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陰茎神

陰茎神


 遥か古来から、人々は信仰とともに生きてきた。ある者は天を走る雷に、ある者は大木を薙ぎ倒す嵐に、ある者は死んだ一族の祖先に狼を重ねた。神とは何か、それを論じる圧倒的多数の主張に混じり、それは確かにあった。


「神とは×××だ!!」


 ……お前はあれだろう、極東の島国でも変わった田舎の出身だろうとあたりをつけると大体当たる。×××なんて下品極まりない言葉を使うそいつに変わって、陰茎を神と崇める者たちがいる、とここに記す。あまりにも巨大で逞しい陰茎を神輿のように担ぎ、わっしょい!わっしょい!と祭り上げると子宝に恵まれるという、ある種否定しづらい話で「この辺りでは祭りとはこうだとされています」と言われたらそりゃ実際にやっているのだからそうなのだろう。神とは、×……陰茎とか男根の類である、という考え方は、神々の国では非常に悩ましい問題であった。


 大昔にようやく人間が生まれ始めたころ、人間たちはルッキズムに悩むという時代を五千年ほど先取りした先進的な考え方をしていた。よーするに個体差が開き、優れた個体、壊れた個体が出来始め、優れた個体というのは強いし賢いし見た目も良く雌にモテる、人間とはかくも変わらないものなのかと現代人も思うような存在だった。この時代に武道館があればきっとコンサートをして満員にしている。一方で壊れた個体はどうなのかというと、弱くトロく見た目も崩れるという「あんまりですよ神様!」と言われたら素直にごめんなさいと言いたくなる状態、この辺りは現代人にも理解しやすいであろう。それを解決すべく一人の男が立ち上がった。要するに皆このような状態で、こうすればよい!皆からはどよめきが起き、そこそこウケたという話もあるとかないとか。色んな意味でありがたがられた男が、人類最初の「神www」になった。どうやってなったかというと、陰茎の話だという。


 弱くトロく見た目も崩れる原因は、何か。それは陰茎であり、包皮、陰嚢の状態である!!×××と言ってくれた方がまだ恥ずかしくない話だが実際にこの問題に人間たちは悩んでいた。皆苦しんでおる、しのごの言わずに治しちまえ!と治療法を提案した男は、まさか何千年と晒し者になるとは思わなかっただろうが偉大っちゃ偉大だった。そこから「陰茎をどうにかすれば、神になれる!」と考える変態が続出したので大混乱、一人の男がそれをまとめたという。


 男は、ズルむけだったという。だからもうちょっとマシな表現で、なんてもう感覚が麻痺していて誰も思わない。これはなんと立派な!これぞ皆の理想だ!と男は祭り上げられ、主神への道を歩んだという。まさか男が股間以外の全身が包皮に包まれた包茎の神その人だったとは誰も思いもしない。神様たちは、見なかったことにしてだんまりを決め込んだという。

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