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ねこねこあるある ネコとの暮らし

ねこふんじゃった!! 宅内交通事故はこうして起きました

作者: 池畑瑠七

「!!!(うにゃっ!!)」


「あーっ、ごめん!!」( ;∀;)


 どどどどどどど・・・!!!


 叫んだと同時に疾風の如く自分のお部屋へ逃げこんで行ったぷーちゃん。

 

 脚、ふんじゃった!ごめーん!!


 全身フワフワのオレンジ毛は床やインテリアに溶け込むナチュラルボーン保護色をしている。同じ色味のテーブルや床の上でだらーんと伸びてると、溶けたキャラメルみたい。見事にカラーが混じりあい一体化してしまう。


 肉球の間から長く伸びてる毛は足裏をほぼ覆ってる感じなので、余程勢いよく走りまわらないと足音ってものもしない。普通に歩く・走るときは全く無音、気配を感じさせない。ネコはまあみんなそうなんだけど、ぷーちゃんは熟練ニンジャのようだ。

 先代ネコは和猫短毛種で白毛がベースだったから夜昼どこに居ても良く目立ち、所在を見失うようなことはまずなかったんだが(抜け毛もすごい目立った)。


 ぷーちゃんは夜中に物音も立てず静かーに部屋にやってきてころん!と床に寝そべったり、黙ってジーっと座って居たりする。そうすると完全に闇に紛れてしまうのだ。

 そんな風だから、昼間でもいつの間にやらすーっと足元に寄ってきていて気配に気づかず「おっとっと!」ってことが結構ある。


 先日、とうとうその事故は起きた。


 キッチンから料理皿を運ぼうとして一歩、後ろに足を引いたところ「ふにゅっ」!!

 スリッパの端っこで彼のちいちゃな右後ろ足をちょっと(の感覚だった)踏んづけてしまったのだ!

 ごはんねだりに足元へ寄ってきていたぷーちゃんに気付かなかった!


「!!!!」


 声にならない声を上げ、ぴゅーっと脱兎のごとく飛んで逃げたぷーちゃん!

 ビックリと痛さ怖さで目を真ん丸にし、しっぽはぶわぶわタヌキ状態。飛び込んだ兄ちゃんの部屋の真ん中で、ピキピキに固まっていた。


「ごめんね!ごめんね!大丈夫?」


 足を診ようとしても、怯えて後ずさりして逃げていく。


 でも、今のところ普通に歩いている様子ではある・・・・。

 夜だったこともあり、その場は少し様子を見て翌朝まだ痛そうだったら病院に連れて行こう!となった。


 翌朝。とりあえずは普通に歩いている。よかった。

 でも触られるのはどうもイヤみたいだ。怯えてる・・・。そりゃそうだよね。ママ怖い、となって居る。


 暫く観察していると、ときどき「ひょこたん、ひょこたん」と足を庇っている様子が。

 ああ~~やばいなあ、やっぱ これはいかんな!ということで、通院を決意。

 痛がってる後ろ脚を余計に傷めることのないように毛布で体を覆い、先日新調したばかりの大き目のキャリーに慎重に確保して連れて行った。

 

 触診とレントゲン検査でシッカリ診てもらったところ、骨には異常なしと判りああよかった、ホッと一息。そして処方されたのは痛み止め&胃薬の錠剤がセットで、4日分。

 こないだの吐き気止め6日分の経験がさっそく活かせる時が来た。まさかこんなに早いとは思っても無かったけど、とりあえずは良かったー諦めず必勝法見つけといて!

 またしてものお薬ごはん。ぷーちゃんごめんよー、美味しくないかもだけど一緒に頑張ろう!


 その日の夕ごはんからチュー○作戦での投薬を再開。今回はどうにか、1回目からクリアできていった。

 ただ・・・あれ以来どうも私は嫌われてしまったらしい。いや嫌われたというかすっかり怯えられている。一番大好きな兄ちゃんでさえ、近づくとちょっと警戒モードだ。

 

 私が近寄ればすーっと逃げるし、ネコ鍋でヨシヨシしてあげようとすると身体を捻って引きまくる。


 ごめんよー 痛かったよね、ほんとごめんねーでもわざとじゃないんだよー

 って何度謝ろうが暖簾に腕押し、糠に釘。

 近くを通るだけで同極磁石が反発するかの如く、すたたたたーっと離れていく( ;∀;)


 でも考えてみれば。 

 毎日大きな音の掃除機使うわ、買い物袋下げて帰って来るわ、爪は切るわ。

 キャリーに押し込んで病院には連れてくわ。

 キライなお薬飲まそうとするわ。

 わたしゃ嫌われる要素ばっかりだわwwww

 その上に とどめが「ねこふんじゃった!」じゃん


 えーん悲しい~~~( ;∀;)


 一度嫌な思いをしたらなっかなか忘れてくれない記憶力抜群な(執念深い?)ぷーちゃん。さて、どうやって失地回復したものかなあ、とちょっと寂しい思いも心を過る。

 とはいえ、今はそれよりもケガからの回復が一番の気掛かり。

 

 通院から3日め。少し遅めの初詣にみんな出かけ一日、ひとりでお留守番となった。このところずっと誰かしら入れ代わり立ち代わりで在宅してたから、この日のお留守番は大分さみしかったらしい。

 帰宅した途端に大喜びで寄ってきて、足元でスリスリ。誰もいなくて静かに寝てたのも良かったのかな、少しご機嫌も元気も戻ってきたようだった。


 よかった!


