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プロローグ:青年の葛藤

「本当にこれ、受けるべきなのか……」

部屋の片隅で、僕は悩み続ける。どう考えても、自分がこんな場面に立たされるなんて思ってもみなかった。


彼女――あの貴族の娘のことを思うと、心がぐっと締め付けられるような気持ちになる。彼女は、僕にとってまさに特別な存在だ。貴族だからとか、立場の違いなんて関係なく、彼女が僕に微笑んでくれるたびに、その笑顔が世界を照らしているような気がしていたんだ。


「でもさ、僕たちって、本当に一緒になれるのか?」

正直なところ、ずっと不安だった。僕はただの一般市民だし、彼女は貴族。僕たちが結ばれるなんて、普通じゃ考えられない。でも、彼女が僕を見つめるその瞳の中に、確かに何かがあるって感じるんだ。それが何か、まだはっきりとは言えないけど……。


そんな時、あの英雄が現れた。かつて魔王を倒したあの人が、僕に話を持ちかけてきたんだ。「異世界のバチェラーに参加しないか?」と。最初は冗談かと思った。でも、彼の目は本気だった。これは、僕と彼女の未来を変えるチャンスだと言って。


でも、ここで考え込むんだよな。

このショー、女性たち――彼女も含めた9人が競い合うって聞いてる。他の9人には申し訳ない気持ちがあるんだ。だって、僕の心は最初から彼女に向かってるんだもの。どんなに素晴らしい人たちがいたとしても、僕には彼女しか見えない。だから、他の8人に対して、どうしても罪悪感が湧いてくるんだ。


それに、彼女はこのショーに参加することで、他の女性たちと競わなければならない。彼女が苦しむ姿なんて、見たくないんだ。だって、彼女は優しすぎる。自分が貴族でありながら、誰かを踏みつけにするなんて、彼女にはできないだろう。それが心配で仕方ない。


「こんなところで、彼女を傷つけることになるんじゃないか?」

僕は自問する。彼女が他の8人と競い合い、時には厳しい選択を迫られるなんて、考えるだけで胸が痛くなる。彼女がこのショーに出ることで、余計な苦しみを背負ってしまうんじゃないか……。


「だけど、これが僕たちの唯一のチャンスかもしれない……」

そう思うと、踏み出さなきゃいけない気がしてくるんだ。彼女と一緒にいるためには、このチャンスを逃すわけにはいかない。それに、彼女が僕を選んでくれるかもしれない――いや、彼女の気持ちは確かだって信じたい。


「でも、他の8人にも失礼になっちゃうし……」

その考えが、僕を再び引き戻す。他の女性たちも、それぞれに夢や希望を抱いて参加してくるはずだ。それを踏みにじるようなことになるかもしれないって思うと、心が重くなる。彼女が他の女性たちと争う姿を見たくないけど、ショーが進む限り、それは避けられない現実だ。


「いや、やっぱり……」

悩みは尽きない。でも、彼女のために僕ができることは何かと考えた時、答えはひとつしかない。このショーを通じて、彼女を守り抜くこと。どんなに困難があっても、彼女が最終的に幸せになるように僕が支えるんだ。


「うん、決めた!」

立ち上がる。彼女が苦しむ姿なんて見たくない。でも、彼女のために、僕はこの挑戦を受けよう。彼女がどんな決断をしても、僕は彼女の側に立って、支え続けるって決めたんだ。


「だって、彼女のことが好きだから……」

微笑みが自然と浮かぶ。そう、僕は彼女のために、この道を選んだ。

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