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貴族令嬢に一目惚れしたので、豚貴族に嫁ぐ前に全力で寝取ります  作者: キエツ ナゴム
リブロニア領最強武人トーナメント大会 編
23/29

第23話 応えと答え

「さて、ロベリス。あなた、嫁入りの準備は進んでいるのですか?」


 久しぶりのお母さまとの会話はそんな言葉で始まった。


「……あの、お母さま。私は――」


 この婚約に異論を唱えようとするが、お母さまの目はそれを止める。


 「これ以上私の手を焼かせないで」というあの目が。


「いいですか? 正式な発表は1か月半後。それまでに色々なことを覚えておきなさい」

「は、はい」


 お母さまは食事を終えると直ぐに部屋を後にした。


「結局、私は何をしているんでしょう」


 結婚に前向きになるでもなく、ルーティさんからの手紙は返事もせず読むばかり……。

 

 もう、決めなければならないことなのはわかっている。

 でも……肝心な答えが出てくれない。

 一体、どうしたら――


「お嬢様、お食事中失礼します」

「オベシス……ですか。どうしたのです?」

「少しお話したいことが……」


――

 食事を終え、開いている部屋に移動する。


「で、話したいこととは?」

「この便箋のこと――」

「そ、それは!」


 オベシスが取り出したのは、花の便箋だった。

 ルーティさんからの手紙だ。


「先日、メイドが部屋の掃除の際に見つけたものです。何者かからの偽物かと思ったのですがその反応、違うようですね」

「……それの中身を……」

「はい。怪文書の類かと思い、内容は拝見させて頂きました」

「そ、そんな。お母さまには……」

「今はまだお伝えしておりません」

「そ、そうですか。では――」


 瞬間、オベシスはこちらに近づき、声を落としながら話し始める。


「これからの私の発言はリブロニア騎士からの言葉ではなく、一個人、オベシス・アスターからの言葉とお受け取り下さい」


 私は無言で頷く。


「お嬢様、単刀直入に言います。あの少年と逃げてください」

「へ? ど、どうして?」

「この差出人のルーティ・ローディアは、あのとき、私を撒いた少年で間違いないですよね?」

「は、はい」

「お嬢様を任せるには少々荷が重すぎるかもしれませんが、ディザイア家に嫁ぐよりはマシです」

「そうじゃなくて……どうしてあなたが私にそんなことを?」

「……私は、あなたのお父上、カーディナル様より、あなたを守るように命じられてきました。それは、22年前にまだ若造だった私に命じられた唯ひとつの命令です。しかし、私は結局のところ、最後まであなたをお守り通すことはできなかった……」


 オベシスは力強く拳を握る。


「いえ、オベシス。それはちが――」

「事実です。私は、アルカド様からあなたのことを任され、その命に応えることが出来なかった……公爵騎士失格です。ですが、それでも、この場を見逃すことはできません。今、お嬢様がディザイア家に嫁ぐことを見過ごしては、あの世でカーディナル様に合わせる顔がありません。しかし、今の私にはそれを止める力がない。他の者にお嬢様を託すことは不安ではありますが、今はこれに頼るしか他にない……お嬢様、もう一度言います。この少年と共にお逃げください」


 オベシスの顔は凄く真剣で、それでいて優しい目でした。この目だけはあの頃から変わらないのですね……。

 さて、ここまで言われては、私も決断せざるを得ませんね。


「わかりました」

「ありがとうございます」


 オベシスはそっと胸を撫でおろす。


「では、早速返事を書くことにします。オベシス、これより小1時間ほど、私の部屋に誰も入れないようにするのは可能ですか?」

「はい。このオベシスの名にかけて」

「その言葉、信じますね……あと、一つ言い忘れていたことがありました」

「何でしょう?」

「あなたは、騎士失格なんて言ってましたけど、私はちゃんと、守られてきましたよ。私がここまで無事に育ってこられたのはあなたのおかげです。我儘にも付き合って……これまでありがとう、オベシス」

 

 頭を下げて、部屋を出る。


 閉じられた扉の奥から、


「あぁ、カーディナル様。私はあなたの娘をちゃんと育てることが出来たのでしょうか? あなたの命に応えられていたのでしょうか?」


 と上擦った声が聞こえたことは、私だけの秘密にしておきますね。


「さて、私も早くしないとですね。もう、答えは出た。後は、行動に移すのみ、です」


 そう呟き、私は自室へ急いだ。

 


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