなくもここまで傲慢に振る舞えることがどうしようもなく言葉にならない。婚約者に毒と同等の代物を盛っておいて「好き嫌いを直させるため」が理由。
本当だろうと嘘だろうと結末はなにも変わらない。令嬢は何年もこの息子を支えてくれた。支えてくれたのに、支えた結果毒を摂取させられることになる。
流石にこれ以上令嬢を婚約者にさせ続けることは困難だ。それよりも、王子と食事もままならないに違いない。
父親の自分でさえ、同じことをされたら息子を処罰して二度と近寄れなくして、食事に手をつけられない距離まで離しても離し足りないだろう。父親の自分でさえ、これだ。
令嬢なんてもっと近寄りたくないし、殺されるかもしれないし殺そうとした男の側になんていられない。今回のことで子供のことなど論外になった。
婚約などし続けても結婚、夫婦生活は成り立たず破綻するのは目に見えている。婚約を続けてくれと言ったところで、彼女は二度と会うことはしないと簡単にわかる。
毒を盛られてイタズラでしたと言われて、気を失ったら蹴り付けられた。事実を認識していなくても証人には事欠かない狂気、強行な行い。そんなことよりも息子の次なる進退にも、多大な影響を与えている事件。
ただでさえ、婚約者の後ろ盾を失うのは目に見えていて、さらに貴族たちの見た婚約者を蹴り付ける次期王の狂態は強烈だったはず。王でさえ、聞いただけで息子が悪魔に見えた。
王妃は恐ろしさに震えて、自室にいる。息子を寄せるなと使用人たちにキツく言い含めていると報告されている。母親だとて、同じ目に遭わされるかもしれないもしもを想像しているのだろう。
イタズラ、好き嫌いで摂取してはいけないものを盛られては、敵わない。同じ屋根の下で生きていくのが、もう無理だ。子供のお遊びの範疇を軽く超えてしまっている。
未だ何が悪かったのか理解しない王子を叩き続けながら、フウフウと荒く息を吐く王。王子は満身創痍でシクシク泣いている。痛みで言葉も出ないらしい。
しかし、泣きたいのはこちらだ。苛立ちが胸を支配するが、他にやることは山積みでこの子供だけに構うわけにはいかない。事件のことで王子に次期王と継承権を与えるのは、危険なのではないかと抗議が届いている。
「お前がやったことは殺人未遂だ」
「ひっ。そんなことはしていません!」
「食べたら喉が腫れて息ができなくなる……今はわかるな?」
「知らなかったんです。知らないことを今知ったんです」
「なぜ、知らない?お前は婚約者だろう?命に関わるからと教えられたはずだ。私も報告書で、令嬢が食べられないものだと何度も告げていたのを、見て知っている。お前もその場に居たと。ああ、聞くたびに子供みたいに食べられないのか、とせせら笑っていた、ともあったな?それか?お前が軽んじて一泡食わせようとした発端は、それなのか!?」
確かに食べられないことを馬鹿にしていた節があると書いてあった。言葉だけで行動に移すとは誰も思っても見なくて。軽んじていたことも把握していたが、よもや殺しかけるところまでやるとは。
父王の射殺す瞳に怯んだ子供はだって、だってとなぜか口をモゴモゴさせて言い出す。仕掛けておいてだって、などは手遅れだというのに。まだ意識が戻っていない令嬢のことを思えば、隠蔽も叶わないので謝罪をしっかりするしか道はない。
密室ならばまだしも、場所は開けた場所で人間の目が大量にあった。隠しておくことはできない。いくら王妃が隠してくれと仮に言っても無理だろう。人の口は軽いのだから。
重い者が一人いたところで軽い者が一人いるだけで、口が堅い人間の堅さは意味がなくなる。秩序も崩壊するのもすぐだ。誰かに違うと言っても目で見てしまったものは消えない。記憶から何もかもが。
あのような王子を王にするのは近隣国も不安になって、明日以降手紙や書簡でことの経緯を尋ねてくるだろう。必死になって隠したり誤魔化したりすれば、争いの種になる。それを上手く誤魔化してくれていた婚約者は、庇ってもらっていた本人が意図的に消した。
