声が聞こえた
三時間目、日本史。山下先生によると、日本の総理大臣の順番と名前は「行くやマイマイ。おや?イカ逆さか?」という語呂合わせを用いると覚えやすいらしい。僕は覚えにくいと思うが…。
先生が授業を淡々と進めていき、生徒達は板書を写すだけという授業と呼べるのかどうか迷うような状況の中、僕は朝の出来事について考えていた。僕は昨日、学校を休んだ。しかし中野君は僕が学校に来ているという前提で話を進めていた。おかしい。
その事を思案しているうちに一日が終わってしまった。今日ほど一日を短いと感じたことはなかった。家に着く頃に僕は明日も学校を休んでみることを決意した。
ん……くん……介くん……亮介君…亮介君!
「うーん…」
僕は聞き慣れない声に目を覚ました。時計に目をやると二十五時を指していた。誰だ、こんな時間に…?
ー亮介君!ようやく目を覚ましましたね!
「え?」
ーず〜っと話しかけてたのにちっとも起きないんだから。
「いや、その、まず、誰?」
ー私?あははは!自己紹介を忘れてたね。私は妖精のシエル。
「おやすみ」
ーちょ、ちょっと待って!
「おやすみ」
ー待ってってば!
「なんだよ」
ー今、私の国「ティーラル王国」が大変なことになってるの。
「へー」
ー……。
「で?」
ーえ…。
「それで?」
ーえーっと…その…私の国を救ってほしいんだけど…。
「ふーん」
ー…。
「……」
ー…。
「……」
ー…。
「頑張ってね」