顔のない軍団
顔のない軍団
待てえい!とおっ!ぎゃああ!ドカーン!毎週のようにやられては帰っていく怪人たち、よくもまあ勝てもしないのにいつも来るものだ。なんでも「大して強くない」が公式設定でその気になったら普通に勝てる。じゃあみんなで追い返せばいいじゃん!と他人事のように考えていたら、そうはいかないという。教えてくれたのは、地獄博士。「なんか混じってません?」とよく言われるらしいがあそこの改造はみんな上手くいくわけではないというのが常識というか上手くいかなかった奴が主役なので論じるまでもない。怪人タコテンになった地獄博士はそのまんますぎてイカ悪魔ほど大事にされず、放り出されたという。タコの博士は語った。あんな怪人どもは、ただの捨て駒。本当に怖いヤツは他にいるという。そんな強い怪人がいるのか、怪獣みたいに大きいヤツか?と軽い気持ちで聞いてみたら、タコは真剣な様子で言っていた。そんな考えだからすぐにやられるのだ、と。
いかに個が強かろうとその気になればどうとでもなる戦力、何体作ってもその範囲を出ない。ならば数を優先する。倒しても倒しても終わらない、無尽蔵の兵力。いかに倒そうとすぐに増えて集まり、何も変わらないように暴れ回る。おかしなことに誰一人疑問を持たず言葉も思考力も持たず、命令されて忠実に動き良心の呵責はない。これほどに恐ろしい化け物はいないというのに、君には見えていないのか?……そんなの後ろにいるザコたちと同じじゃないか、と言い返すと、タコ……地獄博士は呆れて帰っていった。今はあいつがいるからいいな。そう言い残していた。いなくなっても、その気になれば勝てるくらいの怪人なんて……。自分があいつらに囲まれたときを、一瞬思い浮かべた。なんだよ、子どもじゃあるまいし。ガキ大将が威張っているのと、同じじゃないか。そんなときは、相手の方が強ければ何もできないと、なんとなくだが知っている。でもそんなの、小学校の話だ。今日は昔の友人が帰ってくるという。立派な企業に入って、エリートコース。真っ黒いスーツに身を包んでいて、見ても誰かはわからなかった。




