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花屑  作者: 霧香 陸徒
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第5話「汝歌うように朝焼けを待ちたまう」

花屑での初日が終了した俺。とても疲れて悼んだと思う。 そりゃ・・・目が覚めたらこんな事になっているなんて・・・

皆は健康にどのように気をつけているだろうか?


 俺はまだ若いからと言って、適当な生活習慣を過ごしてしまうのはどうかと思う。


 何故ならそういう生活習慣は後になって響いてくるからだ。


 だから、俺は朝起きると軽く運動をするようにしている。 まぁ、良くてジョギング程度だが。


 そのジョギングも最初は嫌だが、続けていると、走らないと気持ち悪くなってしまうものだから不思議なもんだ。 適度に体を動かす事はスタイル保持にも貢献すると思うぞ?


 健康というのを考えたりする事は、実はあまり無かったのだが、一度走り出したら止まらない。

 結果的に「健康に気を使っている事になっている」わけだ。



 だけどな?


 俺はこんな健康法をしようと思ったつもりは無いんだぞ?


 前置きが少し長くなったが・・・。


 「ぬぅわぁぁぁんで全裸なんだぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 先に言っておこう。 俺は別にノーパン健康法を実践したわけでは無い。 完全に朝起きるとこんな状態になっていたんだ。 道理で寒いとは思ったが・・・。


 しかし、さっきから・・・何か当たるんだが・・・。


「う・・・ん・・・」


 ・・・・・・・


 今のは俺の声じゃない。


 女の声だった・・・。


 ・・・・・


 まてまてまてまてまて。 昨日俺は確か、芽衣の部屋で寝て・・・成り行きで芽衣と一緒に布団に入ってしまって・・・・・・って事は・・・。


 最低だ。


 俺は寝惚けていたのかどうか分からないが・・・。とんでも無い事をしてしまったのかもしれない。


 ・・・・・どうする・・・。 ここは押し通すか・・・。


 いや、良心がそんな事は出来ないと言っている・・・。 此処は男として・・・責任を取るべきだ。

 皆にはどう説明しよう・・・。 初日でこんな事をしてしまったんだ。 冗談でもなく殺されるだろうな・・・。 いや、もしかしたらこの世界では普通のことなのかもしれないし・・・。 昨日芽衣があんな事を言い出したのもそれで納得がいく・・・。



 いやいやいやいやいや。 クールになれ俺。 そんな事があるわけがない・・・。


 と、とにかく誰かに見つかる前に服を・・・


「芽衣〜朝なの〜起きて〜」


 コンコンコン。


 部屋のドアがノックされる。


「!?」


 マズイ。隊長の声だ。


 こんな所を見つかったら・・・おしまいだ。


 言い逃れも出来ない。


「あれ〜? 芽衣〜? いないの〜?」


 返事が無い事に訝って隊長が部屋のドアノブをガチャガチャと回す。


 幸い鍵が掛かっていたようで、開かれることは無かったが・・・。相手は隊長だ。合鍵ぐらい持っているかもしれない。


「ん〜?」


 カチリ。


 やはり鍵を持っていた。


 ジーザス!


