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上手な魔法の使い方  作者: 睦月
双極の熾天使
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市場にて その1

「とりあえず、この後どうしよっか。」


ギルドを出た後、シルファはシオンに話しかけた。


「ん~~~。

この辺の地理に詳しいわけでもないし、とりあえずはギルドからの連絡待ちかなぁ。

後はこの辺の状況、と言うか街の様子も知っておきたいね。」


シオンは考えながら言葉にすると、シルファがすかさず言葉を遮った。


「じゃぁ、じゃぁ、じゃぁ、この辺の地理を把握するってことで市場に行ってみようよ。

人は何か食べないと生きていけないから、色々情報も集まるはず!」


「ってそれってシルファが何か食べたいだけじゃ・・・。」


シオンの突っ込みにシルファは舌を出しておどけてみせた。


(でもまぁシルファの言ってることも一理あるし、今回は乗ってやるか。)


「まぁ、人が多いところには情報も集まるし、何もしないよりはましか。

行ってみるか。」


シオンの言葉にシルファは目を輝かせた。


「流石しー君、わっかるーーー!!

じゃあ行こう!

今すぐ行こう!」


シルファはシオンの腕をとると引っ張るように歩き始めたのだった。



「しー君、ほらお団子食べよう!

あ、あんみつもある。

磯部巻きも美味しそう!!」


市場に着くなりシルファははしゃぐようにシオンの周りから離れるように駆けている。


「おーい。

目的を忘れるなよーー。」


シオンは微笑みながらもシルファに語り掛けた。

手紙を探しているとはいえ旅の中での久々の休息のため、シオンもそこまできつい言い方ではなかった。

市場だけあって朝ほどの賑わいは薄れているが、それでも一般の人々はこの時間も賑わっている。

暫くシルファを放っておくとお団子を咥えたシルファが戻ってきた。

両手には桜餅とおはぎを持っている。


「ふぁい、ふぃーふん。」


何を言っているのかわからないシルファが手に持ったおはぎを渡してきた。


(食べろと言うことなのか???)


シオンは恐る恐る受け取ろうとした時だった。

シルファが腕をさらに伸ばし、おはぎをシオンの口にねじ込んできた。


「むぐっ・・・・。」


とっさのことだったのでシオンも回避することができず、そのままおはぎを頬張る。


「もぐ、もぐ。

ごくんっ。」


そのままゆっくり咀嚼して飲み込む。

その姿をシルファは見ながら、自分もお団子を飲み込んだ。


「美味いな。」


「でしょでしょーー!」


ボソッと呟いたシオンの言葉にシルファは嬉しそうに反応した。

もう片方に持つ桜餅も既に頬張っている。

そのまま桜餅も食べ終わると再び姿を消した。


そして戻ってきたときには口にはたい焼きを咥え、それぞれの手には饅頭と水羊羹の器を持っていた。

シオンは現状を理解できないでいた。

行って戻ってくると両手と口に何かを咥え戻ってくる。

冬眠前のリスか何かなのか?

否、これが普段通りのシルファなのだ。

そして再びシオンの口に饅頭を押し込んできた。


「むぐ、むぐぐ。」


シオンはされるがままに饅頭を頬張り、飲み込んだ時にはシルファは既に水羊羹まで食べ終えていた。


「しー君、次は何を食べようか?」


「えっ??

まだ食う気なの?」


「えっ。

だってこれからお昼でしょ?」


シルファはキョトンとした口調で答えた。


「えっ?」


「えっ?」


一瞬の沈黙が流れる。

そういえばこんなやり取りを村でもよくしたな、などとシオンは思い返した。


「わかったよ。

でも流石に出店だとあれだからどこかお店に入ろう。」


シオンが提案するとシルファは嬉しそうに答えた。


「あ、それなら向こうに美味しそうなお店あったよ。

こっちこっち。」


シオンの方を向いたままのシルファは後ろに2,3歩、後ずさりした。


「あ、シルファ・・・。」


シオンが声を出した瞬間、シルファの背中に何かがドンっと当たった。


「あ、すいません。」


シルファが振り返るとそこには1人の男が立っていたのだった。

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