第4話 招かれざる来訪者
あれから三日経った。無闇に散歩してみたり、世話しなく視界を変えてみたりしたけど影を未だに見つけられない。一回行けたからといって次も直ぐ行けるとは限らないようだ。二回目が来るのを待つか、燈多野に聞くしかない。後者だけは嫌だと思う。
「結城君?」
僕は私立二重学園高等科の2年C組に属している。話しかけてきた彼女は同じクラスの宵月ミネネさんだ。メガネをかけ長い髪を二つに分けた三つ編みにしている。典型的な真面目人間の特徴に思えるけど、その見た目程の成績をとったのを僕は知らない。それに何故かスカートが激ミニだった。
「なに?」
「ほら、今日は結城君の番だよ。」
宵月さんの手に週番という強制労働の一環、日誌が握られていた。それを僕に手渡しする。役目を果たした宵月さんは自分の席に戻っていった。僕の席は廊下側の一番後ろだ。ちなみに今は一時限目が始まる前の準備時間で周りは友達と楽しそうに喋っている。僕はさっさと準備をして本を広げる。本を読むというのが行為が一番人を遠ざける効果的だからだ。
「おい、結城ー。後輩が呼んでるぞ。」
顔を上げると野球部エースの長城イッシが手を挙げドアを指す。僕の名前知っていたのかと思った。それにしても今日はやけに名前を呼ばれる。帰宅部の僕には後輩なんていない筈だが、呼ばれたのでドアを出てみる。
「まさか先輩だったとは思いませんでしたよ。」
驚いたことに燈多野がいた。同じ高校だとは思ったけど後輩で、一年生であることに謎の衝撃を受ける。
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「どうやらまだ死んでないみたいだね。」
二人っきりになった途端燈多野は敬語を止める。僕達は今学校の裏庭、塀に寄りかかり座る。勿論授業はサボりだ。こういう時と場合により行動を変えるタイプが人生ではいい未来を迎えるのだから人の世界とは理解できないことばかりだ。
「教える気になったのか?」
「なんのこと?」
燈多野は伸びをしながらいつもの笑顔で呆気らかんとしている。
「その顔を見に来たっていったら?」
「ちゃんと話す気がないなら教室戻る。」
「冗談だよ。ちゃんと理由があるんだ。答え合わせをしたくてさ。」
その先に続く言葉に明るい未来を予想できない。嫌な予感に僕は空を見上げて飛んで逃げれればとそればかり考えていた。