「芽衣〜? ・・・あら? 少尉だけ? 芽衣は?」


「あ、おはようございます。 隊長。 さ・・・さあ?」


 幸い布団の中に潜っているようなので隊長からは俺一人に見えたようだ。


 上半身裸(実は下半身もだが)の俺に若干目を背けているが、チラチラと見てる。 えっち〜



 ・・・等と言っている場合ではない。


 何かのきまぐれで隊長が異変に気付かないとも限らない。 ここは早々に退場して頂こう。


「あ、あの隊長。 俺着替えたいんでちょっと出て行って貰える?」


「あ、そうなの? じゃあ、ちょっとしたらまた呼びに来るなの〜」


「あい。 了解」


 大惨事回避。


「――というか、その盛り上がっているのはなんなの?」


「ぐはっ! ぬかったぁ!?」


 布団が不自然に盛り上がっていたのを目敏く隊長は発見した。 こんな事なら起き上がって膝を立てておけばよかった・・・。


「あー・・・・・少尉。 貴方昨日は服を脱いで寝ましたなの?」


「え? いえ・・・着てたけど・・・」


 菜乃隊長は謎の質問をしてきた。 咄嗟に正直に答えてしまったが、それを聞いて菜乃隊長は大袈裟に溜息をついて部屋に入ってきた。


「ちょ・・・隊長!? ストップストップ!」


「ごめんなさいなの。 まさかこんな事になっているとは・・・。 えいっ!」


「うわぁぁあああああ!?  ・・・はい?」


 隊長は俺の掛け布団を剥いでしまった。 その中には・・・赤い髪の少女が下着姿で丸まって寝ていた。

 香良洲 魅夜さん17歳。


 貴女は何故そんな所で寝ているのですか?


 まぁ、それはとりあえずおいといて、菜乃隊長がその魅夜では無く、俺の方を見ている事に気が付いた。 ・・・俺というか・・・まぁ・・・「俺」なのだが・・・。


「あら、意外と・・・♪」


「意外となんだっ!?」


 その「意外と」の後に続く台詞が非常に気になる所だったが、俺はそれより彼女の手から掛け布団を引っ手繰ると、とりあえずそれを腰に巻いた。


「なんなんだ一体!? 芽衣はどうした! おい、魅夜! 起きろっ!」


 とりあえず幸せそうに寝ているこの馬鹿を起こすのが先決だ。 体を揺さぶってみることにした。


「ん・・・やだぁ・・・らめぇ〜・・・そんなにはげしくしちゃ・・・」


 その日。 俺は初めて人に殺意を覚えた。


 寝惚けてやがるのがいいが、なんて事言ってるんだこいつは・・・。


「少尉。 退いてなの・・・」


「ん? うわぁぁ!?」


 菜乃隊長が妙に低い声で言うので彼女を見ると・・・、なんというか体全体からどす黒い霧のような物が出ているような気がした。 その目は完全に据わっている。 そんな彼女に俺は正直ビビってしまった。


「・・・覚悟」


「うわぁぃ!」


 菜乃隊長が呟いた瞬間、魅夜が飛び起きた。 ・・・狸寝入りだったのか!?


 ―――!!


 ・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・


 何が起こったのかわからなかった。 一瞬何か光ったと思ったら、足元にズタボロになった魅夜が倒れていた。


「あぁん・・・・・菜乃たいちょー強引なんだからぁ・・・ガクッ」


 最後まで減らず口を叩きながら魅夜は力尽きた。


 

 まぁ、それはどうでもいいとして・・・。本当に一体何があったんだ? なんでこんな事になっているんだ?


「ごめんなさいなの。 私がもっと管理体制を強化していればこんな事には・・・本当にごめんあさいなの!」


「あ、いや・・・俺としては何がなにやら・・・」


「こうなってしまったからには全部話すなの。 ええと、そこの魅夜は普段はとても優秀な子なの。 機械技術や情報技術はウチの隊では一番なぐらいに・・・。でも、悪い所があるの」


「・・・・・・。 なるほど、なんとなく察したが・・・」


「そうなの。 この子見境無しに襲っちゃうなの。 それで何人男子隊員が辞めていったか・・・」


 なるほど。 全ての元凶は魅夜か・・・。 昨日俺が自分の部屋に案内されなかったのはコレを見越してって事だったんだな・・・。


「にしても、男子隊員が辞めるほど酷かったのか? むしろ男だったら喜ぶような状況だろう?

 俺は嫌だが・・・」


 普通はどうだが知らないが、知らない間に裸に剥かれて既成事実なんて作られるのは俺は嫌だ。 冗談抜きに魅夜が嫌いになりそうだなこれは・・・。


「そうなの。 でも、皆辞めてしまうの。 流石に問題だったから今回は警戒したんだけど・・・」


「結局また、同じ事になったと」


「うん。 本当にごめんなさいなの少尉・・・」


 申し訳なさそうに頭を下げる隊長。 俺も自分の不甲斐なさに申し訳ない・・・。


 まさかこんな事があるとは思わなかったし・・・。


 ・・・いや、まてよ?


