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上手な魔法の使い方  作者: 睦月
火竜の顎
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深き赤き宝玉

「しーくんっ。」


シルファがすぐに駆け寄る。

シオンは火喰虫による火傷の他にフレイムリザードの体内から噴き出した血液による火傷も負っていた。


「水蜜の泉!!」


シルファは呪文を唱えると、淡く光り輝く霧のようなもやがシオンの身体を覆った。

ゆっくりだがシオンのただれた皮膚を癒していく。


「ありがとうシルファ。」


シオンはシルファの頭を撫でながら立ち上がった。


「さてと・・・ルビーは・・・」


シオンはぐるりと周囲を見回した。

パッと目に映るものでそれらしきものは・・・。


「やっぱあれかな?」


シオンは棺を指差しながらシルファを見る。


「あれ以外怪しい物ないよね。フレイムリザードが護っていたとしたら一応筋は通ってる。」


2人はゆっくりと棺に近づいた。

近くで見ると棺は相当豪華であった。

全く錆びていない所から材質は金、または金メッキである事が容易に想像できる。


更に近づくと様々な宝飾で彩られていたが、

サファイア、ダイヤモンド、オパール、エメラルドは確認できるが

残念ながらルビーらしきものは無かった。


「凄い豪華だねー。これ売れば一生遊べるかも。」


シルファは笑いながら棺を触ってる。


「目的が違うだろ?僕達は盗賊じゃ無いんだから。」


シルファをたしなめるとすぐに膨れっ面になった。

今回はシンからの課題として洞窟の奥にあるというとあるルビーを取りに来たのだ。


「わかってますよーだっ。」


2人は棺の中を覗き込んだ。

棺の中には一枚の羊皮紙が入っていた。

シオンはそれを取り出し、書いてある内容を読んでいった。


《こっちの道は

当たりかハズレで言うと・・・

ハズレです。



残念!!




by シン・キサラギ》


シオンは羊皮紙を破り捨てた。

そして生まれて初めてある種の殺意を覚えた。



二人は道を戻り、今度は左側へと進んだ。

左側の道はこれでもかというくらい短かった。


道のりにして20メートル。

分かれ道から奥が行き止まりであることはギリギリ視認できない。

その奥には、小さな木で作られた台があった。


台の上には小さな箱と羊皮紙が置かれていた。


「しー君、破いちゃうからダメッ。」


シルファはシオンの手を制し、羊皮紙を手に取り読み始めた。


《おめでとう。

この箱に入ってます。》


「だって、しー君。」


シルファはにやけながらシオンに紙を見せた。


箱を開けると妖しく鮮血の様に紅く、透き通るような透明さで深く吸い込まれそうな色に輝く石が一つ箱の奥に鎮座していた。


「最初からこっち選んどけば良かったな」



シオンは溜息混じりに呟いたのだった。

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