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37話 旅の始まりは終わらない(2)

『私の名前はヴィルク・イニーガン。株式会社「ネクストワールド」の社長だ』

「…………」


 インターホンの画面の向こうの男はそう語る。

 俺は家で1人留守番の所、ある男がこの家を尋ねてきたのだ。インターホンの画面には雑誌やテレビで何度も見たことのある顔が映っており、そいつは大会社『ネクストワールド』の社長ヴィルク・イニーガンを名乗ってきた。


 『ネクストワールド』。

 その会社のゲーム部門が『勇者グレイの伝説』という大ヒットVRRPGのゲームを作り上げ、それまで流行していたゴーグル装着式の視覚本位のVR環境からいち早く抜け出し、人の脳波を読み込み意識をコンピューター内に落とし込む完全ダイブ式のVR技術を作り出したのだ。


 『勇者グレイの伝説』はその完全ダイブ式のVRゲームの先駆けであり、完全ダイブ式VRRPGというジャンルを確立した会社なのである。

 『勇者グレイの伝説』はVRゲームの象徴となり、今でも根強い人気を誇っている。


 そんな会社の社長が、何故俺の家に?

 いやいや、あり得んだろう。そんな凄いとこの凄い社長がなんで俺の家に来るんだよ。


 ……新手の詐欺だろうか?

 目の前にいるのは社長の凄いそっくりさんで、俺から金銭を巻き上げようとしているのではないか?


『……どうした? 早く鍵を開けろ、龍之介』


 インターホン先から催促の声が聞こえる。


「……失礼ですが、どういったご用件ですか?」

『「奴」の事について聞きたいことがある。どうした? さっさと開けろ、龍之介』

「…………」


 ……なんだろう、めちゃくちゃ怪しい。

 知らない人から高圧的に「開けろ」と言われ、扉を開ける奴がどれほどいるのだろうか。

 それに何故か俺の名前を知っている。俺はヴィルク・イニーガンとも、そのそっくりさんとも知り合いではない。


 ……取り敢えず警察に通報した方がいいんじゃないだろうか?

 ここは奴を追い返して、警察に怪しい奴がいたと説明をする。うん、それが一番良い気がする。

 追い返すためにインターホンのマイクに口を近づける。


「申し訳ありませんが、今日のところはお引き取り願えないでしょうか……」

『……もういい、勝手に上がらせて貰うぞ。「バーグ・ヴォルス・ドザ」』

「……え?」


 玄関の方でガチャリという音がした。

 それは鍵が開く聞き慣れた音。奇妙なことが起こる。不審者が呪文のような奇妙な言葉を発すると、鍵が独りでに開いた。

 外側から開くはずのない鍵が開いた。


「……え?」


 扉がゆっくりと開く。

 その向こうには『ネクストワールド』の社長ヴィルク・イニーガンが立っていた。やはりテレビや雑誌で見た姿そのものだ。そっくりさんにしては似すぎている。


 鍵閉め忘れてたのか? とか、いやさっき鍵の開く音がしたけど? とか、まるで魔法を使われたみたいだ、とか散乱とした考えが頭の中に過ぎ去って、考えが纏まらない。

 息を呑んでいると、自称ヴィルク社長は土足のまま家の中へと足を踏み入れた。


「ちょ、ちょっと! 勝手に入らないで下さいっ! 警察を呼びますよ!」

「黙れ」


 制止しようと呼びかけると、不審者は俺に近寄り、胸ぐらを強く掴んできた。


「ぐえっ……!?」

「聞きたいことがある」

「は、放せ……」


 まるで万力のような力で胸倉を締め上げられる。押せども引けどもびくともしない。ヴィルクの腕が上がり、俺の足が浮き上がりそうになる。


「……『奴』は今、どこにいる?」

「……は?」

「『奴』と何を話した? 『奴』は今、何を企んでいる? 自分を死んだことにして、あいつはこそこそと何を動いている?」

「お前、何を言って……?」


 『奴』……? 『奴』って何だ?


