来る脅威
【俺は間違えていた。
黄道十二魔導士になってから3年。
あらゆる力を使い七星の御剣について調べた。
その結果わかったのは・・・あれは来たる脅威から世界を守る為に生まれた剣だったのだ。
そして来たる脅威・・・その名は《天墜魔王剣》
七星の御剣の現れる時、必ず現れる対なる剣。
七星の御剣を封印したのは完全に我々の失策だった。
だが今更我々には七星の御剣の封印を解く力はない。
幸い2対の剣は現れた瞬間にその力を取り戻すわけではない。
だからこそ七星の御剣も封印できたと言える。
ならば俺は天墜魔王剣が完全に復活する前に全力で阻止するしかない。
そして天墜魔王剣を破壊する。
もし失敗してしまったのなら・・・後は託すしかないだろう。
これを読んでいるものへ。
これが削除されずに開かれたということは俺の目論見が失敗に終わったか、
あるいは何かあったのだと思う。
不躾な願いで済まないが、あとは任せたい。
そして出来る事ならシオンとシルファに・・・】
文章はそこで途切れていた。
「父さん・・・。」
シオンは画面を見ながらシルファの手を握っている。
その頬にはいつの間にか涙が伝っていた。
「しー君大丈夫?」
シルファが心配そうに顔を覗き込む。
「大丈夫だよ。
まだ死んだと決まった訳ではないからね。」
更に言葉を続ける。
「それに僕の魔力が無い訳も、父さんが何故居なくなったかもわかった。
これから何をすべきかもね。」
シオンは涙を拭いシンを見る。
「今の話が真実なら天墜魔王剣に対抗する為にも封印を解くのは必須になりますね。
そして封印の解除はシオン君の魔力の復活にも繋がることになる。」
シンはそのまま話を続けた。
「私の方で残りの七星の行方は全力で調べます。
その間、君達はある場所に行ってください。」
「ある場所?」
シオンはシンに尋ねた。
「火竜の喉の更に南にある孤島です。
そこには私の友人が居ます。
君達はそこで実力の底上げをしてください。
七星の情報は入り次第伝えましょう。」
「キサラギさんの友人と言うことは・・・」
シオンが呟くとシンは頷きながら答えた。
「勘が鋭いですね。
彼の名はライオ・ギルバルド、獅子座の黄道十二魔導士です。
若干性格に難はありますが君達の魔法と剣の腕は確実にあがります。」
「あのー。天墜魔王剣は?」
シルファが震える声を絞り出しながらシンに尋ねた。
「その件も並行して調べておきましょう。
あまりにも情報が少な過ぎますから。
それよりも今夜紹介状を書いておきますので、君達は明朝すぐに出発して下さい。
もう既に時間は余り残って無いのかもしれません。」
シンの神妙な面持ちは事の重大さを物語っていた。
シオンとシルファはその言葉を聞き同時に力強く頷いたのだった。