 ・・・・・・・・


 ・・・・・・・・ふむ。 これは・・・。


 あまり言いたくないが、なんともないようだった。 ・・・特に何かが残っていたりしていない。


「いや、隊長。 こんな事を言っても信じて貰えるか分からないが、俺は何も無いみたいだぞ?」


「え? どういう事なの?」


「いや・・・説明しにくいんだが、ええと・・・使ったりしてないみたいだな」


「・・・・・・少尉」


「仕方ないだろう!? 他に言い方があるなら教えてくれぇ!?」


 俺の説明を聞いて菜乃隊長は、なんというかなんとも言えないような顔をして下さった。


 こんな事を言わした張本人をどうしてくれよう・・・。


「分かったなの。 後の処罰は少尉に任せるなの。 ただ・・・」


「了解。 ただ?」


「徹底的にやっちゃってくださいなの♪」


「・・・イエス・サー」


 隊長から初任務を下された。 


 任務の内容はこの変態をぶっとばす事。以上。



 隊長は「芽衣を探してくるなの。 きっと魅夜がどこかの部屋に移動させたと思うの」と言って部屋を出て行った。


 

 俺はその背中を見送ってから服を探し出して着て、ズタボロの魅夜見下ろしながら「製作」を開始した。


 ・・・数分後ソレは完成する。

 中々良い出来だった。


 では、性能を試してみようか。


「おい、いつまで気を失っている。起きろ!」


 スパコーン!


「ちうぁー!?  っと、何するあるネ少尉!」


「やかましい! 何処の中華人だお前は!」


 出来上がった新兵器。 名前は「対変態用強制教育型殴打機・パチキ1号君」だ。 厚紙で出来た丈夫なボディに、その爽快な音を演出するフィルム。 持つ部分にビニールテープで何重もまきつけてあるので握りやすく抜群の操作性を誇る兵器だ。

 

 人はそれを「ハリセン」と呼ぶ。


 昨日作ろうと思ってたがもう作る事になるとはな。


「お前!? 昨日会ったばかりなのに・・・一晩流石に絆を深めると違うのだねぇ・・・。しかもSだとは思わなかったわ。 あぁ・・・恐ろしい人・・・」






 スパーン!


「恐ろしいのは貴様だっ! 昨晩本当に何もしてないんだろうなっ!?」


 第2撃を食らわせてやると、魅夜は何かフルフルと肩を震わせていた。


 うわ・・・強く殴りすぎたか?


「に・・・二度もぶった・・・親父にもぶたれたこと無いのにぃ!!」


「人の話を聞けぇぇぇっ!! 大体お前親父居ないだろっ!?」


 スパァァァーン!!


 ・・・コイツの脳味噌はカニミソかっ!?


「うぅぅ・・・何度も殴らないでよぉぉぉ。 目覚めちゃうでしょ〜」


「何にだっ!? それより人が聞いてるの分かってるかお前?!」


「でも・・・そんな貴方もス・キ♪」


 ・・・・・・・すいません菜乃隊長。 今日隊員が一人減ってしまうかもしれません。 撲殺で。


「でも、本当にそう思ってるのだよ〜。 今少尉は親父が居ない〜って言ったでしょ? 普通だったらそんなデリカシーの無い事言わないよねぇ?」


「あん? そんなもの気にしてるタマかお前が」


「♪ ウフフ〜♪ 本当に素敵♪ そうなのよ。こっちが気にしてないっていうのに妙に心配したような顔されたら余計に腹が立つっていうのにね〜」


「だ、だな」


 何気無く言ってしまったのだが、結果オーライのようだった。 魅夜の言う通り親が居ないという事を気にする人は確かに居るだろうが、魅夜のように思っている者も少なくないだろう。