「とぼけるなよ?」

「がはっ……!」


 目の前の男は俺の胸ぐらを押し、がんと背を壁に叩きつけた。肺の中の空気が押し出される。苦しい。


「この『大異変』はもう既に誰かが手を加えている。計画以外の現象が次々と起こっている。それは奴が仕組んでいるんだろう? 奴がこそこそ動き回ってるんだろう?」

「訳……わかんねぇ……」

「お前が『奴』と会っていたことは知っている。お前も共犯なんだろう? お前たちは昔から、こう、目障りな部分がある」


 目の前の男が何を言っているのかまるで分からない。こいつの手が少しずつ上がり、俺の足がゆっくりと床から離れる。苦しい。

 男は言った。


「『勇者グレイ』と会っていたんだろう? さぁ、答えろ。奴はお前に何を話した? 奴はどうやって世界を渡り、今ここで何をしようとしている?」

「……は?」


 小さな疑問の声を漏らしてしまう。


「白を切ってくれるなよ、龍之介? 異世界の英雄『グレイ』が世界を渡り、この異変に干渉している。何かを企み、何か行動を起こしている。そんなことは分かっている」

「…………」


 目の前の真剣な表情に、俺は驚き……というよりも呆れの感情を覚える。


 『勇者グレイ』というのは、VRゲーム『勇者グレイの伝説』のキャラクター『グレイ』の事……なのか?

 馬鹿馬鹿しい。ゲームのキャラクターと俺が会って話をしていた? そんなバカなことがある訳ない。


「分かっているのか、龍之介? 何もかも現実なのだ。人が虚構だと信じるものも、実際には真実なのかもしれない。真実と虚構の間に差なんてないのかもしれない。『仮想』も『現実』も『勇者グレイ』も『その世界』も、ただのつまらない真実なのだ」

「…………」


 場がしんと静まり返る。俺は思わず息を呑み、言葉を失った。

 こいつは訳の分からないことばかり言う狂人だ。ゲームの世界の登場人物がまるで実在することを信じているかのように話している。


 ……いや、信じるとか信じないとかではなく、確信をしている。勇者グレイは実在している。そういった、まるでぶれない目の色をしていた。鬼気迫る目で俺を見ていた。


「さぁ、言え、龍之介。お前はグレイと会い、何を話した。グレイは何を企んでいる」

「…………」


 狂人が攻めるように顔を近づけてくる。


「さぁ、白を切るな、龍之介。喋れ! グレイについて知っていること全てをっ!」

「さっきから、グレイ、グレイってゲームの話ばっかり……」


 大きく息を吸い込んだ。


「うるせぇんだよっ!」


 目の前の男に頭突きを食らわせた。

 大きく体を揺らし、壁からの反動を利用し、強く不審者の頭に頭をかち合わせる。ゴッという鈍い音がし、俺の頭に強い衝撃が響く。

 目の前の狂人が顔を近づけてきたから俺の頭突きが届いた。


 でも大きなダメージを受けたのは俺のほうだった。

 なんだ、こいつは! 頭が鉄で出来てんのか!? 攻撃したのは俺なのに、目の前で星がちかちかと点滅している。それなのに、目の前の男は痛がる素振りすら見せない。


 でも胸ぐらを掴む男の手の力が弱まった。身を捩じり、脱出する。


「ゲームの話がしたいなら、掲示板にでも行ってやがれ! グレイオタク野郎っ!」

「…………」


 痛みで眩む視界のまま、這うようにして男から逃れる。

 玄関側に狂人が立っていたので俺は反対方向の居間の方へ逃げる。

 窓だ。窓から逃げるんだ。


「逃がすと思うのか?」


 狂人に背を向けて走り出すと、後ろからそんな声が聞こえてくる。当然追ってくるよな、と思いちらと後ろを振り向くと、狂人は何か妙な仕草をしていた。

 まず追いかけてきていない。走り逃げる俺を追わず、その場に立ち尽くし、何がしたいのか腕を上げて手のひらを俺の方に向けている。


 ……何故追って来ないのか?

