二話「手に入れるは、星の力」
「兄さんなのか?」
灰色の化け物に問う。
「あぁ。 ちょっと、下がってな。 後で説明するから。」
そう言って、兄が一歩踏み出す。
普通に歩けていた。
「そうこなくちゃなあ!」
男が蟹のハサミを振りかざして、襲いかかってくる。
化け物になった兄の両腕から透明な鞭のようなものが現れる。
「うらっ!」
兄が片方の鞭で男を捕縛し、もう片方を振り回し攻撃する。
「ぐはっ! いってえな!」
男が力の込める。男の体が発光する。次の瞬間、男を捕縛していた兄の鞭が粉々に破壊される。
「ちっ」
「なめてんじゃねーゾ! ごるぁ!」
男が叫び、ハサミで兄を殴りつける。
兄が吹き飛ぶ。
「兄さん!」
叫んだ瞬間時間が止まった。
「!?」
「兄を助けたいか?」
振り向くと知らない男が立っていた。年は、20代前半だろうか? それにしては、落ち着きすぎているように見える。
「兄を助けたいか?」
「誰だ?」
「私は、オフィウチェス。 あの力を彼らに与えた男だ。」
「あの力? お前、兄さんを助ける方法知ってんのか?」
「ああ。 お前が望むなら、教えてやろう。 しかし、聞いたからには、お前も兄のように戦わなくては、ならない。 それでもいいか?」
「詳しく説明頂きたいが、そんな時間なさそうだな。」
止まっている時間が微かに動きだしている。
「知りたいか?」
「教えてくれ。兄さんの為なら!」
「双子座は、名の通り双子。 お前に力をやろう。 それで兄を助けるがいい。」
男が兄と同じプレートを取り出し、俺に手渡す。
「行くがいい。 須道限侍。 その手で兄を救い出せ。」
限侍がプレートを握りしめ頭上に掲げ叫んだ!
「ジェミニ!」
時間が動き出した。
「そんなもんかあ?あ?」
男が兄にハサミを振り下ろす。
その時、兄に近寄る男に爆炎の玉が激突した。
「!?」
男が吹き飛ぶ。
「兄さんに触れんじゃねー!」
そこには、兄と同じ姿に変身した限侍がいた。ただ、兄と異なり、全身が赤と黒色の二色の化け物になっていた。
「限侍。 お前……。」
「俺があいつを倒す。兄さんハ、待っていてくれ。」
限侍が踏み出す。
「おいおい。 ジェミニが二人? マジかよ。」
男が立ち上がる。
「帰れ。」
「あ?」
「帰れってんだよ!蟹男!」
限侍が男に飛びかかり、腕に爆炎を纏い殴りつける。次々と男に攻撃を加える。
「ぐはっ!」
「あああああ!!!」
男が吹き飛ぶ。
「くっ! やるなルーキー。 」
そう言って男が変身をとき、よろよろと走り去る。
「ふっ」
限侍と兄が変身をとく。
「限侍。」
「兄さん。話は帰ってからにしよう。」
今、星達の戦いが始まる。