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013「バスケル辺境伯」



「こ、これはっ?!」


 俺たちはアリアナ先生を先頭に公園から村に戻った。すると、


「⋯⋯特に魔獣は現れていないようですね」


 校長がホッと息を吐く。


 俺たちは公園から村に戻ったが、特に魔獣に襲われたような様子はなかった。


「オーウェン⋯⋯どう思う?」


 アリアナがオーウェンに確認する。


「そうですね。とりあえず、今は村には魔獣は出現していないようでよかったです。でも『神獣スザク像』の瘴気痕(しょうきこん)の侵食具合は間違いなく村周辺の出現を示唆してましたので警戒はするべきだと思います」

「そうか、わかった。よし! では、皆の者各自一度家に帰り⋯⋯」

「やあ、先生⋯⋯今日は公園で遠足ではなかったのですか?」


 アリアナ先生が生徒に指示を出そうとした時、横から声がかかった。


「む? バスケル辺境伯様⋯⋯」


 声をかけたのはこの村を統治するバスケル・ハイツーク辺境伯。


「はい。先ほどまで南の森国立公園にいたのですが魔獣がこの近くに出現するということを耳にしましたので、安全を考えて村に戻ってまいりました」


 アリアナは大雑把な説明をする。


「なんと魔獣ですか? それは恐ろしい⋯⋯」


 バスケルはアリアナの説明に反応するが、その反応はどこか大袈裟で演技のように感じた。


「ところでアリアナ先生。魔獣というのは⋯⋯」

「?? バスケル辺境伯様?」

「あの⋯⋯エビルドラゴンのことですかな?」


 バスケルがそう言って指差すその先にBランカー魔獣エビルドラゴンの姿があった。


「っ!? エ⋯⋯エビル⋯⋯ドラゴン⋯⋯っ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「「「「「キャアアアアアアアァァァァァーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」」」」」


 エビルドラゴンの姿に気づいた村人が一斉に悲鳴を上げ、皆がパニックになり逃げ惑う。


「バスケス辺境伯様! 危ないですからこちらへ!」

「フフフ、問題ありません。なぜなら⋯⋯」


 そう言うと、バスケルがエビルドラゴンに向けて飛び、頭の上に乗る。


「これは私が召喚した魔獣ですからぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」

「ギャォォォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!!」


 エビルドラゴンもバスケルに呼応するかのように咆哮を上げた。


「なっ?! そ、そんな、辺境伯様が⋯⋯なぜ⋯⋯」

「な、なんで!? どうしてですかっ!!!!!」

「そ、そんな!!! 辺境伯様ーーーーーーっ!!!!」


 村人たちはバスケルを見て、信じられない様子で声を上げる。


「っ?! バスケル辺境伯⋯⋯いやさ、バスケルっ! てめえ〜⋯⋯何のつもりだ」


 アリアナが鬼の形相でバスケルを睨む。


「何のつもりも何も⋯⋯私はこの村がずっと大嫌いだったんですよ。こんな何もない辺鄙な村で生き続ける人生なんてあり得ません! ええ、あり得るわけがありませんっ! では、どうすればいいか? 答えはカンタンです⋯⋯」


 バスケルがニチャァと笑う。


「この村とこの場にいる者、そして南方鎮守城塞スザクの生き残りもすべて始末し、それらをすべて魔獣のせいにすればいい。そして、私はその魔獣を倒した英雄として王都に凱旋し大いなる褒賞と権力を手に入れる! そう、それだけでいいんですっっっっ!!!!!!!!!!!!」

「⋯⋯狂ってる」


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