 そのあとはお薬チュー〇も順調に進み、ごはんも3日分とりもどすかのようにモリモリカリカリ!食欲も出てきた。


 ところが、である。ホッとしていたのもつかの間。痛み止めが終わった4日目にまた、時々びっこをひき出した。しかも、今度は左を庇っている。あれえ?なんで?痛かったのは右のはず・・・?

 ビックリして逃げ出した時、その勢いで左後ろ足の筋や股関節とかを傷めちゃったのかもしれない。


 お薬が終わったらまた痛みもぶり返してきたらしく、眉間にしわを寄せたような不機嫌な表情が多くなった。ナデナデされるのも喜ばない。遊びたがるんだけど、遊び出すとすぐに気持ちが萎み、やめてしまう。

 

 元気は元気、食欲も普通にはあるんだけどな・・・?様子を見てるうちに、治っていくかな?

 病院嫌いのぷーちゃんには、通院自体が凄いストレスだし。連れていくことに少し迷いはあった。

 でもなあ。やっぱこれはもう一度診てもらった方がよさそう、ってことで再受診することに決めた。


 診察の結果は。やはり骨に異常はないものの、まだ痛みのある脚が体重を支え切れてないようだ、ってことだった。自然治癒を待つしかないケガなので当面の安静と、あとは痛み止め。

 錠剤の選択肢もあったが、ごはん&お薬入りチュー○が続くとストレスが長引くし、ご飯嫌いになってしまう可能性が彼の場合は大分ある。

 ちょっと高価にはなるけど、一度で1か月効果が続くっていう痛み止め注射をしてもらうことになった。

 接種は一瞬で済み、直ぐに帰宅することができた。


 効果は抜群、ちょっと驚きだった。帰宅直後キャリーから出した途端にいきなり意気揚々、尻尾を高々掲げゴキゲンさんで歩き出した。

 遊ぼう!ってグイグイ誘ってくる(笑)。でもまだね、走るのはダメなんだよ。

 食欲もモリモリ。その晩から、すっかりいつものぷーちゃんに戻っていった。

 

 余程、痛みや不快感が大きかったんだなぁ。ほんとにごめんね。

 言葉にして「ここが痛いよ」って言えないのを、普段との違いからどれだけ察知してあげられるか。日々の観察と、早め早めに打てる手を打つのは非常に大事なことだとつくづく、思った事故だった。


 それから2日後の朝。

 「あーけーてー!」とキラキラした目で私を見上げながら、ぷーちゃん足元に寄って来た。

 お風呂場のドアを開けてほしい、というのだ。

 「お風呂寒いのに。遊びたいの?」

 ドアをあけてあげると、脱兎のごとくバスルームに飛び込んで空っぽの浴槽にダイブ!

 つるつるのバスタブでころんころん転げまわり、そのあとは気のすむまで残ってる水滴を観察。


 付き合ってると果てしがないのでまだ終わってない家事に戻ろうとすると、バスタブから飛び出てくる。

 「ひとりじゃつまんない!行っちゃだめだよー!」

 「ままー見てて―、そこで見ててー!!」

 とわざわざ呼びに来ては、私が風呂場までついてくるのを確かめてまた、ダッシュでバスタブにジャーンプ!

 脚に強い衝撃がかかる動作はまだNGだから、お風呂場にはクッションマットを敷くことにした。


 痛みが治まるとともに「ねこふんじゃった」の痛い怖い記憶も少しずつ薄れて行ったようで、表情も仕草もいつもの やんちゃなぷーちゃんに戻っていった。

 ああ~~~良かった。


 ただ。あれ以来まだ「まま、コワ!」なイメージが完全に払拭できてない気はする。以前みたいに朝、フミフミしに来てくれないし、足元が怖いのか微妙な距離で、スリスリもちょっと遠慮がち。

 少々残念なところである(~_~;)。まあ、慌てずユックリ地道に挽回していくしかなさそうだ。


 

 とりあえずスリッパは、底のふんわりしたやーらかいやつに家族全員分を買い換えました。



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― 新着の感想 ―
[一言] ねこちゃんとの暮らし、羨ましい気持ちはありつつ、確かにちっちゃいが故に予期せぬ事故は起こってしまいそうですね……!(´・ω・`) 大事にならずよかったですが、スリッパを買い替えるとはさすがで…
[良い点] はじめまして。コメント失礼します。 うわぁ、あるあるだよなぁ〜!っと、思いながら楽しませて頂きました。 [一言] 私は作者様と愛猫の様な状態になった時、いつも愛猫の目線の高さに合わせるよ…
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