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上手な魔法の使い方  作者: 睦月
おてんばプリンセスと氷の王子
37/82

アルジュリア城

「デカイ・・・。」

「おっきい・・・。」


2人は城門を見上げてながら同時に呟いた。

視線を落とすと城門の左右には門番が二人立っていた。

シルファは門番の1人に尋ねた。


「あのぉ、アルジュリア様にお会いしたいのですが。」


「アルジュリア様は誰ともお会いにはなりません。」


大方昨日聞いた通りの答えに今度はシオンが尋ねた。


「何故会えないのでしょうか?」


「お答え出来ません。」


仕事柄なのか門番はそれ以上話してはくれなかった。


「困ったな。

サファイアが本物か確かめたかったんだけど・・・。」


2人が顔を見合わせ悩んでいると後ろから声がした。


「・・・シルファ、シオン。」


「その声は・・・。」


振り向くとレイナが家の角から顔を覗かせて手招きしていた。

2人が駆け寄るとレイナはニッコリと微笑んだ。


「レイナさん今からラルフさんの店に行くんですか?」


「いや、少しシルファ達が気になったから・・・。

で、城には入れてくれた?」


レイナの問いにシルファは答えた。


「やっぱり駄目でした。」


「そっか。

でもどうしても会わなきゃならないんでしょ?」


レイナの問いに2人は同時に頷いた。

その眼差しにレイナは初めて真剣な表情を浮かべた。

少し考え込んだのち、レイナは言葉を発した。


「わかった。

案内してあげる。」


レイナはついてきなさいと言わんばかりに歩き始めた。

2人はその後を静かについていった。


「ここは?」


3人は城の裏側の石垣の前に立っていた。


「ここに秘密の入口があるのよ。」


レイナが石垣に手を延ばすとヌルリと手が石に埋もれた。


「なるほど。

魔法で隠してあるんですね。」


「でも何故レイナさんが知っているんですか?」


シオンの問いにレイナは答えない。


「ついてきて。」


レイナは壁にめり込んで行った。


(なんでレイナさんこんな抜け道知ってるんだろ?)


シオンの疑問をよそにシルファも後に続いてめり込んでいく。


「ほら、しー君行くよ。」


シルファの声にシオンも続いてめり込んで行った。


「ここは・・・。」


「地下の倉庫みたいだね。」


暫く進んむと少し開けた場所に出た。

周りをキョロキョロと見回すシルファ。


「でもこれって犯罪なんじゃ・・・。」


シオンは少し動揺しながら呟いた。


「大丈夫。

ばれなければ犯罪じゃないわよ。」


レイナは構わず外の様子を見ている。


「静かに私についてきて。」


レイナは壁にピタリとくっつきながら部屋を出て通路を歩き始めた。


「レイナさんてよく忍び込んでたのかな?」


シオンはシルファにヒソヒソ声で聞いた。


「多分・・・違うよ。

ついていけば解るよ。」


シルファは何か感づいているようだった。

レイナは道を塞ぐメイド、執事、衛士等を巧みにかわし、上の階に上がっていく。

そしてある部屋の扉の前で立ち止まった。


「ここに居るはずよ。」


レイナは静かに告げた。

そしてゆっくりと扉を開けた。

そこは寝室だった。

大理石の床は広さにして30畳ほどの広さがあり、

中心に一台の豪華な天蓋付きのベッドがあった。

ベッドに近づくと一人の男性が寝ていた。


「あれがアルジュリア様?」


ゆっくりと近づくシオンとシルファ。

ベッドに横たわる男性は全く動かず、目も開けない。

顔は青白く全く生気が感じられなかった。

眠ったように死んでいる、いや、死んだように眠っているのだ。


「ずっと目を開けないの。」


後ろからレイナが消えいりそうな声で呟いた。

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