急いで支度
携帯電話のメッセージ音がなった。
「紅ヶ丘駅行きのバスに乗ったよ」
メッセージを確認した友莉は急いで着替え出した。
バスが駅に着く頃には駅に到着しておく必要があったから。
朝から起きたままのパジャマのままで、髪はボサボサ。
急いで櫛で梳かしてはみるものの、なかなか梳けない。
櫛で梳かし終わったあとでも、寝癖なのかピョンピョンとはねる髪や、何故か途中に曲り跡のある髪が鏡ごしにみえる。
急いでドライヤーのコードを差し込みスイッチを入れてセットしていくが全く治らない。寝癖を治すために櫛ですくった髪にドライヤーを当たるが、髪にドライヤーの風は当たっていないのだろう。毎回、友莉は鏡ごしに一生懸命、髪にドライヤーを当てているが、おそらく毎回、若干ずれた位置にドライヤーの風が吹いている。友莉が鏡から見たら絶妙にヒットした位置だが、全く寝癖は治らない。友莉は極端に頭髪を整えることが下手だった。
それでも、なんとか鏡の中の髪はセットし終わり整えられている。この後、悲惨な状況になることは分かりきっていたが直しようがなかった。
急いでセーター、ロングスカートを履き終わり、駅に向けて早歩きで向かう。家から出て数分後だった。すれ違った人が、友莉に一旦、釘付けになり目を逸らして過ぎ去った。友莉は、なんだうと思いながら先を急ぎつつ、ふいに足元を見た。
履いていたロングスカートは、ドレスの裾を持ち上げる手つきと同じようにロングスカートの裾が少し上がり歩きやすいようにして早歩きしていた。友莉の癖である。下を見ながら歩いてしまうのは…
ふいに…あれっ???
何か、いつものと様子が違う…
考えながらよく見てみると生地が段上に重なったティアード型のドレスのようになっている。でも段は2段しかないが…
うーん…歩く速度を落としながら、しばらく考え込んでしまった。
あー
友莉は、急に心の中で叫んだ。
ツルツルやん。裏地やん。裏表逆に履いてるやん。
なんと、スカートは本来なら肌側にくる面を外側に履いてしまっていた。
友莉は悲しみと途方にくれながら、家に引き返した。
あーなんという恥ずかさ、そりゃ〜見られるわ。
頭もセットは鏡の前だけ、外出した途端にボサボサになっていて、しかもスカートを逆に履いてる人はおかしいわ。そして颯爽と堂々と歩きすぎてて注意もできないわ〜
と心の中で、自分に馬鹿だねと話た。