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羅刹の門の餓えた鬼
羅刹の門の餓えた鬼
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世の中そんなもんだ。化かしあい、だまくらかしあうことができないならはみ出し戻ることもできず、こんな場所で一日中寝ている。腹が減ったなどと思っても死なぬならよく、夜露がしのぐなら屋根だけあればいい。似たような連中の中にあって、オレは一番低い場所にいた。一番低い場所にいるオレの話を聞くヤツなどおらず、口出しをする気もなかった。だから隅っこの暗がりで、黙っていた。
世の中はだまし合い。奪い合いなのだと語る老婆は、侍をこちらに引き込んだ。きっとあの男は偉くなるだろう。そんなヤツが一人増えて、なんてくだらないのかと思うのは、オレくらいだろうか。一番下にいるから、また一つ下に行くことに何も思わない。考えもしない。どうせ地べたなのだ、だからって何を嘆くか。
身ぐるみ剥がれた老婆に、ござを放り投げた。いらない分だ。残ったござをかぶってその日も寝た。少し寒いので、やらなけらばよかったなどと朝まで思っていた。




