好色一代なんとやら
好色一代なんとやら
「タコに襲わせるのだ!そしたら『えっち』でござろう!」
おおおお!とざわめきたつ町の男たち(アホ)。時代考証を無視しているんじゃないかという言葉と設定が飛び交ううすらバカの宴を、私は生暖かく見守っていた。野郎たちってなんでこんな話が好きなのだろう、せめて女が「ちょっとだけよぉ♡」とか言ってるのを見て喜ぶならまだ理解してやる。美人……例えば私みたいなのがそんなの言ってたらメロメロになるに違いないが、「自分ではなくタコに襲ってもらって『えっち』に感じる」という先進的かつ超自然的エロチシズムは美人なだけの町娘には理解が及ばない。下手すると絵巻物にしてみんなに見てもらおうとか言い出しかねないから、それとなく止めようと思った。
バカ言ってんじゃないわよ、似たようなもんがたまにあるけどこんな無茶な「おまぐわい」やってるやつがいるっていうの?隣町の田吾作みたいに竹から落ちて頭を打つのがオチ、お上に責められたら末代までの恥すぎて将軍様が真っ赤っかになってしまう。これだけ言ってるのに野郎どもは「何たる猛者!」とむしろ感心している。バカすぎて話にならない、と思っていたらアホの代表が肩を叩いてきた。やんややんやしているヤツらをほったらかして一度外に出た。
代表といってもこいつは「タコに襲わせたらえっち派」の代表、なんだったら言い出しっぺの筆頭だ。一番当てにならないどころか外に連れ出してイヤらしいことをするかもしれないからいつでもげんこつを突き出せる準備をしていた。アホの代表は、すまぬ、入り用なのだと笑顔を作った。
スケベなことを言いたいならもうちょっとまともに、自分で女の尻を追いなさい!と普通はおなごが言わないことを真剣に言っていた。でも傍から見れば女の尻を追う方がよほどまともだ。自分の××で×××しないなんて、よっぽど自信がないのね!女が言う分には『せくはら』にならないので言いまくっていたら、アホの代表には言い分があるようだ。
「タコが必要なのだ」
……タコが襲うとなれば、こうしかならないだろう。これは理にかなったことであれば、誰もが受け入れて、おもしろがる。スケベでバカで、一直線。そういうヤツらが、一番ありがたいのだそうだ。わかっている者が何人かいるかもしれないが……わからずともよいと、私は思っている。アホの代表は、とっとと集まりに戻ってまたスケベなことを叫ぶ。絵巻物にする話をしている気がするが、あまり聞かないでおこう。それより……似たような絵巻物の「おまぐわい」、これ、できるのかな。ああしてこうして、と気がついたら考えていた。




