ディスペルリング
「そのディスペルリングって何?」
暫く話を聞いていたレイナがようやく口を開いた。
「ディスペル。
言葉の通り、解呪専用の指輪です。
作れる人が限られているのと作成に膨大な魔力が必要なので、
そもそも存在自体が稀有なので知ってる人は少ないですが。。。
効果は折り紙付きです。」
「存在自体が?
って事は見つからないんじゃない?」
レイナの疑問にシルファが少し笑みを浮かべながら答える。
「なんで存在自体が稀有なディスペルリングを私たちが知ってると思います?」
シルファの話に続けるようにシオンが話し始めた。
「うちの屋根裏の物置を二人で探険した時に見かけたんです。」
「ってなわけで、しー君ママに電話して聞いてみるよ。」
シルファは携帯を持って部屋を出ていった。
「貴方達本当に仲が良いのね。」
レイナが微笑みながら呟いた。
「そうですか?
シルファが世話焼きなだけですよ。
僕は魔力が無いから・・・。
でもそれに助けられているし、感謝もしています。」
シオンは頭を掻きながら答えた。
「そこに恋愛感情は無いのかしら?」
レイナは意地悪く笑いながら言った。
「正直解らないです。
傍に居ることが当たり前だったから・・・。」
「それが一番幸せなのかもね。
だからこそ手放したら駄目なのよ。」
レイナは遠くの方を見ながら微笑んでいた。
「レイナさんこそどうなんですか?」
シオンの突然の切り返しにレイナは瞬間我に返った。
シルファは電話が長引いているのかまだ戻ってこない。
「私はカイトと結婚しなきゃならない・・・かな。
だから恋愛なんて・・・。」
レイナは苦笑いしながら答える。
その姿は少し震えている
「でもそれは政治的な話ですよね?
レイナさん自身の気持ちは?」
「私は・・・。」
言葉を詰まらせてしまった。
「例えばラルフさんは?」
「ラルフの事は大好きよ。
でもそれ以上にラルフは私の恩人なの。
私が死にそうになった時、ラルフが助けてくれた。
でも私の正体は知らない。。。
もし私の正体を知ったら・・・。」
レイナは俯き首をうなだれたまま答える。
「ラルフさんは・・・そんな事で離れていく人ですか?」
「それは・・・。」
レイナが言葉を濁した時、シルファが戻って来た。
「しー君、時間かかったけど探してあったみたい。
って何話してたの?」
シルファは事態が飲み込めてなくキョロキョロしてる。
シオンはシルファの頭を撫でながら答えた。
「何でも無いよ。
じゃぁ明日家まで取りに行こう。」
「なら私も行きましょう。
これは私の問題ですから。」
レイナの瞳を見てシオンはそれ以上何も言わなかったのだった。