表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱最強の魔獣掃除人《ビーストスイーパー》  作者: もぐのすけ
神託編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/35

元魔獣掃除人①

【ルーカス=トリガー】



 私は魔獣の元へ向かいながら15年前を思い出していた。


 15年前、魔獣はこの国の領地であるアドリア町に出現した。

 それまで他国の魔獣討伐依頼に参加し、5度の魔獣討伐に成功していたことから今回も問題ないだろうとタカをくくっていた。

 魔獣といえど、成り立ての場合はレベルが低く、十分に対応できる場合がほとんどであったからだ。


 アドリア町へ向かった私はその惨状に胸を打たれた。

 その町には1万人の人達が住んでいた。

 しかし、目に入ってくるのは血溜まりの中に無惨な姿で横たわっている死体の数々。

 多くの者が神獣で抵抗したのだろう、争った痕跡なのか建物が粉々に破壊され、まるで戦争の跡地のようだった。

 そしてすぐに魔人は分かった。

 体から黒いオーラのようなものが溢れ出ていた。

 可視化できるものと言えば心の力に他ならないため、あの魔人の心の状態がいかがなものか伺えた。


 私は即座に雷帝龍王エレキトリック・ドラゴンを顕現させ、初手から電光石火というスキルを使用した。

 周囲に生き残りの人がいる以上、大技の使用は難しい。

 国王陛下からは犠牲を問わず魔獣を排除しろと言われたが、私にその判断は出来なかった。

 その結果、魔獣は私の予想を遥かに超えた力を有しており、雷帝龍王エレキトリック・ドラゴンは瀕死の重傷を負い、私は片目と片腕を失った。

 その時は時間を稼いだおかげで他国の魔獣掃除人が合流できたために討伐することができた。

 そしてアルを託された。


 魔獣掃除人として過ごした15年間よりも、アルと過ごした15年間の方が楽しかった。

 確かに刺激は現職当時と比べて少なかったかもしれないが、私と同じ孤児となったアルを育てることで、人間本来の生き方というものを得ることができたのかもしれない。


「ルーカス殿!奴です!」


 すぐさま木陰に隠れた。

 遠く、まだ魔獣との距離は100m近くある。

 まだこちらには気付いてはいないはずだ。


「ヴァリアス、お前は離れていろ」

「そうさせてもらいます。もしも魔獣と魔人を引き離すことが出来た場合は、我々に任せてください」

「ああ」


 ヴァリアスは身軽に跳び、木の上へと隠れた。

 彼らは予兆管理処理局という魔獣掃除人と同じ秘匿された部隊の人間だ。

 神託の時に記録された情報から国内の人達の神獣をあらかじめ把握しており、憲兵が扱った事案等を精査し、大きく心的負荷をかけられている人間を調査し、対処可能であれば秘密裏に対処する。

 対処不可能な場合は処分も辞さないという部隊だ。

 とはいえ人員の少なさからどうしても今回のような漏れが出てしまう。

 その場合に駆り出されるのが私のような魔獣掃除人というわけだ。


 事前に対応するのが予兆管理処理局、事後に対応するのが魔獣掃除人という分け方になる。


 そのため彼らの援護はあまり期待できない。


 ここで魔獣を相手するのは私だけとなる。


「はてさて…………最悪時間は稼げなければ……」


 昔の私なら気にせず正面突破していたわけだが……さすがにこの体の状態でその考えには至らんな。

 剣で戦うにしても昔馴染みのものはアルに譲渡したため、家に置いてあった手入れのしていないなまくら刀しかない。


「覚悟を決めなければならないか……」


 神獣を顕現させる際、傷を回復させるためにどれほど心の力を食われるか。

 15年かけてゆっくりと治療してきたが、実際のところ分からない。

 顕現した瞬間に神獣が死ぬか、はたまた十二分に傷が癒えているか。


 魔獣との距離は50m。

 俺は手にカードを召喚させ、一言口にした。


顕現けんげん


 カードから雷のように勢い良く雷帝龍王エレクが飛び出す。

 全長10mにも及ぶ蛇のような金色の胴体に狼のような顔から生えるナマズのような長い二本の髭、顕現させただけで周囲の気候に影響を与えるほどの存在感、15年振りに見た相棒バディの姿だ。


「───うぐっ!!」


 心臓がズキリと痛んだ。

 まるで直接素手でぐにゃりと掴まれているように悲鳴をあげている。

 呼吸が荒くなり、視界が歪む。


(顕現は成功したが……かなりギリギリか……!)


「グオオオオオオ!!!」


 エレクが咆哮を上げ、すぐさま標的を定める。

 魔人はエレクの顕現にもリアクションを取ることなく、そのまま魔獣と真っ直ぐに歩いてくる。

 魔獣のみが魔人を庇うようにしてゆっくりと進行を早めている。


 私は未だ木陰に隠れながらカードを使って魔獣のステータスとエレクのステータスを見比べた。



 ───────────────


 【雷帝龍王エレキトリック・ドラゴン】☆☆☆☆☆ Lv55


 ○攻撃力4600

 ○防御力4200

 ○素早さ5000

 ○特殊能力300


 スキル:電光石火、雷崩ナガレ発光シャイニング超新星電磁波ビックプラズマ・バン





水泥人形アクアゴーレム】★★ Lv28


 ○攻撃力4000

 ○防御力4000

 ○素早さ3500

 ○特殊能力3500


 ───────────────



 現職の魔獣掃除人を殺したということでかなりの経験値を手に入れたようだが、それでもまだエレクの方がステータスは上のようだ。

 しかしエレクの特殊能力値が信じられんくらいに低い。

 私の心の力が低下しているせいだろう、スキルはよくて雷崩ナガレぐらいしか使えないかもしれないな。

 上手く立ち回らなければ、ステータスが上だといっても食われかねない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