シンからの手紙
【シオン君、シルファ君、君達からメールをくれるのは初めてですね。
こちらはまだ他の七星についての情報は見つかっていません。
そちらは寒いでしょう?
こちらも大分寒いですがおそらくそちら程ではないでしょう。
そうそう、ライオが余りにも暇なので水墨画を始めたそうです。
墨はクラーケンを狩って手に入れているらしいですよ。
正直あの太い指に筆を持つとって考えると・・・笑ってしまいます。
『近いうちにシオン達に見せに行くのじゃ』と張り切ってましたよ。
そうそう、私も外に出ないので趣味の一つでも探そうかと・・・。
何かよい趣味などはありますか?】
「なぁシルファ・・・本題はまだかな?」
シオンがボソッと呟いた。
「焦らないで。
この先みたいだよ。」
【では本題に入りますが、呪いとはその名の通り古代呪文の中でも呪われた禁呪です。
前提として呪いには二種類の呪いがあります。
一つは設置された物にかける間接タイプ。
前回君達が火竜の喉で見た棺にかけられていたタイプです。
対照は不特定多数であり、特定条件を満たした場合に発動します。
もう一つは相手を指定してかける直接タイプです。
対照は一人ですが、その分呪いは強力です。
そしてかけた瞬間に発動します。
今回はこちらのタイプでしょう。
ちなみに二つの呪いには他にも重要な違いがあります。
間接タイプは一度に大量の魔力を消費しますが、一度呪文を唱えれば、その瞬間以外に魔力は使いません。
逆に直接タイプは呪いをかけている間、一定の魔力を消費し続けます。
長ければ長い程魔力を使います。
長ければ長いだけ術者への負担は激しくなります。
そしてアルジュリア殿は一年以上床に臥せていると聞きました。
つまりアルジュリア殿と二人きりで誰にも知られずに会う事の出来る人間の中で、一年前と比べ風貌が明らかに変わった者は居ないか聞いてみて下さい。】
「って事なんですけど、心辺りありますか、レイナさん?」
シオンの言葉にレイナの顔色が変わった。
「まさか・・・あいつが・・・。」
レイナはそう呟くと青ざめた顔のまま、店を飛び出して行った。
「ちょっ・・・レイナさん。」
余りにもいきなり飛び出して行った為、追い掛けるタイミングを失った二人。
「ふぅーっ。
やっと昼時一段落だよ。」
ラルフが洗った手を拭きながらこっちに来た。
「あれ?レイナは?」
周りを見回すラルフにシオンは声をかけた。
「すいません。急用が入ったみたいで。
僕達も行きます。」
テーブルにお金を置くと二人は急いで店を出た。
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「俺もレイナに話があったんだけど・・・。」
そうラルフは呟いた。




