1/1
プロローグ
ーキィ、キィ
金属が床を擦るような音が、誰も居ない校舎に響く。
「…っく」
息を殺しながらソレが過ぎていくのを教室の戸の間から少年は確認し、震える手で生徒手帳に何かを必死で書いていた。
「…もし、僕がダメだったら誰か頼む」
そう呟き、机の中に先程書いた手帳を入れ、教室から飛び出した。
「!?」
ーガ、ガガガ
教室から少年が飛び出した事に気付いたソレは、音を激しくたてながら少年を追いかける。
息が上がり、止まりそうになりながらも少年は屋上を目指した。
バンッ!
大きな音を出して屋上の扉を開け、辺りを見回す。
ソレが来るのも時間の問題。
なら、やる事はひとつ。
「僕が此所から出る方法はひとつ。此所から僕を出してくれ!」
そう言って、少年は屋上から飛び降りた。
『■■■■■ッ!』
「…え?」
人とも獣とも言えない校舎に響き渡る程の笑い声が、少年の最後に聞いたものだった…