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上手な魔法の使い方  作者: 睦月
紫の誓い
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攻防と成長

「こんな所に子供が・・・?」


シルファは森の奥深くに突如現れた子供達に驚いていた。


「この森から出ていけ。」

「この森から出ていけ。」


2人はシンクロするように同時に声を発する。


「でないと感電させるぞ。」

「でないと感電させるよ。」


「ちょっと待って。僕達はサンドラさんに会いに来たんだ。」


シオンの言葉に一瞬子供達は顔を見合わせた。

その表情に戸惑いが見て取れた。


「知らないかな?

この嘆きの森に居るって聞いたんだけど。」


シルファもシオンに続いて尋ねる。


「知らない、聞いてない。」

「知らない、聞いてない。」


子供二人は同時に構えると両手で印を結び呪文を唱え始めた。


「仕方が無い・・・か。」


シオンはコテツの峰を返し構え腰を軽く沈めたが後ろからシルファがシオンの方を叩いた。


「待ってしー君。

ここは私にやらせて。」


シルファがシオンの前に一歩出る。


「でも一人じゃ・・・。」


シオンはシルファに怪我をさせたくない一心だった。

が、同様にシルファはシオンの足手まといになりたくない一心だった。

何を言っても聞かないと悟ったシオンは、コテツを鞘に納め、三歩後ろに下がった。


「ありがと、しー君。」


シルファはにこりと微笑むと、前の子供達を見据えて言った。


「負けたら大人しくサンドラさんの家に案内してね?」


「緋雷針。」

「青電気。」


2人は詠唱を終えると同時にシルファに向かって飛び掛かった。


紅眼の子は右手に赤色に帯びた輝く剣を、蒼眼の子は左手に青色に輝きバチバチと弾けるグローブを付けていた。


「装備魔法ね。

しかも雷系はかなり難しいはず。

ただの子供じゃないってことね。

風の翼!!」


シルファは風を纏うと2人の目の前でフワリと舞い上がり空中に止まった。


「へぇ。

僕にかけたみたいに直線的なスピードアップ以外に、あんな使い方も出来るんだ。

シルファ、魔力の使い方上手くなったな。」


後ろでシオンは腕を組んだまま成長したシルファの姿にただただ感心していた。

2人は同時に2本の幹の間を蹴り上がりながら、シルファの位置まで飛び上がって来た。


「早いっ。」


シルファはすかさず纏っている気流の流れを止め自由落下する。

再び二人の攻撃は空を切る。


「ちょこまか動くなー!」

「ちょこまか動くなー!」


二人は同時に叫ぶが、シルファはぶつくさ考えながら落ちている為に、全く聞いていない。


「あれと・・・これを・・・こうして、こうなるから・・・。」


シルファは夢中で考えながら落ちていく。


「シルファ危ないっ。」


シオンの声で漸く気付き体勢を整える。


「っと・・・危ない危ない。」


シルファは地上30センチの高さでふわりと停止した。

追いかけるように上空から2人がシンクロしながら落ちてくる。


「よし、これなら大丈夫。」


シルファは落ちてくる2人に対して両手を伸ばし呪文を唱えた。


「水の障壁!

アイスシールド!」


シルファは左手の水の障壁で振り貫かれるグローブを受け止め、右手のアイスシールドで振り下ろされる剣を弾いた。


「無駄だよ。

受け止めたら感電し・・・・ない?

なんで?」


蒼眼の子は感電しないで平然と受け止めてるシルファに唖然としている。


「この水の障壁は純水だからね。

電気は通さないんだよ。

アイスレイピア!」


シルファが叫ぶとアイスシールドは形を変え細身の剣に姿を変えた。

すかさず蒼眼の子の手を押さえたまま、後ろに回り込み剣を喉元に当て紅眼の子を見た。


「まだやるかな?」


シルファの問い掛けに2人は目を見合わせ、観念したかの様に同時に魔法を解いた。


「さっきサンドラさんの事聞いたら『聞いてない』って言ったよね?

つまりサンドラさんの事は知ってるんだよね?

案内してくれるかな?」


シルファの言葉に2人は黙って頷く。


「じゃあ、とりあえず2人の名前教えてくれるかな?」


魔法を解いたシルファは優しく微笑みながら言うのだった。


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