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それはどこにでも

それはどこにでも


「絶対秘密にしたい話は、どうやってすると思う?」


 久しぶりに会った友人は、酒に酔った勢いでくだらない話を始めた。この世というのは全部隙間にあって、隙間から出ようともがいている人たちがいる。すべての人間が隙間から出れるようにする。日々そのために活動していると、ガキの頃から地球防衛軍とかそういうのが好きな奴だったから最初は相手をしていた。だが、話はあまりにも逸脱し始めた。

 

 お互いに連携を取るためには、意思疎通が必要だ。だが相手というか、敵対者がいる以上何を話していたかを知られるわけにはいかない。むしろ話していたと知られてはいけない。秘密裏に場所を設ければどこから見られているかわからず、どんな連中が見ているかわからない。どんな無茶苦茶も通そうという奴らなら、共倒れを防ぐためにも会ってはいけない。何があっても、全員が潰されるわけにはいかない。ならば、会わない。会うことはない。通信を飛ばすのだ。それも文書や人を介した連絡ならあまり意味がなく、力づくで奪われて言いがかりをつけられればそれまで。ならばどうする?そんなとんちを聞かれてもオレはあまり興味がなかった。お互いの私生活で偶然会うのを待つくらいしかないと思ったら、手があるそうだ。通信は、秘密裏に行うのではない。公開する。すべての人間、ありとあらゆる立場の者が誰でも見れる形で飛ばす。一見それは荒唐無稽な作品にしか見えないが、符号化できれば別。全員が同じ暗号の解読方法を持っていれば、全員が同じ手段で暗号化と符号化を繰り返す。必要な人間だけがわかるメッセージは、頭の中で符号化すれば誰も裏を取れない。たまたまだ、自分は知らない。そう言ってまた暗号を飛ばす。完璧だろう、と馬鹿な話を自慢げにするものだ。馬鹿言え、暗号を飛ばし合うならそれがどんな暗号か知らなければ始まらない。解読できないから暗号なのだろう、と言い負かしたつもりだったが、そいつの自慢は続いた。符号化はできるんだ、誰でも。子どもでも。むしろ子どもこそできるかもな、とまたわからないことを言う。正常に機能する人体は一人でにそれをキャッチし、無意識に解読してフィードバックをかけて……。いつまでも世迷言を聞いていられるものではなく、今日は疲れていると言ってそいつと別れた。帰り道でコンビニに寄って、雑誌を買う。ガキの頃から読んでいる週刊誌は、最近元気があるようなないような。努力、友情、勝利。そんな世迷言を本気にしていたのは、子どもの頃の話だ。

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