 疑問を覚えていると、狂人は小さく呟いた。


「フェイル・アルス・ニーグ」


 それはまるでゲームの中の魔法の呪文のようで、手を掲げて呪文を唱えるその様は子供の遊びを彷彿とさせた。

 ただのごっこ遊び。大人が普通人前ではやらない様な、魔法を放つ振りをするごっこ遊びだ。


「なっ……!?」


 でもそれは遊びでも空想でも虚勢でもなかった。

 現実だった。


挿絵(By みてみん)


 男の掌から氷の棘が現れ、勢いよく飛び出してくる。

 それはそのまま掌を向けるの方向、俺の方へと襲い掛かってくる。冗談の様な魔法が現実のものとして襲い掛かってきた。


「ぐっ!? あっ……! ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁっ……!」


 氷の棘が弾丸のように飛来する。鋭く尖る氷の棘が俺の太ももに刺さった。


「なっ……!? い゛っ、痛ええええぇぇぇぇっ……!」


 日常生活では味わう事の無い鋭い痛みが体を焼くように走る。

 痛みで脳が麻痺するかのようだった。ちかちかとする頭の中で、先程の光景を思い出す。


 まるで魔法みたいだった。目の前の狂人が呪文の様な言葉を呟いたら、手のひらから氷の棘が飛び出し、俺の太ももに突き刺さった。

 ……なんだ? 手品の一種なのか? 痛みで震える頭は良く働かない。


 気が付けば俺は床に倒れ伏せていた。

 狂人がゆっくりと俺に近づいてくる。早く立たねば。逃げねば。脂汗が体中から噴き出してくる。

 太ももは焼ける様に熱い。傷口の間から血がどろりと垂れ、床を汚す。


 狂人が鋭い目で見下す様に俺を見ていた。


「取り敢えず、捕縛するか」

「…………」


 狂人は言う。


「龍之介、お前は別に、四肢の3本や4本、千切れても文句は言わんよな?」


挿絵(By みてみん)


 そう言って、奴は俺の足に手のひらを向けた。

 心臓がドクンと高鳴る。魔法……さっきと同じように魔法が飛んでくるのか? 俺の手足どうなるのか? 焼かれるのか、切り刻まれるのか、押し潰されるのか……。


 恐怖で体が震えそうになった、その時だった。


『ピーンポーン』


 と、何度聞いても気の抜ける様なインターホンの音がする。誰か、来訪者だ。

 インターホンの画面にぱっと目を向けると、そこには心配そうな表情をした近所のおばちゃんの姿が映っていた。

 ……もしかして、さっきの俺の悲鳴が外に漏れて、様子を見に来てくれたのだろうか?


 狂人は一瞬明らかにインターホンに気を取られた。

 音に反応し、反射的に手のひらをインターホンの方に向け、その画面に映ったなんでもないどこにでもいるようなおばちゃんの顔を見て、ほんの少し唖然としていた。

 明らかな戸惑いを見せた。


 ここだって思った。この瞬間だけがチャンスだって思った。

 俺は足に刺さった氷の棘を抜いて、手で握り締める。抜く時でさえ壮絶な痛みが体に走る。泣きそうになる。つーか泣く。


 でも、怯んでる暇なんてない。その氷の棘を持って立ち上がる。向かうべきはドアでも窓でもなく……狂人の頭だ。


「うわああああああぁぁぁぁぁっ!」


 狂人が作り出した氷の棘の先端を、思いっきり狂人の顔に目掛けて殴りつけた。

 まるで鉄と氷がぶつかったかのような音がする。氷がバラバラに砕け散る。


 おかしな事に俺の太ももを容易く突き刺した氷の棘は狂人の頭を貫くことは出来ず、狂人に傷を付けないまま氷の方が砕け散った。


 お前の頭、何製だよっ!?


