第1話 99,999,999回目の転生
初投稿失礼いたします~
誤字、脱字、表現の誤り、文法的ミスなどなど多々あるかもしれませんが…温かい目で読んでいただけると嬉しいです!
第一話からしばらくは、毎日18時に投稿いたします!
ぜひとも、ぜひとも読んでみて下さい…嚙めば嚙むほどおいしくなる、
スルメのような作品ですので...(自己評価)
「落ちてゆく……」
――異世界転生と聞いて、君はどんなものを想像する?
剣と魔法のファンタジーだろうか。
煌びやかな貴族達の社交界だろうか。
あるいは、それらとはまた違ったものか。
一度はあるだろう、
「絵本の世界に行ってみたい」であるとか、
「華々しい活躍をする主人公になりたい」であるとか、
そんな夢、憧れの類がもし叶ったら……という物語が、
“異世界転生”としてよく描かれる。
だがもしそんな夢が、無限に続く終わりのないものだとしたら。
それは憧れの夢であり続けられるだろうか……?
「最初の世界は、どんなだったっけ……」
男とも、女とも。 もはや声なのかすらわからぬような呟きが虚しく響く。
(また……誰かに復讐でもするのだろうか)
(……それとも、貴族の子にでもなるだろうか)
(あるいは……また力を与えられ、異性に囲まれるような生活を?)
「帰りたい……」
(帰るべき場所。 記憶の彼方にある、我が故郷…………)
≪転生シーケンスを開始≫
≪……≫
≪失敗しました≫
(次は、人に生まれられるだろうか……)
≪メインフレームへの接続に失敗しました≫
≪再接続中……≫
≪失敗しました≫
≪データを更新できませんでした≫
≪システムを再起動します≫
「次は、せめて人に……」
≪……≫
≪致命的なエラーが検出されました≫
≪転…繝ヲ繧ー繝峨Λ繧キ繝ォ…生システ…繧ィ繝ゥ繝シ…ム…を……≫
(次は、どんな名に生まれるのか……)
(同じような世界を繰り返す……)
「……また、か…………」
空間が眩い光に包まれてゆく。
呟きの主にとっては幾百、幾千、幾万……あるいは幾億と繰り返してきたこと。
――転生。
◇◇◇◇◇
「……ん?」
「いきなり真っ暗だな……洞窟にでも飛ばされ――」
そう”俺”が言いかけたとき、背後からびゅうっと野を駆ける風の音が、風に吹かれる感覚が、真っ暗な視界のままの全身を駆け抜けた。
「……!?」
恐る恐るその場にしゃがみ込むと、”背の低い草”をそこに感じる。
「すっ……ステータスオープン!」
「……鑑定っ!」
「結界っ!!」
……そんな彼の唱えた言葉達は、虚しくも、響くことなく消えてゆく。
「クソッ、なんで真っ暗なんだ……!」
「ステータスも、スキルもないなら……誰か!」
「誰かいないかっ!」
「あ゛ぁっ!?」
歩き出そうとして前に出した足は空を蹴り、ズサァと音を立てながら、そのまま転げ落ちた。
「痛っ……今、足を踏み外して……」
「っ……あ゛ぁ……っ!?」
腹に激痛が走る。 熱い。 何も見えない暗闇の中の激痛……周囲に漂う、血の臭い。
「えっ、死ぬ……!?」
何度も繰り返してきたはずの死。
何度も繰り返してきたはずの生。
しかし、今回だけは、本当の意味での”死”の接近を感じていた。
消える、意識が消える。
怖い。
死にたくない。
生物としての本能が、正しく作用する。
「回復っ……!」
――しかし、何も起こらなかった。
「再生っ……!」
――しかし、何も起こらなかった。
「なんでっ……転生っ!」
「転生しろよ! はやく……っ転生! 転生っ!!」
――しかし、何も起こらなかった。
「うぁ……っ……」
「誰か……助……けて……」
意識は、そこで途絶えた。
…………
「お……よかった、目が覚めたんですね!」
“この世界”で初めて聞く、自分以外の誰かの声。
目を開いているはずなのに、変わらず真っ暗な視界。
思考がまとまらない。 ……腹部にひどい痛みを感じる。
「盲目、か……」
――物語は、いつだって”目覚め”から始まるものだ。
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