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第七話 病室にて

 ガイアたちがいるという城内の勇者専用病室へと向かう。

 スライド扉を開けると、並べられた三つのベッドの上で体を横にしているガイアたちが目に入る。


「ガイアさん!」


 機先を制してラキアが話し始めた。


「なんだよラキア……って、てめぇなんでこんなところにいやがる!」


 ガバリと体を起こしたガイア。釣られてパールやアイリスも起き上がり俺を睨みつける。


「てめぇ……俺を笑いに来たのか? 趣味の悪い奴だな……」

「こういうときはいい趣味してるな、のほうが正しいんじゃないか?」

「んだと!」


 ラキアが丸イスを2脚出して着席を促す。


「ラキア……一体どういうつもりだ?」

「ガイアさん、私はただ仲直りして欲しくて……」


 俯きながらも、ラキアは必死に自分の意見を伝える。


「僕たちが? 使えないカイトと? バカバカしい」


 パールは俺を睨みながら話す。

 どっちがバカなんだか。

 とはいえラキアの頼みは仲直り。言葉を荒げてはいけない。


「ゴリラントの討伐。代わりにやってきた。それなら文句はないだろう?」


 あくまで事実のみを伝える。

 他意を含ませないよう、表情も真剣に作り上げる。

 だが、想像通り、ガイアには通用しなかった。


「てめぇが……? ふざけるのも大概(たいがい)にしろよ!」

「ふざけてなどいないよ。報酬の金も、ほら」


 袋にパンパンに詰められたお金を見せる。

 

「ウソ……よ!」

「バカな……」


 アイリスとパールは口々に驚きの言葉を述べる。


「ですから、仲直りしてこれからはみんなでまたパーティを組んで……」

「認められるか!!!」


 ラキアの言葉を遮りガイアが叫んだ。

 肩をビクッと震わせてラキアは黙ってしまう。


「俺は……カイト如きを認めねぇぞ。そんなに強いというのなら、直接見せてもらうじゃねぇか」

「というと?」

「1週間後、俺とサシで勝負しろ。虚言癖(きょげんへき)のてめぇをぶっ潰してやる!」


 やっぱりそうなるよな。

 最大限譲歩(じょうほ)したつもりだったんだけど、交渉決裂(けつれつ)だな。

 

「分かったよ。それでガイアの気が済むならな」


 そう言って俺は立ち上がる。

 もうできることはない。


「行こう、ラキア」


 項垂(うなだ)れるラキアの手を取り病室を出た。



 ◇



「みんな仲良くなんて……やっぱり無理なんでしょうか……」


 城の外、噴水がある広場のベンチでラキアは口を開いた。


「相手あってのことだからなあ。相手が望まないなら、難しいかもしれない」


 人間とは、浅ましい生き物だな。

 勇者として活動し、世界のために戦う義務があるというのに、(ねた)(そね)みで最強の男をバカにして蹴落とそうとするとは。


 なんのための勇者なんだ。

 同じ人間、世界を守るための存在だろうに。


「仕方ない。俺の強さに納得してもらうためにも、1週間後の勝負で見せつけるしかない」

「本当は喧嘩(けんか)して欲しくないんですけど……」


 ラキアは観念したように空を見上げた。


 ごめんな、ラキア。

 なるべくガイアを痛めないよう終わらせるから。


 俺もラキアに合わせて空を見た。

 晴れとも雨ともいえない天気は俺ら勇者パーティを表しているように見えた。

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