 という考えが一瞬頭の中に過ぎるが、俺の行動は意味の無い行動ではなかった。

 氷の棘をぶつけられた衝撃で、狂人の体はバランスを崩し、尻もちをついた。奴の手のひらも明後日の方向を向く。


「四肢の3本や4本とか……嫌に決まってるだろーがよーっ!」


 痛みを誤魔化す様に叫ぶ。

 氷の棘を抜いたことで足に痺れるような痛みが走り、血もどくどくと流れ出るけれど、動きを止めている場合ではない。狂人はまだ尻もちをついている。

 俺は痛む足に鞭を打って玄関とは逆方向の居間の窓ガラスへと向かう。


 換気の為、窓ガラスはもう既に開いてあった。幸いだ。網戸だけを開き、俺は腰壁に足を掛けて窓から家の外に出ようとした。外に出て助けを呼ぶのだ。


「……逃がさん。フェイル・アルス・ニーグ」


 後ろから聞こえてきたのはまた呪文の声。空気を裂く様なシュッとした音が走り、何かが俺に迫ってくる。確認しなくても分かる。それは先程と同じ氷の棘だろう。


「ぐはっ……!?」


 背後から襲い掛かってくるそれを俺は避けられなかった。

 その氷の棘はおれの脇腹に刺さる。先程の太ももの痛みよりも強い衝撃が体に走る。


 氷の棘は直径5cm程の太さをしている。それだけの棒状の棘が体に刺さる経験なんて現代の日本ではほとんどあり得ない。今までに味わったことのない激しい痛みが俺を襲い、体がビクンと跳ね上がる。


 口の中から血の味がする。痛みで視界がちかちかと白くぼやける。体に力が入らなくなり、窓の外に転がり落ちるように、俺は態勢を維持できなくなる。


 あぁ……ダメだ。ここで倒れてしまっては……。

 俺はまだ走って逃げないといけないのに……。


 でも脇腹に氷の棘が刺さっていて……それだけで俺の体は思うように動かせなくなっていく。強すぎる痛みが体の感覚を麻痺させていく。


 ……例えばこれが漫画やアニメのヒーローだったら、こんな痛みへっちゃらなんだろうなぁ。


 そんな益体の無い事を思いながら、コントロールが効かなくなった俺の体は外の地面へと叩きつけられて…………、


「むっ……、いかんっ……!」


 後ろの方で狂人のそんな焦る様な声が聞こえた。その時だった。


《偽造聖剣プログラム起動》


 ……え?


 ぼんやりとする俺の目の前に青い半透明の板が現れた。

 システムメッセージだ。ゲーム中のメッセージを伝えるシステムメッセージのような半透明の板が俺の目の前に広がった。


《『tank』発動;Magic Skill『星渡り』

 異世界『アルヴェリア』への航路を再検索しています……》


 またシステムメッセージが現れた。

 『偽造聖剣プログラム』、『tank』、『アルヴェリア』。それらの単語は昨日聞いたばかりだった。

 昨日の会社のオフィスの中、夢の様な宇宙の空の中で見たことのある言葉であった。


「……あれ?」


 俺の体はまだ地面にぶつかっていなかった。


 窓から転がるように落ち、外の土にすぐぶつかる筈だったのに、この体はまだふわふわと宙を彷徨っている。

 早く立って、走って逃げなければならないのに。そう気持ちが急くが、体も足も地面にぶつからず、まだ体はくるりと宙を舞っている。


 1階の窓から転げ落ちたはずなのに……?


「……え?」


 気が付くと目の前の景色が一変していた。

 システムメッセージから目を離すと、そこには暗く深く広大な宇宙が広がっていた。その宇宙のほとんどは闇。でも、反射して輝く星々の光はとても暖かいものに感じた。


《魔術の行使に成功しました。異世界『アルヴェリア』への航路を開きます》


 システムメッセージが何か伝えてくる。だが悪いがなんのこっちゃあ分からない。

 異世界? 航路? 何言ってんじゃあ? これ?