あの王子が王になった時、他国を襲うかもしれないと。人間をあんなふうに扱うのならば、小さい国の人間はもっと酷い目に遭うと思うはずだ。
そこら辺を上手くまとめてくれていた令嬢を、当の王子が全てやってきたことを無視して、手にかけた。隣にいたのに、隣にいさせなくしたのだ。
二度目もよろしくとは言えない。すでに王命で縛ってしまったのに、義務でやらせていたのだから。判断を間違ったのだろう。
息子だからと王に安易に決めるのではなかったと、王は力無く最後の一撃を相手に加えると顔を地面に向けてから、ヘナヘナと崩れ落ちた。
「お前のせいで、なにもかも台無しだ……」
息子は殴られすぎて気を失っていた。兵士も使用人も誰も王子を助け起こすことはない。
*
本来パーティなどを片付けていたはずのジュリエラは後遺症と副作用のせいで三日間寝込んでいた。王妃もダウンしているので片付けはほったらかしにされて、庭はまさに事件現場のままだった。
そこをジッと見つけるのは起き上がりすぐに王家の事件現場へ直行した、盛られた本人。なぜなら、やるべきことがあったから。
見事王子に盛られた証拠を手にしながら鼻歌交じりにふんふんと、父と共に歩く。護衛もだ。この国、王家はもう安全に出歩ける場所で無くなったと周りにアピールするには最適なのだ。
敵対とも言える行動は、王城に仕官している貴族たちに多大なる視覚への衝撃を与えたらしく、五度見するものは多い。
しかし、そんな視線はなんのそのと無視して、呼ばれている応接室に場違いな気分を周りに知らせる女。王家と仲良くするつもりはもう欠片も胸にないので。
毒に等しいものを盛られて呑気に健気にお仕えします、支えますなどと言い続ける奉仕精神は消えた。転生者というものも自分の中に生えてきたので、余計に。
王と会う部屋に着くとピリリとした空気になる。あちらがどれほど首を洗っているのかわかっている分、そんなの当たり前でしょと言いたい。
他人なのだ。ただの婚約者。配偶者でも血のつながった兄弟でもない。遠い従姉妹やらに通じる血筋はあるかもしれないが、それでも軽く扱っていい身分でもないのだ。
王命においての婚約であったにも関わらず、必要性と重要性を壊したのは王太子の彼だ。一方的に危害と加害を加えるなど王の命令を無視して軽視した不敬を王の息子が自ら貴族たちに示してしまった。もう彼らは王子に対して強い敬意も王族として、従わないといけない気持ちが消えかかる。
言うことを聞いても王家の血筋を尊んでも、婚約者ですら何もしていないのにこうやって手にかけられた。貴族たちにとってどれほどの恐怖か。何もしていないのにうっかり家を潰しに来るかもしれない邪念と疑いは晴れやしない。
父や使用人、調査員に文官達の話を総合するとジュリエラが気を失って死にかけていたとき、婚約者のどうしようもない男の子は自分を何度も蹴り付けて、足蹴にしたのだという。平民ではなく貴族を、だ。尊き血を持つ己を、だ。
つまり、あの男の子は王族の血族の一つを足蹴にしたと周りに示した。己が上だとマウントを取りたかったのだろう行動が、周りからどう思われるかに至らないとは嘆かわしい。
「ジュリエラ嬢、よく来てくれた。身体はどうだろう」
婚約者の高位貴族でさえ、あんな扱いをした人間を王にする人間はいまい。王が脂汗を流して問いかけてくる。今さらこんな風に気にしても王子の暴走を止められなかった失態を追及されるのに。
「医者から子を産めなくなったと判断されました」
挨拶もそこそこに笑みを浮かべて彼等を見る。王子は部屋でまだ監禁しているらしく、ここにはいない。どうせ、後で謝罪させるのだろう。謝っても本気で謝る人間ではないことは知っているので、正直いらない。
冷えた氷の視線を受け止めきれない周りや王が絶句する。初手で産めなくなったと言われた衝撃は言葉にならないのだ。
