邂逅
「こんな昼間からよく表通りを歩いているものだな。」
2人の目の前に立つ一団の前に立ち、一際目立つ少年が声をかけた。
全員が青を基調とした軍服を身に纏う中、その少年だけは黒の軍服を身に纏っている。
「クロム、、、何か用か?」
ビャクヤがクロムと呼んだ少年は表情を変えずに答えた。
「用がないと声を掛けてはいけないのか?
そもそもお前たちが表通りを歩いているだけで声をかける意味はある。」
その言葉に2人は怪訝な表情を浮かべた。
「俺ら孤児は表も歩いちゃいけないってのか?」
ビャクヤを盾に後ろから少年が叫んだ。
「当たり前だろ。
今までお前たち白狼がどれだけ周りに迷惑をかけたかわかっているのか?」
クロムは表情を崩さずに淡々と言葉を続ける。
「我々黒鷹隊の手を煩わせ続けているのだ。
当然のことだろう。」
そんなクロムにビャクヤは冷静に答えた。
「今この場で我々が何かあなた方に迷惑をかけているなら教えてくれ。
先を急いでいるんだ。
ないのであれば・・・。」
その言葉と同時に2人はクロムの横をすり抜けようとした瞬間、クロムが腰の刀を鞘ごと取り外し、すり抜けようとした2人を阻んだ。
「待て!
話は終わってない。
近頃この街の住人以外が窃盗被害にあっていてな。
長い時間留まれないのもあって泣き寝入りしているものが増えているんだ。
お前らが関わっていたりしないだろうな?」
張り詰めた空気がその場を支配した。
2人は周りに気付かれないように平静を装った。
「・・・知らないな。」
自身の鼓動が早くなるのを抑えるようにビャクヤは答える。
「・・・疑わしいな。
お前が顔に出さないのは分かっている。
だが、こいつはどうだ?」
クロムはビャクヤの方に身体を向けたまま、彼の陰で息をひそめるように隠れている少年に顔だけ振り向く様にギロリと睨みつけた。
「ひっ。」
少年は蛇に睨まれた蛙のように怯えたまま息をのんだ。
「心拍数が上がっているぞ。」
クロムが鋭い目で少年を見続けると、ビャクヤがクロムの肩を軽く叩いていった。
「勘弁してくれ。
誰だってお前に睨まれたら委縮してしまうに決まっているだろう。」
クロムはビャクヤの手を振りほどいて言った。
「ふんっ。
今日は見逃してやるが、以後気を付けるように。
お前らは表を歩いていい身分ではないんだからな!」
「・・・。」
ビャクヤは返答をせず、黙ったままクロムの横を通り抜ける。
後ろにいた黒鷹隊がゆっくりと道を開けた。
ビャクヤは空いた道をそのまま歩を進める。
不思議と誰もビャクヤの堂々とした姿に違和感を感じなかった。
反対に少年はびくびくしながらビャクヤの後ろを追いかけるようについていったのだった。




