異世界5日目-前編 人里目指して…激戦
今まででよりも少し長め。
長くなりそうなので二分割しました。
「ウガ…グア…」(ああ…よく寝た…)
久しぶりにちゃんと寝た気がする。
それもそのはず、異世界に来てから寝るのは進化の副作用?みたいな感じで、
きちんと自発的に睡眠を取ったのは今回が(異世界に来てから)初めての事だった。
目が覚めてから体をほぐす為に少しストレッチをしてから起き上がり、朝の風景を眺める。
心地がいい日差しに朝露が光り、更には鳥の鳴き声がチチチと聞こえる。
「ガア…グガグア?」(こんなに…清々しい朝は前世を含めてもそうは無いんじゃないか?)
ふと前世の事を思い出し、引き合いに出すがあんまり思い浮かばない。
気持ちがいい日差しに少しボンヤリとしてから近くにある川で水浴びをして支度をしたら、
昨日言っていた人里を目指して移動し始める。
途中、見つけたスライムを踏み潰したり、
新しいモンスター(アナウンスによるとコボルトと言うらしい、外見は頭が犬でそれ以外が毛皮のついた子供)を先日拝借した大剣で斬り殺して食べたり(味はゴブリンよりはマシな程度だった)いろいろしながら進む事30分。(その間でLVが11上がった)
代わり映えしない景色を進んでいるとガヤガヤと騒がしい音が聞こえてくる。
「ガア?グガ」(なんだ?行ってみるか。)
ガヤガヤと音がする方へ歩いて行く事数分、ゴブリン達の集落があった。遠くから見た感じだと
3、40匹は居る。適当にさっきのまでの感じで、殺そうと実行に移す。
実行に移そうとまずは、気付かれないギリギリの距離まで近づく、その後気付かれない様に身を屈め、更に近づく。
「ギギャッガギャッ」
「グギャッグギャッ」
集落の外から少し離れたところで二匹のゴブリンが何か話(?)合っている。
幸いにもこちらに気づいていない様だ。草陰から飛び出し いきなりの事で硬直している、ゴブリン達の頭を掴みそのまま握り潰す。
「ガア…グガガア?」(弱いな…隠れなくても良かったか?)
ーーーゴブリン(通常)×2を殺害しました。規定により相手から経験値を徴収します。ーーー
またいつものアナウンスが流れ、確実に殺した事を確認する。頭を潰したが、念の為だ。
二匹のゴブリンをサクッと殺した後、その弱さを認識し、隠れる事をやめ、そのままゴブリンの集落に突撃する。
急に現れた上級鬼に驚き、硬直するゴブリン達。
動けないゴブリン達を上級鬼の高スペックな身体能力と魔術《身体強化》、
更にはスキルもフルに使い、力を振るう。ゴブリン共を殺し尽くすまでの時間は5分と掛からなかった。
ーーーゴブリン(通常)×48を殺害しました。規定により相手から経験値を徴収します。ーーー
ーーー はレベルが18上がった。ーーー
いつものアナウンスが流れて戦闘が終わった事とレベルが上がった事を確認する。
「ガアグガギガグガ…」(そろそろLVが上がりにくくなってきたな…)
殺し尽くしたゴブリンの屍体の山から2、3匹を食べ、今までのLVの上がり方を思い出しながら言う。
「グガガア、グアガア」(とゆうか、今までが上がりすぎだったのか)
今までがいろいろあったためあんまり考えられずにいたがこんな短期間で魂階が二つも上がるなんて普通では無いだろう。
「グガア、ガガアガ」(まぁ、こんな事になってる時点で普通じゃ無いか)
少し自重気味につぶやく。普通から外れた事を再認識して少しブルーになるも、少し経って心を持ち直し、人里へ向けて再出発する。
先程と同じ様に移動しながらいろいろする事15分。(今回はLVは上がらなかった)
また、音が聞こえた、今度は戦闘音だ。
キン、キン、と金属が硬いものとぶつかる音が聞こえる。
その音がする方へ(こっそりと)近ずくと…背中に袋を背負い、革の鎧を着ている片手剣を持った少年が長い角を持った兎と戦っている。
少年は向かって来る兎(の角)を持っている剣でいなしながら隙を狙っている。
それから、兎をいなす事3、4回、ついに少年の剣が兎の角を大きく弾き、兎に隙ができる。
少年はそれを見逃さず、兎に剣を突き立て、兎に止めを刺す。
「ハァ〜、終わった〜兎に角、これでクエスト完了だな」
少年はさっきの張り詰めた感じから一転して表情を崩す。
慣れた手つきで兎の角を根元からへし折り、処理を手早く済ませて背負っていた袋に入れる。
角を袋に入れた後、近くある木の影で少し休んだ後どこかへと歩いて行く。
「グラグラギアガ…」(このままあの少年に案内してもらおうか…)
もちろん、このままタダで見逃す筈はなく、少年に自分の拠点に案内してもらう。
少年が歩き始めてから1時間。途中で気付かれる様なハプニングは起きず、すんなりと大きな城壁に辿りついた。
「グラガ…ギガラググガア…ガガーグガ」(まじか…クエストとか言っていたから、大きな街だとは思っていたが…ここまでとは)
そう、少年についていき出会ったのは端から端が2、30kmは有りそうな巨大な街だった。
仕方なく諦めようと思ったその時、背中に衝撃が走り、倒れそうになるがなんとか踏ん張り何事かと衝撃があった方へ振り向く、そこにいたのは…魔法陣をこちらへ向けて立っている緑髪の耳が尖っている少女、その隣に居るのはやたらとゴツゴツした全身鎧を身に纏い巨大なハンマーを担いでいる男、更には、蒼い鱗の鎧を身に付け腰に細剣を差した優男に、修道女の制服を着て杖を持っている妙齢の女。そいつらが俺の後方に構えながら立っていた。
「グラ…グララララララ…ギガ…グギガガグガァァ!」(クハ…クハハハハハハ…いいぜぇ…やってやるァァ!)