そんなことはどうでもいいと、令嬢は今回王子の婚約者を辞退することを告げた。父も納得している。もう用無しの娘なのだから。
政略にも使えなくなったからと、王子との婚姻は不可能となる。他の立場も用意させることはできるが、また毒を盛られても敵わない。
それに、今回のことがなくても居続ける気は皆無。今まで足りない部分を補うために、やりたくもない手伝いをしていた。毎日毎日。
母親みたいになるのは当たり前だ。周りからそのような役割を押し付けられていたのだから。なにか間違っていたら注意してほしい、とやんわり言われていたのだ。だれからも、皆からも。
ふざけるなと今なら言える。なんで婚約者というだけで母親みたいに言わなきゃいけないのか。やるのなら実の親や教育係がやるべきだ。ワンオペさせるな。思春期の娘に子供を押し付けるな、と。
起きたら転生していたし、死にかけたし、というかもうほとんど虫の息だった。起きているというより転生者の自分が内なる知らなかった魔法を使って助かったという方が正しい。でなければ、絶対に絶命していたはずだ。
「辞退させていただきます。慰謝料につきましては別日に」
王子妃教育で育てられた美しい角度で終わらせようとするが、周りが慌てて引き止める。子供が産めなくても実務能力の桁が違いすぎて、文官として雇用させて欲しいと頼まれる。しかし、首を縦に振ることはない。
「王太子殿下と同じ場所にいられませんので」
はっきり伝えると周りはまたハッと気づく。あの王子が同じ場所にいる元婚約者にちょっかいをかけない理由がない。またあの横暴さで殺してこようとしてくるのは、目に見えているのだ。
誰も彼もが継続してくれとは言えない。ただでさえ、年下の王子を長い間支えていた少女に無理はもう言えない。勿論、貴族として支えろと言うのは簡単。しかし、王族の人間が支えてもらっている相手を故意に襲った。
本人曰く躾をしてあげようとしたらしい。どちらにせよ、躾をする権利などない。何か悪いことをして、貴族に刑罰を言い渡す権利は王にある。それでも、様々な期間や人間や組織を挟むのが前提。
婚約白紙をここでやって欲しいと最後の願いを伝えると王は心得ていたらしく、紙を持って来させて父のサインも押される。それを見て漸く笑みが浮かんだ。その後、父は一歩後ろに下がりジュリエラの除籍を言い、王の言葉を失わせた。
王太子の長年の婚約を無くした日に、同じくして貴族令嬢すら取り上げる卑劣さに。しかし、ジュリエラは動じない。
「陛下、娘はもう直答する身分ではなくなったので私が説明します。元娘は聖女の力を覚醒させました」
「は?」
目を点にした元婚約者の父親は何度も目を瞬かせて、周りを見てこちらを見る。ジュリエラはすでに貴族ではなくなっているので、王の名に従う必要はない。聖女というのは、不思議な力を使うことができる女のこと。魔法使いと違うのは、政治的な理由らしいので魔法使いみたいなものだ。
魔法を使えるようになったと言うことだ。さらに言うと、後天的なもの程力が強くなる傾向にある。故にジュリエラはとても強い力を使えるようになった。王家に利用なんて二度とされたくない娘の意向を受けて、父親も流石にいつ殺されるかとなると送り出して死ぬことは、双方望んでいない。
ジュリエラはこうして、籍を抜けて王が手出しできないようになった。平民になったからと言って魔法を使えることに変わりなく、魔法使いが所属する組織に打診してきたのでそろそろ手紙が来るはずだ。それとも、人を寄越すのだろうか。
王は何か言いたげに口を動かしたが、言えることが思い浮かんでは消えているのか我慢しているのか、頭をゆるりと下げていく。落ち込むといった表現が強いのかもしれない。聖女になったからと王子の婚約は解消されているので、書類にも二度と結べないと記されていることも、しっかり確認してある。