 まただった。

 また俺は宇宙の海の中にいた。


 世界は広がっていた。

 まるで意味が分からない。俺の家も、庭も、周りの家も、電信柱も道路標識も何もかもが無くなって、いつの間にか星の明かりに囲まれた宇宙のような場所にいる。

 宇宙の中を泳いでいる。地面に叩きつけられようとしていた俺が、ふわふわと上下のない世界を漂っている。


挿絵(By みてみん)


「なんなんだ。昨日から、何か変だな……」


 これは夢なのだろうか?

 世界的に有名な社長のそっくりさんが俺の事を襲ってきたことも、そのそっくりさんが魔法みたいなものを出したのも、昨日、会社のオフィスで宇宙を見たのも……あるいは普通あり得ない世界的集団失踪事件も夢だったのではないか。


 実は俺はもう死んでいるんじゃないか?

 あのすぐ後に狂人に頭でも撃ち抜かれて死んで、三途の川をゆっくり流され、宇宙という大海に流されてしまったんじゃねえか?


 なんて益体のないことを考えていると、ただふわふわ浮いていた体が何かに導かれるように動き出した。星の海を流れ出した。




 月が輝いていた。


 星も負けじと輝いていた。


 世界は星の光で覆われていた。


 俺の体は俺の意思に関係なく、どこかに向かい流れていく。おそらく『航路』というものを辿り、俺はどこかに流されていくのだろう。

 こんな奇々怪々な状況の中、意外にも恐怖はあまり感じていなかった。


 この星の浮かぶ空があまりにも綺麗だったから。

 1つ1つの星が宝石のような輝きを持っている。足元にも満天の星空が広がる幻想的な光景にただただ心を奪われていた。

 ほぅ、とため息を1つつく。広大な空と星の明かりが俺の胸を一杯にしていた。


 月が大きかった。

 強く輝いていた。

 今まで見たことのないほど燦然(さんぜん)と輝いていた。


 手を伸ばした。

 届かなかった。

 届きたいと思った。

 あの月に辿り着きたいと思った。


 ――願うならば。


 そして俺の体はその空の潮流に流されていった。




* * * * *


「…………ぅん?」


 目を開ける。柔らかな日差しが目に飛び込んでくる。

 宇宙の様な闇の中ではない。気が付いたら日の当たる場所にいた。


 頭がぼんやりとする。宙に浮いている訳では無い。お尻が地面に付いている。まだ血は出ているようで、石の地面を俺の血がゆっくりと濡らしていく。

 俺はどうやら石造りの床に尻もちをついているようだ。


「……え?」


 綺麗な声がして顔を上げる。そこには息を呑む程の可憐な女性が立っていた。


 輝くような長い金髪の髪に眉目秀麗な顔立ち、頭の後ろには大きな髪留めを付け、頭には星と月を模したアクセサリーが乗っている。

 暗めの色の衣装を身に纏っており、それが金色の髪に映え、女性の美しさを際立たせている。


挿絵(By みてみん)


「…………」

「…………」


 俺は状況が分からず目を丸くする。目の前の女性も俺の存在に疑問を持ち、目をぱちくりさせている。

 俺は見上げ、彼女は見下ろし、ただ疑問を沈黙に変えてお互いを見つめ合った。


挿絵(By みてみん)


 この時の俺は知らなかった。

 彼女が異世界の英雄だと呼ばれる存在だという事に。そして、俺達の住む地球でよく知られているゲームの有名なヒロインであるということに。


 世界的な大英雄、皇帝アリシアとの出会いであった。


 旅は未だ終わらず、ここは旅の始まりであった。


アリシアは龍之介のヒロインじゃないので、恋愛的ドロドロ展開はないっす。ご安心ください。

あと、2話のグレイの仲間達を紹介しているところで『戦闘能力の高い獣人』と、1人加えました。

今後の展開の為の、後付け……っ!


次話『38話 暗くて狭い部屋での再会』は5日後 1/15 19時に投稿予定です。

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