 俺は両親共に健在だが、なんとなくその気持ちは分かる気がした。


「おっし! 少尉には特別に私の知っている事を教えてあげようではないか〜」


「いや、お前やっぱり人の話聞いてなかっただろ・・・」


 一番教えて欲しい事を言わずに何を言い出すんだコイツは・・・。


「あ、でもスリーサイズはヒミツだよ〜? あはは〜」


「・・・それは一番知らんでいい」


 無いに等しい物のサイズを聞いたってなぁ・・・。


「あー酷い酷い〜! 貧乳にも需要はあるんだぞー」


 コイツと話していると日が暮れそうだな・・・。


「分かった分かった。 じゃあ、今までどうして今日みたいな事をしたのか教えてくれ。 それで許してやる」


「あ、ホント? ウソって言ったら・・・」


「あぁ、針でもなんでも持って来い」


「じゃあウソだったら1発って事で♪ ええとね〜気に入らなかったのだよ〜。 前までに来た男連中はロクな奴が居なかったから〜」


 ロク・・・って・・・なんだかその昔の隊員が可哀相に思えてきたな・・・。


「実際危なかったんだから〜。 芽衣とかムリヤリ襲われそうになってたんだぞぉ? むしろ感謝して欲しいのだよエッヘン」


「何!? それが本当なら・・・偉いな魅夜」


 さっき可哀相に思った男子隊員を今度は真逆にぶん殴りたくなった。


 男として最低だな本当だったら。


「そうなのだよ〜。 汚れ役って大変なのだよ〜? もちろん芽衣とかは無事だったけど、私がそうしなかったら一生心に傷が残ってたかもしれないのだよ」


 なるほど。 そういう理由ならコイツは何も悪くない。 いや、むしろ礼を言われてもいいぐらいなのに、理由が理由だけに言い出せないって事か・・・。


 ほんのさっきまでただの変態だと思っていたが、そうでも無いらしい。


「ふむ・・・。 ・・・ん? じゃあ、まさか今日のも・・・」


「あにゃ? いや〜今日のは違う〜。 だって少尉さんお風呂で何にも無かったし、そういう人じゃないなぁ〜って思ったから悪気があったわけじゃないのよ〜」


「ほう? ならなんでだ?」


「そりゃ、気に入ったから既成事実を・・・おっとっと」


「悪気の塊だろソレっ!?」


 舌を出して頭をコツンと叩く魅夜。 


 ちょっと見直したと思ったらすぐこれかコイツは。


「まぁ、それにしても、良くそんな事が出来たなぁ。 女の子にとって大事なもんだろ? そういうの」


「あ、いやいや。 流石にしてないよ。 そう見えるような状況を作って貶めただけなのだよ。 だからまだ生娘なのですフフン」


 悪女だ。 悪女がいる。


 ん? おい・・・。って事はだ・・・。


「俺とも何も無かったって事だな?」


 ギシリ。


 魅夜の動きが止まった。 あぁ・・・なんと分かりやすいリアクションをしてくれるんだこの汚れ芸人は・・・。


「オマイゴーっ! 私の計画がこんな事でーーー!」


 何処の悪役の台詞だそれは。


 まぁ、良かった良かった。 それなら単なる悪戯で済む。 あんまり洒落にならない悪戯ではあるけどな。


 悪が栄えたためしなし。ってやつだな。


 阿呆は放っとこう。


「さて、じゃあ後は芽衣だな。 芽衣は何処だ?」


「・・・少尉の部屋」


 相当ショックだったのか今度はアッサリと口を割った。 なにやら地面に「の」を書いているがそれは無視しておく。


 聞く事は聞いたので俺は芽衣を探しに行こうとドアに歩いていこうとした。


 その瞬間。


 パン!


 そんな破裂音がしたと思ったらドアが乱暴に開いた。


 そこから現れたのは芽衣で、涙目になりながら片足を上げていた。 ・・・蹴り開けたのか。


「・・・・・魅夜。死んで」


 パン!


