紙様の言うことにゃ
紙様の言うことにゃ
「我が君、とんでもないものが生まれました!」
飛び込んできた使いの者は言ったという。過去、人民を管理する王政を敷くためには記録は絶対に必要なものだった。しかし、古代中国皇帝といえどもその全てを扱いきることは至難、まず残しておく手段がない。さすがに暗記という手段は人間程度に賢かったらできないくらいわかるので、石碑、竹などに刻む。「かさばります我が君!」「書き違えました我が君!」などと叫ぶボンクラたちを罵倒すると「どっちがだ!」とキレるヤツまでいて火あぶりにするのも手間だ。だが、偶然から生み出されたその発明があれば、情報の管理は飛躍的にはかどる。紙。それは人類にはできすぎた、早すぎる発明だったのかもしれない。
溶かした木材を原材料とするこの素材は、比較的簡単に製造でき大量の情報を文字としてコンパクトに格納できる大規模記録媒体だった。なんせ見たことないものなのでみんなすごいすごいとはしゃいでいる。そして誰かが、こう言った。
「紙様だ!」
一部の冗談を真に受けたアレな連中が「紙様だ!」とはしゃいでいたので適当な字を当ててやるともっと喜んだ。紙様を持ってきたヤツを、紙様の使いだ!と言ってはやし立てる。紙様の使いはどこから来るんだ?と言えば、もう決まっている。
さすがにまだ古代なので紙が比較的簡単に作れると言っても大規模な製造工程を作れるのは王様しかいない。王様は紙様を使う、紙様の使いだ!と言って浮かれる阿呆どもが結構たくさんいたので「王様はこういうものらしい」とみんな何のことだかわからないままそーいう話になった。なにせ紙様に「王様だ」と書いておけばみんな納得する。王様は、紙様だ!時の皇帝は、非常に喜んだという。
時は流れ……。
紙とはこういうものだ、というのはわかってしまえば早いものでみんな紙を使って適当に遊んでいる。絵を描いたり、日記をつけたり、飛行機にして飛ばしたり、柔らかくすればトイレでお尻が拭けるぞ!なんて考える不届き者もいる。紙様を何だと思っている!と怒っても「紙」としか返ってこない。そりゃそうだ、適当に当てた字なんだからそもそも大事なものではないと名付けた本人が知っている。とうとう紙様に美人のセクシー写真が写ったものが発行され始めて、さらに焦る。これではあっちの紙様に人気をとられる、だって絶対あっちがいいに決まっている。うおお、負けてなるか!王様復興だ!王権神授説は世界一ィィィ!
その後どうなったかは、誰も知らない。もしかしたら今も、紙様はどこかで悪巧みをしているかも知れないから、気をつけましょうね♡