片刃の大剣を振りかぶりながら突撃をかます。
しかし簡単に避けられてしまい、そのまま後ろにあった木にぶつかり、木が折れるが、勢いが収まらず二本三本とぶつかり、ようやく止まった。と、思いきや止まった直後、背中に炎の槍がぶつかり、更に数m転がされる。転がった後、すぐに立ち上がるが思ったより槍のダメージが大きかったのか少しよろける。
すぐさま炎の槍のダメージをスキル発動し、回復してからまた手に持った大剣を構える。
「その大剣は…そうか…」
「見ないと思っていたら…許さない…!!」
「残念だね…怒りが込み上げて殺すまで収まりそうにないよ」
「ローレンスさん達に冥福を祈って…」
大剣を見て呟いている全身鎧の男、怒りでMPが漏れ髪が逆立ってる耳の尖った少女、
外見はニコニコしながら殺気を振りまく優男、神に祈っている修道女。
「次は僕にやらせて下さい」
そう言って、次に動いたのは細剣を持った優男だった。
高速でこっちに移動して、目にも止まらぬ速度で剣を振るい、体に傷が付けられていく。
ただ見ているだけでは無く、反撃もするが、ことごとく避けられる。
ついにはイラッときて、大振りの攻撃をしてしまい、大きな隙を生んでしまう。
優男はこの隙を見逃さずに何かを仕掛ける様だ。
「《穿つ荊の一刺》!」
体にレイピアが刺さった瞬間、刺さった箇所から直径3センチ程の穴が貫通した。
たまらず、血を吐いたが上級鬼の回復力とスキルによる回復で穴は塞がった。
その回復速度を見て、優男は一瞬動揺した、それを見逃すまいと力任せに殴りつけるが、直ぐに正気を取り戻した優男によって攻撃を軽減されてしまう。それでもその一発は大きかったのか、仲間の近くに戻った後で膝をつき、修道女に回復されている。
「ゲホッゲホッ…あいつは普通のハイオーガじゃないね…回復力と攻撃力が段違いだ…」
修道女回復されながらも優男が血を吐きながら仲間へ忠告する。
「そうだな…側から見ていても目に見える回復力だったな…恐らく《スキル持ち》だろうな」
優男の情報得て全身鎧の男が推察する。
「スキル持ちで有ろうと無かろうと関係ないわ、絶対に燃やし尽くしてやる」
全身鎧の男が言った事を関係ないとばかりに、鬼に近づき、全身鎧の男に呼び戻されるがそのまま魔術の詠唱を唱える少女。
「我が魔力を糧として、汝が敵を焦がし…全てを焼き尽くせ!《焦熱の豪炎》!!」
少女が唱え終わった途端に周囲の温度が跳ね上がり、避けようと思いたつが、もう遅いと分かり咄嗟に体を縮め、頭を手で覆い守護する。頭を覆った数瞬後、物凄い熱量が全身を襲う。
あまりの熱さと、激痛に転がりたくなる衝動が襲ってくるが、根性でねじ伏せ約10秒程経ち、熱が収まる。
熱が収まり、頭を覆うのを止め、激痛を堪えながらなんとか立ち上がる。
スキルと体が全力で体を修復しようとしているが、腕の一部は骨まで焼かれており、なかなか回復しない。が、ここしか無いと思い、傷だらけのまま少女近くへ移動し、魔法を撃ち疲弊して、更には魔術が当たったのにも関わらず動き出す鬼に驚愕し、動けない少女へ向かって、傷により全力には程遠いが、それでも少女は殺せるぐらいの力で殴りつける。全身鎧の男が少し遅れて助けようとするが、もう遅い。
拳は少女の顔に当たり、上級鬼の常識はずれの力で持って少女の頭が弾け飛ぶ。
ズバンと音が聞こえ少し遅れてドサッと倒れこむ音が静まり返った戦場に響く。
あまりの出来事に脳が付いて行かず呆然とする全身鎧の男達。
ーーー焦熱の魔術師:フローラ・グレイシーを殺害しました。規定により相手の経験値を徴収します。ーーー
ーーー はLVが15上がった。ーーー
場違いなアナウンスが止めを刺した事を告げる。
LVが上がった事により幾分か回復した体力に物を言わせ、吼える。
「グラギアガ、グルァァァァァァァ!!!」(第2ラウンドだ、かかって来いやぁぁぁぁぁぁ!!!)
ちゃんと書けた気がする。(錯覚)
次も頑張って戦闘描写を書きます。