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上手な魔法の使い方  作者: 睦月
おてんばプリンセスと氷の王子
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エピローグ


《話は前日に遡る》


「お父様・・・何故ラルフのことを・・・。」


レイナは事態が飲み込めず混乱していた。


「動揺していると言うことは、夢ではないのだね?」


アルジュリアは更に言葉を続けた。


「そして私の為に訣別した事も・・・。」


「お父様、もしかして意識が。」


レイナはゆっくりと深呼吸を行い、心を落ち着かせ少しの間考え込んだ。

そして一つの結論を導き出した。

それに対してアルジュリアは静かに答えた。


「いや、意識は無かった・・・と思う。

きっと妻が見せてくれたのかもしれないな。」


遠い眼をしていたアルジュリアが、突如決意に満ちた眼差しでレイナを見た。


「レイナ・アルジュリア。

たった今この瞬間をもって王位継承権をはく奪とする。

今後この城に住むことも許さん!」


「な、何を言ってるのですか?」


いきなり強い口調で言われ、再び混乱するレイナ。

アルジュリアの口調は更に強くなる。


「理由は只一つ。

我が国民を国から追いやった事、その一点である。

民一人守れぬお前に国を背負う資格はない!

明日にはこの国から出て行け!」


「それではお父様が・・・。」


レイナの声をさえぎる様にアルジュリアは声を出した。


「私ならまだまだ大丈夫だ。

大切な国民を追いやったのだ。

しっかりその責務を果たしてこい!」


最後のアルジュリアの声は涙でかすれながらも優しく響いた。



《話は再び現在に戻る》


「レ、レイナ?

何してるんだ?」


足元で丸まってた塊はレイナであった。

もぞもぞと立ち上がるレイナ。

雪にまみれて全身が震えてる。


「お父様に絶縁だって言われて・・・。」


ラルフは話を聞きながら雪を払い落とす。


「ここで待っていたら、いきなり吹雪いてきて・・・。」


「解った、もう何も言うな。」


雪を払い落としたレイナを強く抱きしめる。



「二度と会えないと思ってた。」


「うん・・・・。ラルフ・・・暖かい・・・・。」


「私・・・帰る場所が無くなったわ。」


ラルフの腕の中に包まれながらレイナは俯いている。


「・・・・・・。」


ラルフは何かを考えながら黙っていた。


「ここから東南にあるエドシティーに行こうと思うんだ。」


ラルフは静かに語り出した。


「うん・・・。」


「そこで店を開こうと思う。」


「うん・・・。」



「でも開店の準備も、

開店してからの会計も接客も一人じゃ大変なんだ。」


「うん・・・。」


「バイトを探さないとな。」


「うん・・・。」


「レイナ、一緒に来てくれないか?」


「・・・・・本当に?」


「給料とかそんなに出せないけどさ。」


レイナは俯いて顔を見せない様にしていた。


「しょうがないなぁ・・・。」


レイナはラルフの胸に顔を押し付けて涙を拭った。


「ラルフ一人じゃ不安だから、ついてってあげる。」


まだ流れてる涙を腕で拭いながらラルフを見上げた。


「そのかわり、お給料は要らないから美味しい賄い食べさせて。」


「何を食べたいの?」


「もちろん、初めて会った時食べた、天麩羅カレーうどん!!」


レイナは言い終わると同時に伸び上がりキスをした。



「これで良かったのだろうか。」


城のバルコニーから外を眺めながらアルジュリアは呟いた。


「でも信じたから突き放したんですよね?」


シオンは七星の御剣にリバイアサンサファイアをはめ込んだ。

シルファは事の真相を聞くまでずっと不機嫌だったが、その機嫌もいつの間にか直っていた。


「ラルフさんとレイナさんなら絶対大丈夫ですよ。

でもレイナさんにお別れ言いたかったな。」


シルファのテンションは一向に下がらない。


「きっとまた必ず会えるさ。

それまで私も頑張らないとな。


幸せになるんだぞ、レイナ。」


アルジュリアは明るい笑顔で振り向いて笑って見せたのだった。

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