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1年の月と太陽

作者: 貴音

「え、引越し?」

「ええ、そうよ」

それは突然のことだった。父親が急に転勤になり、引っ越すことになったのだ。

でもこの街に愛着があるわけじゃない。

友達もいなければ、仲のいいやつだっていない。

だから一人でいるとほっとする。

特に感情表現をするのは苦手だ。

嬉しい時、笑いたい時にどういう表情をしたらいいのかもあまり分からない。

まあ故に孤独というやつだ。

そんな生活を送り続けて15年

この俺風間颯太はそろそろ友達が欲しいと思っていた。

そして翌日、学校で別れの挨拶をし15年間住んできた街を出ていった。

新しい生活…か

別に楽しみという訳でもない

でも何でだろうか。新しい環境での生活はちょっとワクワクしている。

そう考えていると新しくすむ場所についた。

「母さん、ちょっとこの辺ぶらぶらしてきていい?」

「夕飯の時までには帰ってくるんだよ?」

俺はわかったと返事をしその辺をぶらぶら歩いた。

「キャー!」

ん?女の人の声?どうしたんだろ

すぐに僕は声のあった方向へと向かった。

悲鳴があった場所に行ってみると女の子が尻も手をついて座っている。

その時まっさきに視界に入ったのが「────ッ!!!」

それに気づいたのか女の子は慌ててスカートをババっと直した。

「み、みましたか?!」

そう言われると僕は顔を横にそらすことしか出来なかった。

「それは見たと捉えてもよろしいんですね?」

「すみません見えました。」

「正直な人なんですね。」

女の子はそう言うと微笑んでこっちを向いていた。

思わず俺はドキッとしてしまった。

慌てて俺は話を変える。

「そう言えば悲鳴が聞こえたけど何してたの?」

「そうでした!実は、木に登って降りれなくなった猫を助けたかったんですけど私木登り苦手で落っこちましてーえへへ」

くっそ!なんかドキッとするなそれ!

「な、なるほど。だったら僕がとってくるよ。」

「だ、大丈夫なんですか?!」

「大丈夫。昔からこういうのは得意だから」

俺はサッサっと木を登っていき猫をだっこしすぐ降りてきた。

「わぁー凄いですね!」

「そんなことないよ」

女の子は目をキラキラさせてこちらを見ていた。

そんなすごい事か?

「まあ猫を助けられてよかったよ。」

「そういや、この辺では見かけたことない人ですね。」

「今日引っ越してきたんだ。」

「お名前を伺っても?」

「風間颯太」

「私は堀口春といいます。またどこかで会えるといいですね」

「うん、そうだね」

「では私はここら辺で失礼します。ありがとうございました。」

「うん、気をつけて」

彼女はぺこりと頭を下げて去っていった。

ぼくも、そろそろ帰るか。

なんか、可愛かったけどなんか面白い子だったなぁ。

とそう呟きながら家に帰っていった。

「ただいまー」

「おかえり、あんたの荷物部屋にあるから整理しときなさいよー」

「わかった」

俺は2階の自分の部屋にあがり荷物を整理しながらゆっくりしていた。

「まさか引越ししてきたすぐにあんなことになるなんてなぁ」

自分でも今日のことは驚いている。

普段は人と話さない俺がしかも女子と話せたんだ。

そりゃ自分でも驚いてしまう。

「さっさと荷物整理して飯食って風呂はいってもう今日は寝よ」

もう当分あの子とは会えないだろうな

翌日

今日から新しい学校かぁ~

でも多分前の学校と一緒で誰とも話せないんだろうなぁ

でも1人くらい友達は欲しいなと自分でそう思っていた。

色々支度して飯食って学校へとあしを運んでいく。

「ではHRを始めたいと思いまーす」

と先生が声をかける。

「今日は転入生が来てるので自己紹介してもらいたいと思います。ではこちらへ」

「風間颯太といいます。これからよろしくお願いします。」

「あれ、颯太君?」

「え、ほ、堀口さん!!?」

「まさかこの学校とは思わなくてびっくりしたよ~」

「ぼ、ぼくもだよ」

「お、なんだ二人とも知り合いなのか?」

と、先生が言う。

「はい、昨日知り合ったばっかですけど」

「なら丁度いい、堀口の隣の席についてくれ」

「分かりました」

僕がそう言うと堀口さんの隣の席へと向かっていく。

「いや~びっくりしたね~」

「ほんとにね」

「まあ、これからよろしく!」

堀口さんが元気よく笑顔で言ってくれると

「こちらこそ」

と僕も返事を返した。


僕はこの時まだ知らなかった。堀口さんが抱えている秘密に
















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