検索
【世界図書館】
フェアリアードで最も古く最も新しい図書館
敷地面積4万平方メートル
一般入場で入れるエリアは地上階4階、地下2階からなる
本だけでなく新聞、雑誌からニュースに至るまであらゆる過去の情報が手に入る。
魔法遠隔検索システム(Magical Remote Control Search System…通称 MaRCSS マークス)を搭載しており、端末から魔力で操ればあらゆる情報が瞬時に目の前のモニターに映し出される。
ゲートを通ると早速二人は世界図書館に向かった。
目の前に立つとその建物の放つ圧倒的なオーラに気圧されてしまう。
建物はバロック様式に近く、緩やかな曲線によって描かれた外観は見る者を圧倒し、
ちりばめられた装飾品は荘厳さを保ちながら、それでいて内部は最新の設備を兼ね備えている。
敷地面積は4万平方メートル。
子供は入館料は無料なので、2人は入口を通り抜け奥へと進んだ。
暫く進むと開けた広場のようなフロアに出る。
そこには数台の端末が並んでいた。
その一つに近づくとシオンはシルファに座るように促した。
「シルファ、頼むよ。」
「おっけー、しー君。」
シルファは両手を左右にある接続グローブに差し込んだ。
そのまま魔力を送るとメインモニターに電源が入り画面が淡く輝きを放つ。
これも魔力のないシオンには使えない。
魔力がないとはそういうことなのだ。
「それでしー君、何から調べる?」
シルファはシオンに尋ねた。
「まずは父さんについてだな。
5年前の11月2日のニュースに何か手掛かりあるかも知れないから調べてほしい。
父さんの名前は・・・。」
「アルタイド・ハートウィンド・・・だよね?」
シルファはシオンの言葉を遮り、頭の中で日にち、名前を念じるように魔力を流し込む。
「流石はうちのお隣りさんだ。」
満足げにシルファを見る顔は笑っていた。
【該当情報はありません。】
表示された情報を見るとシルファは振り向いてシオンを仰いだ。
「まぁ簡単に解るなら苦労しないよな。」
シオンは苦笑いした。
「じゃあ次は11月2日以降に父さんの名前で何らかの予約を入れてないか、もしくはキャッシュカードとかが使われてないかどうか調べてくれ。」
再びシルファは画面に向かい魔力を流し込んだ。
【該当情報はありません】
「手掛かりがまったくないな。
やっぱり死んでるのかも・・・。」
少し弱気になるシオンだがいつも励ますのはシルファである。
「諦めちゃ駄目だよ・・・。
そうだっ。七星の御剣について調べてみようよ。」
シルファは暗い雰囲気を払しょくしようと話題を変え、魔力を流し込んだ。
すると七星の御剣に関連する情報が目の前の画面に現れた。
【七星の御剣
白金からなる短剣。
フェアリアード創世時からその存在を確認されている。
刀身には七つの宝石がはめられており、
その力は伝承によれば星を統べると言われている。
現在所在不明】
「所在不明か・・・ここにあるけどな・・・父さんが見つけて来たのかな?」
シオンは呟くとシルファが首を傾げた。
「これ・・・創世時から確認されているのに他に資料が検索に出てこない。
ここにはあらゆる情報があるはずなのに・・・。」
シオンは悩みながら口を開いた
「口伝だけで伝わったか、あるいは情報自体が隠蔽されてるのか。」
シオンの呟きに反応するかのようにシルファはシオンに向かって言った。
「しー君、私少し潜って探してみるから、暫く話し掛けないで。」
そう言うとシルファは深い深呼吸をすると、埋もれて見逃してる情報はないか掘り起こし始めた。
(やっぱ口伝だけで伝わるとは思えないし、隠されていると考えるべきかな?)
そんなことを考えながらふと横に目をやると、隣の女性がニュースを見ていた。
【胎内期間20ヶ月。天才誕生か!?】
フェアリアードでは胎内期間が長い方が魔力が高い子供が生まれる。
シオンは10ヶ月で生まれてきた。
これは人間の平均胎内期間だ。
(平均なのに魔力がないのはやっぱり別の理由なのか?)
シオンが考えてるとシルファが小さな声を発した。
「しー君、やっぱり検索にかからないようになってたよ。」
シルファの目の前の画面には《七星》と書かれたフォルダが表示されていた。
「でもプロテクトがかかってて開かないの・・・。」
シルファは申し訳なさそうにシオンを見つめた。
「んー、まぁフォルダは見つかったし、
時間が時間だから今日はここまでにしようか。
シルファ疲れただろ?」
ゲートも二人分魔力を使い、MaRCSSも使ったシルファは大分疲弊していた。
「シルファありがとな。」
シオンはシルファの頭をナデナデするとシルファは嬉しそうに微笑んだのだった。




