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047「話し合い」



——校長室


「いや〜よかった、よかった。リカさんがいて本当に助かりました」


 俺は今、リカ・ブリッジストーンに連れられ校長室にいる。


「やあ、初めまして。トーヤ・リンデンバーグ君」

「ど、ども⋯⋯」


 そう笑いながら軽い感じで話しかけてきたのは、ガルデニア神聖国立高等学校校長『ハリス・グランディア』。


「なんと、なんと。とても感じの良い好青年じゃないか〜、ルイス君」

「⋯⋯まあ、そうですね」


 今の「ルイス君」というのは、一年担任のルイス・ヴェルモンテ先生。


「さて、そんなわけで校長、ルイス⋯⋯これからトーヤと二人だけで話すからこの部屋から出てってくれ」

「えええええええ! そんなぁぁ〜! 私たちも一緒に話聞かせてよ〜⋯⋯リカちゃん」


 ドゴン!


「『リカちゃん』と呼ぶのは⋯⋯⋯⋯やめろ?」

「ご、ごごごご、ごめんなさいぃぃ〜〜! リ、リカさん〜〜〜!!」

「校長〜⋯⋯あんた、こんな性格だと早死にしますよ。じゃあ、俺たちは隣の部屋に行ってますね、リカさん」

「ああ、頼む」


 リカ・ブリッジストーンが校長のすぐ横の壁を拳で破壊し、「リカちゃん呼び禁止」の警告を出す。ていうか、校長ってあんな『軽い性格』だったんだ。入学式での挨拶ではかなり精悍なイメージだったが⋯⋯。


 俺が校長に対して考えていることを見透かされたのか、


「あのバカ校長⋯⋯ハリス・グランディアはああいうふざけた性格ではあるが、意外と⋯⋯頼りになる奴でもある」

「!⋯⋯へー」


 なんとなくだが、リカが手放しで褒める校長というのを俺は少し興味が湧いた。


「そんな話は今はどうでもよい。トーヤ、お前だって聞きたいことがいっぱいあるだろ?」

「ああ、もちろん。特にレナについては一刻も早く探したいからそっちから教えて欲しい」

「わかった、いいだろう。では、まずお前の妹、レナ・リンデンバーグについて話そう⋯⋯」


 そう言って、リカは早速レナについて話を始めた。



*********************



「まず、レナ・リンデンバーグは昨夜、ある組織によって攫われた」

「組織?」

「アリス・グレイス・ガルデニアから少しは聞いていないか?」

「っ!? ま、まさか、アリスを殺そうとしている連中のことか!?」

「その通り。そして、その組織の奴らがこの学園内に忍びこみ、アリスを殺そうと機会を狙っているまでは知っているか?」

「あ、ああ」


 そう言って、俺はアリスから聞いた話をリカ・ブリッジストーンへ伝えた。


「うむ。そこまで話を聞いているのなら早速本題を話そう。レナ・リンデンバーグを攫った奴らは、この学園内に潜伏しているアリスを殺そうと企む組織の一つだが、その中心人物の一人が⋯⋯⋯⋯レオ・マクラクランであり、マクラクラン高家だ」

「っ!⋯⋯やっぱりそうか」

「なんだ? 目星ついてたのか?」

「余裕だよ。あれだけ平民の俺たちを奴隷みたいに扱ったり嫌ったりしてたんだ。わかりやすいどころの騒ぎじゃねーよ」


 俺は半笑いで答えた。


「まあ、それもそうだな。あれだけわかりやすい悪役貴族っぷりを振り撒かれたらな。探偵ものの映画でそいつが犯人だったら間違いなく『駄作』だな」

「だろ? そんなのB級映画でもねーよ」


 俺はリカ・ブリッジストーンの映画に例えた返しに思わず嬉しくなり、その返しに乗っかって笑った。リカ・ブリッジストーンも心なしか、笑っているように見えた。


 そして、それは同時にあることを確信させるやり取りであったことも俺は感じていた。


「⋯⋯お前、本当に地球からきた転生者なんだな」

「まあな。その辺の話も聞きたいだろ?」

「ああ」

「ちゃんと話すから心配しないでくれ。私はお前の味方だ」

「⋯⋯わかった」

「今、私が何を言っても信用してくれないのはわかっている。味方⋯⋯というより『敵ではない』とだけ思っていてくれ」

「わかった」



*********************



「で、レナ・リンデンバーグの居場所だがまだはっきりとはわかっていない。すまない。だが、可能性としては二つの場所が有力だ。まず一つが⋯⋯」


 リカ・ブリッジストーンが机にこの学園内の地図を広げ、レナがいる可能性のある場所を指で示す。


「ここだ」

「ここは⋯⋯?」

「四高家マクラクラン高家の専用寮だ。ここにレナ・リンデンバーグが捕われている可能性がある」


 確かに、自分の手が届き且つ、自由に動けるテリトリーに隠すんだったら間違いなく自分の専用寮だろうな。


「そして、もう一つが⋯⋯ここだ」

「えっ?! こ、ここって⋯⋯まさか⋯⋯っ?!」


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