同じ人間と縁を結べなくする契約であり、今ここで無理やり押し通そうとしても聖女や魔法使いの力が強い組織が意思確認してしまえば、終わり。向こうの方が何もかも上。
無理矢理の再婚約は到底叶わないのだ。それをしてしまえば、組織ごと敵に回す。元とは言え実家も。殺そうとした事実を知る貴族たちも、必ず王家に疑心暗鬼になるだろう。許したとみなされない。
聖女だから無理矢理押し付けたのだと、さらに王家に不審が募るのみ。それをわかっているからこそ、こうして余裕を持って目の前まで来てあげたのだ。すでにこの中に王家への忠誠心もないのだから、王が打診しても頷くことは永遠にない。
それよりも、王子に仕返しをしに来たので、今回の面会はおまけに過ぎなかったりする。王が帰っていいと言うので、父と帰りの道を行く。とある場所を通り過ぎたとき、目の前に影が遮った。ああ、来たのかと気持ちが盛り上がる。
「待て!」
案の定、謹慎を受けているはずの王子だ。いつもの癇癪で兵士たちを押し退けたのだろう。この王家の悪いところは権力を王子に与え過ぎているところだと思う。
こちらが被害に遭う前に弱めておいてくれさえすれば、あそこまで傲慢になることはなかっただろうに。地団駄を踏みながら器用なことにこちらに近寄る。
護衛たちが動いて前に出ると不敬だぞと叫ぶ三下。どうしてこういう鳴き声しか鳴けないのだろう、哀れな王族は。騒ぎを聞いて飛んできたのは王だ。
昨日までとは真逆な立場なので、逆らうなと言わなかったが無礼なことをするなと今更な注意をする。婚約者の時からこんなことばかりだったのに、今になってキツく言うとは何度失望させられるのか。
父も冷めた目で見ているが、今まで後ろ盾になって思考停止で王家の子供という、無条件融資をしていたようなもの。見る資格は俄然無し。しかし、後ろ盾をなくした王子にあとはない。
今まで第二王子は欠片も土台に立たなかったが、王は嫌われた王子なんか捨てて弟王子を次期王としようとするのはわかる。今も愚かな息子を止めているが、期待はどこにもない瞳をしていた。
「どこに行く!?私を無視するな、女の分際で!」
「黙れ!」
「え、父上?なにを」
「貴様はもう婚約者ではない。偉ぶるな!誰か!部屋に戻せ!不愉快だっ」
「ち、父上!?」
王子は信じられない顔で親を見た。しかし、こちらを向くと睨みつけるのでジュリエラが何か言ってこうなっているのだと勝手に決めつける。彼にはそうやって居続けてもらわないとね。落ちるところまで落ちるまで。ニヤリと笑った。
「好き嫌いしてはいけませんよ?できるものならね」
数時間後、王城の王子の一室で本人が叫びながら喉を抑えて、苦しむ姿がたくさんの人間に目撃された。
「ぎぃやああああ!!」
それ以降、何を食べても喉や体が痛み腫れが常に付きまとう謎の病気にかかったとして、表舞台から完全に隔離された。
ジュリエラは記事を新聞で読みながら、魔法使いの集まる建物の中で幼馴染の護衛であるピーテと共に、元婚約者としていいことをしたと満足に笑った。ピーテは王子の暴力から引き離そうとしてくれたのだが、何もできなかったと悔いてしまい何度もあなたのせいじゃないとお互いに励まし合った程、気を許している相手だ。
「最後のプレゼントは気に入ってくれたみたいね」
ありとあらゆるものが受け付けなくなるように、王子へ同じ目に遭わせるためにかけた。王子が来なければ別の方法にしたのだが、考えた通りノコノコやってきて罵倒を繰り返すので反省の色なしと、罰を下したのだ。
今自分は魔法によって食べてはいけないものはなくなっているので、好きなだけ食べられなかった分食べている最中である。やっぱり好き嫌いはしてはいけないな、とまた一口ぱくりと食べた。
最後まで読んでくださり感謝です⭐︎の評価をしていただければ幸いです。片方がヤバいので割りを食いまくりました




