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032「王女の接触」



「トーヤ・リンデンバーグ! 今からお前は私の友人である! よいな?」


 貴族・四高家・王女をも巻き込んだ朝の一件から一週間が経過した。


 あれから、俺や妹にずっとちょっかいを出してた貴族のザクト・ガーランドやその『(あるじ)』らしい四高家のレオ・マクラクランからの接触はなくなっていた。


 それもそのはずで⋯⋯、


「あの⋯⋯アリス王女⋯⋯」

「む!? おい、トーヤ! 貴様、舐めてるのか? 私のことは『アリス』と呼ぶという『約束』だったろうが! 訂正しろ!」

「っ!? ア⋯⋯⋯⋯アリス」

「うむ! で、なんだ? 要件は?」

「あのぅ⋯⋯手を握るの⋯⋯やめてもらっていいですか?」


 現在、廊下を移動中の俺とアリス王女⋯⋯アリス。


 そんな俺たちに周囲は『釘付け状態』となっていた。


 そりゃそうだ。


 だって国王の娘が俺の手を握りしめて移動してるんだもの。


「おい? 前に『約束』しただろうが⋯⋯あぁ!?」

「っ?! そ、それは⋯⋯そうですが⋯⋯」

「あと、その『他人行儀な言葉遣い』もやめろ。約束(ルール)違反だぞ?」

「え、ええぇぇ⋯⋯」


 そう。俺とアリスは一週間前⋯⋯あの『朝の一件』の後、アリスの寮の部屋に呼び出され、そこである『約束』を交わし今に至る。


——一週間前 王族専用寮


「ようこそ、トーヤ・リンデンバーグ。さあ、入ってくれ」

「ど、どうも⋯⋯」


 ザクトのちょっかいから始まり、四高家が絡む事態まで発展した朝の一件⋯⋯通称『一触即発事件(クリティカル・タッチ)』から約6時間後、俺はその朝の一触即発状態を一言で収拾解決したアリス・グレイス・ガルデニア⋯⋯ガルデニア神聖国国王ジョファ・グレイス・ガルデニアの娘『アリス・グレイス・ガルデニア第二王女』から呼び出しを受けていた。


 アリスに促され、部屋に入るとそこにはアリス以外に初老の男性と一人の女子生徒がいた。


「ん? ああ⋯⋯この二人は私の従者でな。男性の方は⋯⋯」

「トーヤ様、お初にお目にかかります。わたくし、アリスお嬢様の執事を務めるウルシャ・バーレーンと申します」

「ヴィアン・ヘルドライトよ」

「ど、どうも⋯⋯」


 初老の男性は腰が低く丁寧な言葉遣いで挨拶をしてくれたが、女の子の方は少し⋯⋯いや、かなり雑な感じで挨拶をした。


 恐らく、その子は貴族なのだろう。そして俺は平民という身分⋯⋯だからそういう扱いが普通なのだろう。


 そう考えたら、初老の男性⋯⋯ウルシャさんは相当『できる人』だと感じる。流石、王室の執事というところか。


「今朝はすまなかったな。横から入って邪魔をした」

「い、いえ⋯⋯助かりました」

「うむ。今年の一年生は王族である私を含め、高位貴族の四高家の嫡男などが同世代にいるからな。周囲では『黄金世代(ゴールデン・エイジ)』と呼ばれている」


 黄金世代(ゴールデン・エイジ)⋯⋯そういや担任の先生が言ってたな。


「そんな中では問題が出るのは容易に想像できるだろう?」

「⋯⋯そうですね」

「そこで、私の出番ということになる。王族の言葉であれば四高家といえど簡単に反抗はできんからな」

「確かに」

「それに、そういう立場としての学校生活を校長にも頼まれているのでな」


 なるほど。確かにその場合『王族』の立場は打ってつけだな。


「なるほど、そうだったんですね。ありがとうございます」


 俺はそう言って一礼した後、部屋を出ようとした。


「待て、どこへいく? 話はまだ終わってないぞ」

「え? そうなんですか? 今朝の件についての話だけでは⋯⋯」

「何を言う。話はこれだけではない。むしろ⋯⋯本題はここからだ」

「え? 本題?」

「さて、では早速だが⋯⋯まず最初にお前に伝えておこう⋯⋯」

「??」

「私は⋯⋯お前の特殊能力(スキル)の正体を知っている」

「なにっ?!」


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