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さだめの入り口

異形の血を引く少女・千早。

千早は人ではない『異種族』の血を引く者だった!

そんな千早の前に現れた青年・青桐は千早を連れて異世界・『常世』に連れて行こうとしていた。

千早に待ち受けるさだめとは?!

衝撃! 妖世界再び……!

川砂利を曳いた道を行くうちに、疎らにだが、人の姿を見かけることができた。

砦を護る門番に、青桐が目配せすると、門番は恭しく口上を述べた後に道を開けた。

千早には、話の大半が分からなかったが、そこは適当にしておく。

「なんて言ったんだ?」

千早は幼子のように、前を行く青桐の袖を引いた。

「姫を連れて戻ったと言ったんだ……みな歓迎しておるぞ」

「……姫って誰だ」

なんともイヤな予感がして、千早は身構える。

「阿呆、お前に決まってるだろうが……俺が女に見えるか」

「なっ……! アホとはなんだっ、アホとはっ」

地団駄を踏む千早をからかいながら、青桐が眩しげに目を細めたのを、彼女は知らない。

スカートがめくれるのも構わずに、千早は青桐に食い付くが、まるで箸にも棒にも掛からない。

「どうした、もう終いか?」

にやつく端正な顔が憎らしくて、千早は隙をついて彼の臑を蹴り上げた。

「おお、絶景……不意打ちときたか」

奥の手まで身軽によけられて、千早は遂に地べたに座り込んでしまった。

「つ、強いな……」

「お前も、女子おなごなのに随分と武芸がなじんでおる」

(なんとまぁ……勇ましい姫だ)

驚いたように言って、(実際驚いたが)青桐は千早の埃を払ってやった。

「ほれ」

「いっ、いいよ……自分で立てる」

差し出された手を押しのけて、千早は頬を赤らめた。

こんな事は、20年間生きていて初めてのことだ。

自分に敵うような男など、まわりにはいなかったし、負けたことなんてなかった。

「そうか。さぞやお館様も、お喜びになろうな……こんな勇ましい姫が戻って」

何事もなかったかのように言って、青桐は先を歩き出す。

(強い男……こんな奴、初めてだ。もう、振り向いてはくれないのか……)

‐‐――‐もっと知りたいのに。

青桐の背中を見ながら、千早は密かに落胆の溜息を落とした。

どうしてか、初めて男のせいで胸が痛んだ。


やがて寝殿造りの建物が見え、千早は緊張に身を凍らせた。

なぜなら、大路を埋め尽くす者すべてが、顔を伏せて伏礼していたからだ。

だが唯一、玉座とおぼしき座に座る男だけが、真っ直ぐに千早を見つめていた。

年を経た、彫りの深い端正な顔の男だ。

「おお青桐、戻ったか……」

「はっ、お館様」

恭しく態度を変えた青桐に、千早は焦る。

声は出ずに、千早は目線だけで彼に問う。

(どうしたんだ、急に態度変えるなよ)

「青桐、姫を近うに」

玉座の男は青桐に命じると、再び、にこにこと千早を見つめた。

「はい……」

千早は、促されて前に出る。

覚束ない足取りで進み出た千早を、玉座の主はきつく抱き締めた。

「よく戻ってくれた。千早、我が姫よ」

感涙に浸る彼の腕の中から、千早は青桐の姿を探した。

つい先まで傍にいたはずだ。

守護者なのだから、いつも傍にいると思っていた。

なのに、見当たらなくなっている。

なんともいえない物がこみ上げて、遂に千早は玉座の主に尋ねた。

「青桐は……彼は、どこにいるの?」

すると‐‐――‐‐玉座の主は目を細めて、くつくつと静かに笑った。

「あいつはな、次の任務に行った……当分戻らぬだろう」

「どういうこと?」

「おお、千早は知らなんだか……あ奴は忍なんだよ」

「え……」


置いてかれた。


ここに来るまで、彼が一番傍にいてくれたのに。

任務だか知らないが、彼は自分を置いていったのだ。

その衝撃から立ち直れず、千早はやや暫くぽかんと惚けたまま動けなかった。

「長旅、さぞ疲れただろうに……皆の者、本日はこれにて開きじゃ!」

玉座の主は千早の肩をやんわりと抱くと、大音声で廻りに集まっている者に言い渡す。

彼の一言で、その場にいる者すべてが退場の口上を述べた。




どうも、維月です。

千早の性格が、男っぽすぎたかな……?

この子の性格は、基本的にじゃじゃ馬です。(汗)

そして、青桐。千早の守護者の彼ですが……

っとぉ、ここで語るのはやめておきましょうか。

気になる方は、作品までどうぞ。

それでは、失礼します。


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