 また破裂音。 良く見ると芽衣の手には何やら口径の太めな短銃を持っていた。


 その音と共に魅夜の居るすぐ隣の床が粉々に割れた。 床はコンクリートの固い床だった。


 ・・・芽衣。 それ普通に人一人殺せるぞ・・・。


 躊躇無く撃っている所を見るとゴム弾か? まぁ、それでも打ち所が悪ければ簡単に逝ってしまうだろうが・・・。確かヘビー級ボクサーのパンチ並みの威力があるとかなんとか・・・。


 こちらの視線に気付いたのか、芽衣は銃を掲げて見せて言った。


「・・・・・ううん。 ダムダム弾」


「おぅいっ!?」


 まぁ・・・ダムダム弾がどういった物なのか説明すると長くなるので簡単に説明すると「とっても酷い惨状になってしまう弾」だというところか。  ・・・確か俺の知っている世界ではそのあまりに残虐な威力に禁止条例があったハズだが・・・。


「・・・・・・はんどめいど」


「うるさいわっ!?」


 あのぉ〜芽衣さん? 昨晩何か綺麗な事言ってませんでしたっけ?「相手を無力化する」という俺の意見にも賛同したハズだが・・・。 そんな物手加減無しに即死確定ですよ?


「落ち着け芽衣! いったい何があったんだ!?」


「・・・・・・縛られた」


 パン!


 それだけ呟くとまた芽衣は魅夜に照準を合わせて・・・発砲。 


 それを驚異的な反射速度でなんとか避ける魅夜。


「あ〜芽衣ちゃん? ここは休戦協定を結ばないかなぁ〜?」


 流石に命の危険を感じたのか魅夜はそんな事を言うが・・・。


「・・・・・・」


 パン!

 

 それにまったく応じずに再度発砲。


 今度は避けられずに魅夜は右肩に銃弾を受けてしまう。 


 ・・・・あぁ、腕が吹っ飛んでない。 やっぱりゴム弾だったんだな。


「いたぁあい! 腕飛んじゃうぅぅ〜」


「・・・・安心して。 フルメタルジャケット弾も混ぜている」


「それの何処が安心していいの!?」


 流石にたまらず声を上げる魅夜。


 ・・・あのぉ、俺別にミリタリーオタクじゃないから分からないんですが、それって全部真鍮で覆われたとっても危険な奴じゃなかったでしたっけ?


 それをまともに食らって大丈夫な魅夜にも驚いたが、次々と色んな銃弾で応戦する芽衣に恐怖を感じてしまった。


 流石に止めた方がいいか・・・。


「ま、まぁ芽衣? 一晩縛られたって言っても特に命に別状があったわけじゃないんだからそれぐらいで許してやるのも大人の見解だぞ?」


 なんだか圧倒的な暴力に、俺はちょっと涙目になって魅夜をかばった。


「・・・・・・少尉。 私は一晩・・・何も着てなかった」


 ・・・は?


「一晩中裸でベットに縛られていた。 ・・・少尉。 ご命令を」


 色の無い瞳で俺を見つめる芽衣。 俺は一度魅夜に振り返ってその姿を確認してから・・・


「・・・・・・・・・やっちまえ」


 親指を立ててGOサイン。


 同情の余地無し。


 この阿呆は一度痛い目にあった方がいい。 芽衣が怒るのも無理は無いしな。


 多分・・・芽衣も「仲間」を本気で抹殺したりはしないだろうし。


「ちょ・・・ちょっとぉ!? 私は生粋の生身の普通の女の子よぉ〜〜!?」


 ほう。昨日、その普通の女の子が風呂場で超人的なリアルバウトを繰り広げていたと思ったが違ったか?


「ラストシュート・・・・・・ファイア」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 美人薄命〜〜〜〜〜」


 こうして・・・花屑に寄生する悪は滅びた。


 俺達はこの事を教訓にして明日を生きていくのだろう。


 あぁ、香良洲 魅夜 ふぉーえばー。


「綺麗にまとめるなーーーーーー」


 硝煙の匂いが充満する部屋で、魅夜の断末魔が木霊するのであった。


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