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ジューシーデビルは突然に

これはひどい。

ジューシーデビルは突然に


 アメリカ、ニュージャージーには怪異が存在する。夜の闇に紛れるそれは、獣人とも、異形とも、悪魔とも呼ばれる。現代に残存するその何かは、人々の間で語り継がれ、ときに牙をむくという。ジューシーデビル。決して他人事ではない、と男は語った。


 語ったのだが、でぷんと太った男はあまりにうさんくさくて迫力がない。真面目なことは真面目なので「ジューシー?」と聞くタイミングを逃してしまい、ジューシーな悪魔が襲ってくる話を延々と聞くはめになった。ちょっといいファミレスに連れてこられたときに気がつくべきだった、印鑑とか売りつけられたらどうしよう。近くのボックス席にガタイのいい男たちがいるので、儲かるとかそういううまい話には乗らない方がよかった、と今さら思った。ソフトクリームくらい自分で払って食えるから、自分で出して帰ろうかな。それを真剣に考えていた。


 そんなことを真剣に考えていたので注ぎ放題のソフトクリームを相手の分まで注いできてしまった。いらない、と言われたがもうここにある。セットには入っているのだから食ってくれ、と押しつけた。戻したって店が迷惑すると言い張り、いい大人がソフトクリームを食いながら真剣に語らう。正確にはこっちはソフトクリームのことしか考えていないが向こうは語る。悪魔よけをすれば、ご家族が喜びますよ?なんて言われてもオレのがばいお袋は「怪しいヤツにはついていくな」と口を酸っぱくして言っていたのでもうすでに大目玉だ。天国の母上も!と男が言い出すので勝手に殺すな!と怒った。もちろんオレのがばいお袋はがばいので今も畑仕事に精を出している。


 ちょうどいいので、不愉快だ、帰る!と言い張って席を立つ。先にでっかい声を出したので店員や客の目が集まり、ガタイのいい男たちは「僕たち関係ないですよ~!」とオーラを発し始めた。男はせめてと印鑑を取り出したので無視してとっととレジに向かい金払って帰った。店を出てしばらくすると背後から「ぎゃあー!お助けー!」と聞こえてきたが振り返らない。そんなどうでもいいペナルティを背負って、何がしたいんだか。人生楽しくないと意味ないぞ。ジューシーな悪魔は、会社の上司だけで十分だ。

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