一話「星の夢」
不思議な夢を見た。
とても強くなる夢だった。
何が自分を強くしたのかわからない。ただ、側に沢山の星があった。不思議な星達だった。幾つかのまとまりがあって、ひかる線で結ばれていた。 星座?
須道 限侍19歳 大学生。
ごく普通の学生である限侍は、スクーターに乗っていた。向かうのは、ふたごの兄の入院する病院。
兄の病室に入る。
「兄さん。差し入れ持ってきたぞ。」
そう言って、宇宙ニュース雑誌を持ち上げる。
「あぁ。限侍。いつも悪いな。」
そう言って、体を起こす兄、瓶侍を見る。
「足は、どうなった?」
「義足しか、方法はないみたいだな。」
「そうか。 」
兄は、病気で入院しているわけではなく、足の手術とリハビリで入院している。
兄の左足は、1ヶ月ほど前に事故でなくなった。 しかし、なんの事故だったのか、家族である自分さえも教えてくれない。警察の人すら分からない。兄は、事故については、一切口をわらない。
ただ、なくなった兄の足は、どこにも見つからなかった。
「なぁ? 兄さん散歩しないか?」
「あぁ。いいね。 お前時間は、いいのか?」
「大丈夫だよ。」
兄の車椅子を押しながら、病院の周りの散歩する。 桜には、まだ早い時期だが、ぽかぽかした日だった。
「なぁ。限侍。」
「ん?」
「お前、星座好きか?」
「はぁ?星座? あぁ。まぁ、嫌いじゃないけど。 なんで?」
「いや、 なんとなくだ。」
そう言って、空を眺める。よく晴れていた。
「兄さん。 もうそろそろ、何があったのか。教えてくれねーか?」
「…………そうだな。そろそろ言わないといけないな。」
その時、
「いや~。探したよ。瓶侍くん~。」
赤いジャケットを着た。茶髪の若い男が歩いて来る。
「兄さんの知り合い?」
兄の顔が青ざめる。
「限侍。 直ぐに逃げるぞ。 」
「は?って、ちょっと。」
兄が車椅子を急いでユーターンさせる。
「そんな体で逃げ切れるとでも?」
男が笑い。ジャケットの内側から、手のひらサイズの変わった模様の入ったプレートを取り出す。
「限侍!お前だけでも逃げろ! あいつは………」
男がプレートを顔の横に構え言った。
「キャンサー」
途端に、プレートから、黒い光が幾つか現れ、ある形になる。かに座だ。そのまま光が男に纏わりつき、男が闇に包まれる。 闇が消えた。
!?
そこには、早速までの男ではなく、片腕に巨大な蟹のハサミ のついた。赤紫色の化け物がいた。
「逃げろ!限侍! 急げ!殺されるぞ!」
「説明しろよ!なんなんだあいつ!?ってか、兄さん置いていけるわけねーだろ!」
「説明してたら、死んじまう!」
「もう、おせーよ!」
化け物が叫び。ハサミを開く。
「伏せろ!!」
慌てて伏せる。頭上をレーザーのようなものが通る。
「限侍下がってろ!!」
兄が仮の義足で車椅子から立ち上がる。
「兄さん? 何を?」
兄がポケットから、早速と少し違うプレートを取り出す。
「ジェミニ!」
兄が闇に包まれる。
!?
現れたのは、別の灰色の化け物だった。
「兄さんなのか?」