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大美女魔女まろろんの観察日誌

大美女魔女まろろんの観察日誌

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「大美魔女まろろん様の館ですか?」


 使い魔たちは緊急会議を開いた。今不在のまろろん様を訪ねてきた客人に、待っていてもらうか?ここは大美女で大魔女の大美女魔女まろろん様の館、主は美魔女ではない。美しく不思議なことができるまろろん様だが美魔女ではないのだ。だって美魔女というのは美しいけど実年齢はいっているというのが大前提、美魔女扱いするわけにはいかない。まろろん様が絶対に美魔女ではないなら笑って流すのだがいつも使い魔たちの間で論争になる。なにせ好きなテレビ番組は?と聞かれたらスマスマと自然に出てくる世代、令和五年を生きるのだからもう立派な……やめろ!と結論が出る前にみんなで切り上げる。今日はまろろん様は観劇されに行った。師匠の舞台だからね、と言いつつ師匠の呪文を唱えて出ていった。ほらあれ、ハンマカンマ。まろろん様はああいうの好きなのか?男が好きな師匠かと思っていた。別に師弟関係もないのに楽しみにしていたが、まろろん様なら下手するとコンビ時代を知っているので深入りしなかった。


 まろろん様を美魔女と呼んでご機嫌を損ねれば一大事、客人が怒られるのは自業自得だが自分たちにも何が降りかかるかわからない。黒猫、トカゲ、ヘビ、ヒキガエルは頭を突き合わせた。一番進化してるんだから考えてくれ、と言われた黒猫は「考えたところで困るのは同じ」とすぐに結論を出した。進化してもこの辺は絶対なのか、と爬虫類両生類一同肩を落とした。ヘビも。


 この辺を間違えるのもまずいのに依頼者は若い女性、まろろん様はこういうのに「美魔女」と呼ばれるのを一番嫌う。大美女魔女を名乗っている以上間違う人なんてザラにいるので向こうには悪気はないが地雷なのは変わらないし、気を遣われると余計に怒る。依頼者は年齢的にケミストリーと言われても「聞いたことあります」と言ってくれるかどうか、もちろん聞いたことあるのは名前であって曲ではない。まろろん様にとってはちょっと前だぞ、口を慎め!などと誰かが口走ったらみんなで魔法の薬の材料にされて煮込まれてしまう。体も命も魂も保湿剤にされてしまう!「そこまでして保湿剤を作りたいのか」と言い出すと同じ問題にぶつかるのでもうしない。


 だから大美女であり大魔女であり、ここにそれ以外の概念はない!生年月日とか!というのが理想のスタンス、でもそんなこと言ったら笑ったりしないだろうか。依頼者が笑わなくても部屋の隅っこの人面樹が笑い転げて、植物程度の頭なのですぐに言いたがる。人面樹ももうヤケクソなのだろう、あいつも元は人間だったらしい。きっとどこかにでっかい筆で「植物」とか書かれたのだ、たまに萩の月が実っている。もちろんまろろん様は博学なので、最初のシリーズを読んでいる。むしろ続編はよく知らない。


 まろろん様はどんな方ですか?って客人に聞かれて、みんな言葉に詰まった。黒猫はダンスの練習をさせられた。タンゴとかワルツならわからなくもないのにタップダンス、熱心に肉球を触っているなあと思っていたら靴をはかされた。長靴ですらない!ヒキガエルはオタマジャクシの頃から世話になっているが、足が生えて手が生えて色が変わるのをずっと見られていた。子どもだったからこういうものかと思っていたがそうでもないらしく「きっと変態フェチだろう」と思うようになって身の毛がよだっている。ヘビに至っては「トカゲになってみなさい!」などと言われてそんな無茶な!と泣きついたところ、ほら!こんなふうに!とトカゲを連れてこられた。トカゲは何を求められているかわからず、新人の指導係と古参の手習という気まずいだけの関係になった。ヘビは今でもたまに同じフリをされる。もうトカゲがいるのに。


 そうこうしているうちに、終電の時間が近づいた。まずい!まろろん様だって終電の前には帰ってくる、もうじきだ。ホウキに乗っていけばいいのにホウキに乗っていくと着いた後ホウキをどうするという問題があって、びー⚪︎ぶでホウキを持っていると関係者と間違われる。関係者というか演者である。平均年齢が高い事務所だからなあと一瞬よぎってすぐに蓋をして、結論を出さなければ!と思っていたらまろろん様が帰ってきた。まずい!どうしよう!ご機嫌なときに水を差されるほど怒るまろろん様なので鼻歌まじりで帰ってきたなら逆方向に触れる準備も万端、南無三!とまろろん様のご実家の宗派に祈った。なにせ魔女なのであっち系統の宗派には入れない。でも今日は、どうということがなくて。


ーーー


 まろろん様は上機嫌で依頼者の頼みを聞いて依頼料までおまけした。師匠の話ができると思わなかったらしくて、他にも風船とか口パクとか暇人な暇神の話を楽しそうにしていた。ああ、いるよな、世代じゃないのまで目を通してる人。大サービスのカボチャのタクシーで依頼者が帰った後、いやあよかった、どうなるかと思った!と口走って詰問されたが、幸運にもみんなでラインダンスをさせられるだけですんだ。ああよかった、と自分たちに言い聞かせた。

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